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89話 狂気のソレータム

 

 俺は向かってくる鉄球を避けた。

 バキバキバキッ!

 物凄い音を立てながら鉄球が飛んでいった。

 賢者ランドルフが展開した魔法障壁を破ったのか?

 今ならエナドリを作れるかもしれない。


「ブタリウス! 水魔魔法だ!!」

「ブッ!」


 ブタリウスも魔法障壁が破壊された事に気付いていたようだ。

 俺の指示と同時にブタリウスの魔法の水が飛んできたので、急いでエナドリの容器で受け止めて薬草を入れた後にシェイクした。

 よしっ、ライジングハーブの補充完了だ!


「何者だ?! 何故我々の邪魔をした?」


 賢者ランドルフが狼狽えている。

 どうやら鉄球で攻撃してきた相手は、姿を表していなかった十賢人の第二位ではない様だ。


「邪魔をしているのは貴方達ですよ。見えない魔法障壁を張っていたせいで攻撃を避けられてしまったではないですか」

「こ奴らの仲間か? それともウィルフレッドの手先か?」

「嫌ですねぇ、そういう勘違い。私が人間ごときの手先なはずが無いでしょう」

「嘘をつくな! 何の勢力とも関りがない個人がドルミニ帝国に敵対するはずがなかろう!」

「私を疑う事は万死に値する。私は教義に疑いを持つ者を戒める存在、三戒のソレータム。勢力も国も関係ありません。神敵を滅するのに他人の力など必要ないのです」


 思い出した!

 こいつはダルマシニウム神国の三戒の一人、ソレータムだ。

 コウサイドの町の衛兵に引き渡した後、存在を忘れていたよ。

 ダルマシニウム神国での戦いの後、アリスの幼なじみのドルシーが三戒に任命されていたから元三戒になるのかな。

 まだ三戒を名乗っているって事は、行方不明扱いになって三戒から外された事をソレータムは知らない様だな。

 どうやって脱獄して来たのか知らないが、ソレータムのお陰で助かったよ。

 ソレータムは俺の命を狙っていたが、事情を知らないランドルフは神敵扱いされたと勘違いしているようだな。

 ソレータムの事を完全に敵として認識している。


「我らを神敵と呼ぶのか。ダルマシウス教はマルバダスとバンダニギと敵対しているだろう? その両者と戦うドルミニ帝国の何が神敵なのだ」

「ソイツを魔法障壁で守ったでしょう。罪なんですよ、ソレが!」


 ソレータムが鎖を振り回し、鉄球をランドルフ目掛けて飛ばした。


「おのれ! ワシが……ワシが負ける訳にはいかんのだよ!」


 ランドルフが魔法で反撃をした。

 炎、雷、氷、土……

 あらゆる魔法の力の攻撃を受けたが、ソレータムは全てを受けきりランドルフに近づいていく。


「馬鹿な! 貴様人間か?! 何故魔法が効かないのだ!」

「神・信・力! 私は神を信じる事で人間を超越したのです! 貴方も神を信じるのです!」

「ワシが信じるのはヴィクター様のみ!」

「無駄です! さぁ、鉄球を抱擁しなさい! 痛い目にあえば、人は神に救いを求める様になります!」


 ソレータムとランドルフは凄まじい攻防を繰り広げながら、戦いの余波で開いた壁の穴の奥に消えていった。

 危なかったな。

 元々ヤバイやつだったが、拘留生活を続けている内に理性を失ったようだ。

 後の事が怖いが、アルベルトが倒れ、ランドルフがいなくなった今が好機だ。

 王座の間には俺たちと第二皇子ヴィクターしかいないのだから。


「さて、今度こそフェードを狙った理由を教えてもらおうか?」

「さっきもフェリシアを狙った理由を聞いて来ていたな。何で皇帝ヴィンセントを殺した理由を聞かないのだ?」

「興味がないからだ。皇位継承のいざこざに口出す気はないんでね」

「なるほど。俺を殺せる状況でありながら手を出さないという事は、奴らの手先ではないようだな。だが俺がヴィンセントを殺した理由については聞いてもらうぞ」

「興味が無いと言ったのにか? そんなに父親殺しを他人に聞いて欲しいのか?」

「フェリシア……今はフェードと呼んだ方がよいか。フェードを狙った理由に繋がるからだ」

「なるほど。そういう事情なら黙って聞かせてもらうよ。フェードとアリスは周囲を警戒してくれ。ソレータムや他の敵が襲ってくるかもしれないからな」

「了解だアニキ」

「任せて! これなら大丈夫でしょ!」


 アリスが魔法障壁を王座の間の入口とソレータムが開けた壁の穴に張った。

 これで落ち着いてヴィクターの話を聞ける。


「さて、話すとしようか。俺はずっと父の力になりたいと思っていた。だから幼い頃からひたすら武力を求めた。俺は兄のウィルフレッドと違って賢くはなく、王の器ではないと思っていたからな。1か月前、父の様子がおかしくなった。俺は今こそ力になろうと思って父の後をつけた。辿り着いたのは帝国城の地下だった」

「帝国城の地下に何があったんだ?」

「地獄だったよ。見た事がない儀式……人の尊厳を踏みにじる行為。吐き気がしたよ。信じられなかった……あの高潔な父がこんなおぞましい行為を行うなどと。俺には父を止める事が出来なかった。だからウィルフレッドに相談した。俺より賢いウィルフレッドなら正気に戻してくれると思ったんだ。だが、それは間違いだった。オズワルド、サリア、ジェローム、モニカ……俺の側近はみんな死んだよ」


 ヴィクターが悲し気な表情で虚空を見つめている。

 かなり過酷な状況だったようだな。

 続きが気になるが一時中断かな。

 お客さんが来たようだからね。

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