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序章
突然のよびだし
訪れた校舎の屋上
名前も知らない君の口元が
「すき」と告げた
戸惑う俺の心のなかに
思いを寄せる人はなく
ただ見つめる君の瞳が
不安な心をかくし切れない
つきあう理由もないけど
断る理由も見つからない
傾きかけた西日が眩しく
見上げた空が心を染めていく
望む答えは簡単だけど
どうすればいいだろう?
うつむきあきらめかけた
君がさみしげでせつなくなる
君の勇気にこの思いに
笑いかけた僕がいる
にぎりしめた手から
緊張がほどけてゆけば
笑顔を見せる君と一緒に
物語はここからはじまっていく