唄う黒猫
黒猫は唄を唄っていた。
聞いたことのないそのオリジナルの優し い唄。
1人で楽しく優しい歌を唄っている。
暗い路地裏で楽しく大好きな歌を唄う。
そしてらそのうち黒猫に1匹の白い猫が 近寄ってきたと思ったら。
黒猫の前にちょこんと座り、その優しい 歌を聴いていた。
黒猫が右に揺れると右に揺れ
黒猫が左にゆれると左にゆれた。
そしたら次に三毛猫が来て、白猫の隣に ちょこんと座った。
その猫は少しリズム感が悪いのか。
黒猫が右に揺れると左に揺れ
黒猫が左にゆれると右にゆれた。
それが続いて行くうちに黒猫の周りには 多くの猫が集まってきていた。
優しく唄うそのねこにみんな心を許し、 歌に酔い。
また 黒猫も唄いつづけた。
だけどある日。
そこ1匹の野良猫がやってきた。
その野良猫はあまりいい噂を聞かない悪 い猫でした。
勿論その猫は大暴れしました。
それでも黒猫は唄いつづけます。
周りを囲んでいた猫達は思いました。
『この猫は唄ってばっかりで自分達を助 けてはくれない!』
それでも黒猫は唄いました。
目の前では赤い血が多少なりとも流れ。
まわりの猫達はいつしか怒りを覚えまし た。
黒猫の唄う優しい歌も、怒りを覚えた猫 達には伝わりません。
いつしか黒猫の周りからどんどん猫の数 が少なくなりました。
いつしかみんな居なくなり…
また独りになりました。
でも黒猫はまだ歌を唄いつづける。
同じ歌を何回も…
それはまるで決められたように…
それはまるでおもちゃのように…