03. 中身も好き
ステップ3。
彼の容姿だけではなく中身も褒め、油断を誘いましょう。
【1】
「沢井さんは俺の見た目ばかり好きだって言う」
「そんな。私は夏川くんの中身も含めて好きなの」
「嘘ばっかり」
「嘘じゃないよ。私は本当に夏川くんの中身が好き。例えば……健康な腎臓とかね……!」
「臓器売買の計画を企てている……!?」
【2】
「夏川くんの正義感あるところが好き」
「俺は別にそんなんじゃないよ」
「銘菓ひよこまんじゅうの頭を割る人を叱るほど正義感溢れる人は夏川くんくらいだよ……」
「あれは人としてやっちゃいけないことだからッ!!」
【3】
「夏川くんのイメージカラーは……情熱的な赤かな」
「赤? 俺ってそういうイメージなんだ」
「うん。赤いハチマキが……すごく似合ってたから」
「あ、体育祭の話だね」
【4】
「夏川くんは、仲間のみんなを引っ張るリーダーだよね」
「俺そんなタイプじゃないけどなー」
「ハチマキ巻いた夏川くんが先頭に立って、敵方さえ引っ張る勇姿……かっこよかったなあ」
「あ、綱引きの話だね」
【5】
「夏川くんの照れ屋なところが好き」
「照れ屋? 俺が? そんなに初心なキャラじゃないよ、俺」
「そんなことない、夏川くんは照れ屋だよ。だって昨日バスで見たもん」
「見たって何を……?」
「停車ボタンを押そうと手を伸ばしたんだけど、他の人に寸前で押されてしまい、恥ずかしそうに出した手を引っ込める……そんな夏川くんの姿」
「やだ恥ずかしい……!」
【6】
「夏川くんはたまに残酷なところもあるよね。私はそこも含めて好きだけど……」
「俺が残酷? どこが?」
「だって見ちゃったんだもん……この間、容赦なくオセロで四隅を陣取る夏川くんと、絶望に打ちひしがれる野中くんの姿を……!」
「やらなければ、こっちがやられる世界なんだ!」
【7】
「夏川くんって大人っぽいよね」
「歳相応だよ」
「そんなことない。とんがりコーンを指にはめない夏川くんは立派な大人だよ……」
「あれは素人の食べ方だからね」
「素人……!?」
【8】
「夏川くんは相手が聞き取りやすいように話してくれるから、好き」
「普通だと思うけどなー」
「ううん、きちんと相手に合わせて喋ってるもん。まるで、ひとりひとり生徒の苦手なポイントを把握している、日本史の近藤先生みたい……」
「近藤先生は、入れ歯で滑舌が悪くなってるけど?」
定年間近でいらっしゃるそう。
【9】
「夏川くんは雑誌の趣味もいい」
「そんなところまで褒めるの?」
「だって本当に趣味がいいから。鞄の中に入っていた雑誌……ねこのきもちと、いぬのきもちでしょ? 猫も犬も飼ってないのにね」
「悪意のない言葉に傷つく」
【10】
「夏川くんって漫画読むの?」
「うん読む読む」
「そっかあ。きっと夏川くんは、漫画の趣味もいいんだろうね。何読むの?」
「当ててみて」
「そうだなあ。多分……ベルサイユのばら、キャンディキャンディ、ときめきトゥナイト……辺りかな」
「なんで昭和の少女漫画ばかりをピックアップするんだ……!」
名作揃いです。
【11】
「夏川くんが好きそうなアニメを並べたら、やっぱりセンスがいいなあって思った」
「俺の好きそうなアニメって?」
「トムとジェリー、フランダースの犬、あらいぐまラスカル、ぼのぼの、とっとこハム太郎……」
「確かに動物は好きだけど……っ」