4.船作成
波打ち際に少女・少年の足跡が続く。
波に当たり、消えていくそれは、ついて間もない事を示している。
そして、その点線は、ある地点で途切れていた。
その最終地点にリリィとユウは立っている。
リリィは無言で腰のランタンを取り出し、静かに光を灯す。
その瞬間、先ほど回収した材木が砂浜を転がった。
ユウはそれを視界におさめた後、辺りを見渡し、ふと気づく。
「……これも、使えそうじゃないか?」
彼が拾い上げたのは、波に洗われ、ほどよく乾いた流木だった。手に取ると意外にもしっかりとしており、軽さもある。
リリィも別の場所で金属片を見つけ、そっと持ち上げた。
「補強材としては十分」
ユウは足元に目をやる。砂の下に半ば埋もれたロープが見えた。引っ張ると、思ったより長く、頑丈で、充分使えるものに思える。
「漂流物が多い。この時期は特に。」
リリィは瞬きする。
「あはは…もしかして、僕もそうだったの?」
リリィは頷いた。
「え?本当に?」
「あなたは、流れ着いたランタンの中で眠っていた。それを私があの遺跡の中で研究していた」
「知らない内に冒険してきてたんだなぁ」
リリィは小さく微笑んだ。
「材料は揃った……あとは組み立てるだけ」
リリィは駆動音を響かせ、黙々と作業を始める。
流木や、切った材木を並べ、太いもので基礎を作る。ユウはそれらをロープでしっかりと縛り、補強に金属片を当てがった。
最初は不恰好だったが、ユウとリリィの手が加わるうちに、形が整い始める。
「結構、それっぽくなってきたな!」
ユウがロープを引き締めながら、笑みを浮かべる。
「船を作るのが、こんなに楽しいとは想わなかったよ。草で作ったりできるのは知ってるんだけどさ……まさか、本当に乗れるやつを作れるなんて思わなかったな」
リリィは手を止めて、そんなユウをちらりと見た。
「……気が早い。浮くとは限らない」
「きっと大丈夫よ!
ほら、しっかりしてるし、いい音がする気が」
ユウが木材を叩くと乾いた音が響く。
叩いたくらいではびくとも動かないのがなんとも頼もしい。
リリィはじっとそれを見つめ、静かに頷いた。
「……おそらく、この状態なら浮力は確保できる。問題は、海流に流されないこと」
「……帆をつける?」
ユウの言葉に、リリィは材木の中から、特別に太い木に特別に長い一本──船の横幅の二倍はある──をとりつけ、船にうちたてた。
「……布は、出発の時につける。」
リリィの静かな声に、ユウは満足そうに頷き、砂浜に広がる海を見つめた。
「この船で、どこまで行けるかな……」
リリィもまた、静かに海を見つめる。
彼女の瞳には、夕焼けに染まる静かな波が映りこみ、きらきらと反射していた。
小難しい内容が多かったので、不要な道具をなくし、さっぱりさせました。