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84話 竜王ハルトムート

 帝都の大通りを直進し、帝国城前の広場まで辿り着いた。

 だが、そこで反乱軍の進行は止まった。

 目の前にいるのは初老の男性ただ一人。

 それでも侵攻を躊躇ったのは、その一人が十賢人の一人だと分かっているからだろう。

 俺達はメガブタリウスから降りて男の前に立った。


「一人で俺達の前に立ち塞がるとはいい度胸だ」

「他の奴らはどうしたんだ? びびって逃げたんか?」

「ダメよフェード。失礼過ぎるでしょ」

「構わんよ。暴徒に礼儀など求めぬよ。帝国軍がいないのは巻き込みたくないからだとだけ伝えておこうか」

「巻き込みたくない……広域魔法でも使うつもりか?」

「はっ、無駄な事だぜ。アニキのエナドリがあれば魔法なんて効かないからな」

「私の防御魔法もあるからね」

「知っているよ。ヘンドリックから聞いているからね」

「はぁ? 何言ってんだ? ボケちまったのか?」

「拘束されているヘンドリックさんと、どうやって話をしたんだろう?」


 フェードとアリスは事体が呑み込めないようだ。

 だが俺はヤツが言っている事の意味が分かる。

 ヘンドリックが最後に使った魔法が通信魔法だったのだろう。

 俺を対象に使われた魔法では無かったから、ミステリアスミルクの効果では打ち消せなかったみたいだな。

 でもミステリアスミルクの効果を知ったところで意味は無い。

 魔法使いである以上、魔法が効かなければ俺たちを倒す事は出来ない。

 剣術で襲ってきても、元々の技術に差がある上にライジングハーブで強化されている俺たちを越えられないだろう。

 一人で戦うなど無謀といえる。


「ヘンドリックから通信魔法で俺たちの情報を得た事は分かった。それなら一人で戦う事が無駄だと思わなかったのか? 魔法が効かないのだから帝国兵全員でかかってくるべきだろ?」

「魔法を使わないとは聞いていたが、魔法の知識は豊富な様だな。でも分かっていないな。帝国兵は治安を守る為のもの。外敵を討つのは我らドルミニ帝国魔法師団の役目だ」

「立派な考えだが、それで敗北するのは無意味だと思うぞ」

「それはない。魔法が使えないなら物理的に攻撃すれば良いだけだ」

「ヨボヨボのヤツがアニキと戦えると思ってんのか?」

「ケガをする前に降参した方が良いですよ」

「心配ありがとう。だが降参した方が良いのは貴方たちの方だ。私はドルミニ帝国魔法師団第四位、竜王ハルトムート。竜の支配者だ! 出でよ我が眷族! レッドドラゴン!!」


 ハルトムートが杖を掲げると、帝国城前の広場に巨大なドラゴンが召喚された。

 これはまずい。


「アリス! 防御魔法を使え! 反乱軍は撤退しろ!」

「分かったわよ!」


 アリスが魔法障壁を展開しながら反乱軍と共に撤退していく。

 間に合うか?

 ドラゴンは既に口を開いている。

 あらゆるものを焼き尽くす炎の吐息、火炎ブレスを吐くつもりだろう。


「フェード、ドラゴンを止めるぞ!」

「了解だ! このぉ! ちっ。コイツ硬いっすよ」


 フェードがドラゴンの足を切りつけたが鱗に弾かれてダメージを与えられないでいる。


「くらえ! エナドリパンチ!!」


 俺の拳がドラゴンの足に直撃し、ドラゴンが少し体勢を崩した。

 直後に放たれる火炎ブレス。

 体勢を崩して射線を逸らしたから、どうにかアリスの防御魔法で防ぎきった。

 だが何度も仲間を守るだけの余裕はない。

 反乱軍にはこのまま撤退してもらうしかない。


「これを飲んでおけ!」


 俺はフェードに予備のミステリアスミルクを渡し、自分もミステリアスミルクを飲む事にした。

 ドラゴンの攻撃はミステリアスミルクでは防げないが、ハルトムートが攻撃魔法を使ってきた時の為の保険として飲んでおいた方が良いからだ。


「こいつはライジングハーブより旨めぇな。これでオレも無敵だぜ!」

「ドラゴン相手では無敵にはならんさ。油断するな。敵の防御は硬いぞ。弱そうなところを攻撃するんだ」

「それなら目ん玉突けばオッケーだろ?」


 フェードがドラゴンの足から駆け上がり頭部目掛けて飛び掛かった。


「もらった!」


 フェードがドラゴンの目を攻撃しようとしたが、ドラゴンが首を動かして頬でフェードを叩き飛ばした。

 宙を舞うフェード。

 すかさずドラゴンが飛翔して鋭い爪で斬り裂こうとした。

 空中に放り出されたフェードに回避する術はない。

 アリスを下がらせたのは失敗したか。

 いつもの魔法障壁を足場にした立体攻撃が使えない。

 悔やんでも遅い。

 このままフェードをやらせる訳にはいかないのだから。


「させるか! エナドリアッパー!!」


 俺は飛び上がりフェードを押しのけると同時にアッパーでドラゴンの爪を攻撃した。

 俺が放ったエナドリアッパーはドラゴンの攻撃に打ち負け、俺は地面に叩きつけられた。

 足場が不安定な分、威力が落ちて打ち負けたようだな。

 フェードは近くの建物の屋根に落下している。

 立ち上がっているから大きなケガはしていないようだ。

 ドラゴンが空中から火炎ブレスを吐いて来た。

 悔しいが、空中から遠距離攻撃されたら反撃手段がない。

 今は逃げる事しか出来ないな。

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