第二話 夢の中へ
そういえば最近、色々あったからな……。
わがままで、なにかと振り回された彼女とも別れたし、突き指と思っていたら骨折していたし、まだ春なのに日焼けで顔が痛いし……。
「おいっ! 何シカトしているんだよ」
「…………」
私は冷静になって、その百円玉に話し掛けた。
「なぜ、百円玉が私に話しかけてくるのですか?」
「それは、俺が特別な百円玉だからだよ!」
「特別?」
私は意味がわからなかった。
「そんな事より、おまえは運がいいぜ。俺と出会えたことがな」
「どういうことですか?」
「俺を一週間以内に良い事に使えよ。そうすれば良い事が起こるから」
「百円で良い事ですか?」
「お前、やっぱりバカにしているな」
「そういう意味では……」
私は少しだけ焦った。
「お前は小説家か? どんな本を書いているんだ?」
「えっ? その方向から見えるのですか?」
「音と一人言でわかった……」
「今書いているのは、小便がずっと止まらない話ですけど……」
「おまえ、病んでるな……」
私は最近色々ありすぎて、ろくに寝ていない。だから、百円玉が話しかけてくる様な訳の分からない事になっているのだ……。ぐっすり眠れば治るはずだ。
「違うよ」
「…………」
「後一週間以内に俺を良い事に使わなければ……」
百円玉は途中で話さなくなった。
「何が起こるの?」
百円玉に聞き返したが反応がない。手に取って、もう一度聞き返したが、そんな自分が少し恥ずかしくなってきた……。
今日はもう寝ようと心の中でつぶやき、布団の中に潜り込んだ。
本当に疲れているのだろう。そう自分に言い聞かして深い眠りについた。




