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94話 またまた賢者登場?!

 ギリス王国の王都に戻ってすぐ、シンシア姫とローレインにドルミニ帝国の戦いが終結した事を報告をした。

 フェードを守る為にドルミニ帝国と戦う準備をしていたから、早く止めないと大変な事になるからな。

 シンシア姫は皇帝を暗殺してフェードを狙っていた第二皇子ヴィクターと和解していた事に驚いていた。

 だが黒幕が第一皇子ウィルフレッド……邪神マルバダスの使徒だった事の方が驚いていた。

 邪神マルバダスの使徒はユウマが向かったブリージラリアス大陸では活発に活動しているが、ギリス王国があるダルマンド大陸では活動していなかったからだ。

 ダルマシウス神の消滅とダルマシウス教の衰退が原因かもしれないな。

 更にダルマシニウム神国の西にあるバンダニギ聖王国の聖女まで他国の侵略を企てている可能性が高いという情報を得て、シンシア姫は警戒を強める事にした。

 ギリス王国の上層部は、これから敵の侵略に備える為に色々大変な事になりそうだった。

 でも俺たちに政治は関係ない。

 シンシア姫とローレインに別れを告げてブリージラリアス大陸に向か事にした。

 ブリージラリアス大陸のマルバダスの使徒と戦うのではない、アルリディアを救う為にソルラリアスの実を捜しに行ったユウマが心配だからだ。

 今のユウマであれば俺以外のヤツに負けるとは思えない。

 そのユウマが帰って来ないという事は、予期せぬトラブルに巻き込まれている可能性がある。

 ユウマもアルリディアも一応俺たちの仲間だからな。

 困っている時は助けになりたい。

 だから俺たちはブリージラリアス大陸に渡る為にぺプリカ地方に向かった。


 王都を出て最初の村に辿り着いた。

 ここの近くの森で賢者トルディエに出会ったんだよな。

 あの時は、いきなりフェードが突っかかっていたから驚いたな。

 事情を知っている今なら、何でフェードがトルディエを邪険に扱っていたの良く分かる。

 でもそれも過去の事。

 トルディエはヴィクターの教育係としてドルミニ帝国から出る事が出来ない。

 ヤツが行く先々に現れる事はもうないんだ。

 この先に向かうのは危険だとか声をかけられる事はもうないーー


「この先に向かうのは危険じゃ」


 ほらね、声をかけられる事なんてないさ。

 俺たちは黙って老人の脇を通り過ぎた。


「何で無視するのですか。十賢人の長である賢者ランドルフが忠告をしているのですぞ」


 なんでコイツがいるんだ?!

 すっかり忘れていたけど、狂人ソレータムと戦いながら行方不明になったんじゃないのか?

 今更何で俺のところに出てくるんだ!

 折角トルディエ問題が解決したのに、同類の賢者が出てきたら意味がないだろ!


「ウィルフレッドなら倒したぞ。早くヴィクターの元に戻れ」

「それは出来ぬ事。今のワシは三戒のソレータムとやらに追われる身。ヴィクター様の身を危険に晒す事は出来ませぬ」

「俺たちなら巻き込んでもいいのか?」

「元々巻き込まれているではないですか。それにラウル殿は一度ソレータムを撃退なされているのでしょう?」

「撃退しているが二度と関わりたくはないな」

「それはワシも同じ。だがヤツとの因縁は簡単には切る事は出来ないようですな」

「お前との縁は今すぐ切れそうだけどな」

「何でワシを邪険に扱うのですか? ワシはトルディエ殿とは違いますぞ」


 賢者ランドルフがトルディエと同じ扱いを受けていると思ってショックを受けている。

 トルディエと同じであれば、フェードとアリスに袋叩きにされているのだけどな。

 二人に無視してもらえているだけマシな扱いだと思うぞ。


「用がないなら行くぞ。ソレータムに目をつけられた事は可哀そうだとは思うけど、お前は俺たちの敵だろ?」

「冷たい事をおっしゃるな。ワシはラウル殿達がヴィクター様を守ってくれた事を感謝しておりますのに。ワシはこの先にいる美女をラウル殿に紹介したかっただけなのに……」

「美女? それが俺に何の関係があるんだ?」

「それはそれは美しい女性ですよ。この辺では見かけないピンク色の髪が綺麗でな。村人を装う為に地味な格好をしておりますが、生まれ持った気品は隠せないところがなかなか良くてね。ふぉっふぉっふぉ」

「その話詳しく聞かせて頂けるかしら?」

「逃げようと思うなよ。動けばナイフで喉を斬り裂くぜ」


 気がついたらフェードがランドルの背後から拘束していた。

 アリスが聖女の杖をランドルフの頬に押し付けて、謎の美女の話をさせようとしている。

 いつの間に戻って来たんだ?!

 二人共俺を置いて無視して先に進んでいたよな?


「な、何をするのですか?! ワシは敵対するつもりはない」


 ランドルフが杖から手を離し、両手を上げた。


「敵かどうかなんて聞いてないわよ。美女って何?」

「と、とても美しい女性の事ですぞ」

「私とどっちが美しい?」

「そ、それはぁ……」


 ランドルフが口篭もる。

 嘘でもアリスって言っておけば良いのに……


「フェード、やっちゃいましょう!」

「そうだな。少し痛てぇ目にあった方が良さそうだからな」

「何でそうなるのだ! ワシはこの先で村娘に扮したバンダニギの聖女が接触してくるから忠告しているだけなのに!」

「そういう大事な事は先に言いなさいよ!」

「少し痛めつけておこうぜ!」

「そんなぁ~」


 ランドルフがフェードとアリスに小突かれているが気にしない事にした。

 バンダニギの聖女か……俺に何の用があるのだ?

 この先にいるみたいだから会ってみればいいか。

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