81話 魔軍との戦い
このままミノタウロス相手に手こずっている場合ではない。
サイクロプスに挟み撃ちをされたら対処が困難になるからだ。
ここは最強の一撃で突破するしかない。
「吹き飛べ! エナドリキィィィィック!」
俺は最強の蹴り技でミノタウロスの頭部を吹き飛ばした。
次はサイクロプスだ。
もう一度エナドリキックを使って一気に倒して見せる!
サイクロプスに駆け寄り必殺の蹴り技を放ったが分厚い胸板で弾かれた。
エナドリキックが効かないだと?!
俺はサイクロプスの反撃を飛びのいて避けた。
「ミノタウロスを倒したのは凄い事だが、サイクロプスは倒せないようだね。降参するなら攻撃を止めるよ。君たちを殺す事が私の目的ではないからね。命を失う前に判断する事をオススメするよ」
魔軍のユリアンは俺がサイクロプスに勝てないと思っているようだ。
たしかに今の俺のエナドリキックではサイクロプスを倒すのは無理だ。
でもまだ出来る事がある。
「ブタリウス! おかわりだ!」
「ブッブブー!」
ブタリウスが生み出した水をエナドリ容器ですくい薬草の粉末をいれてシェイクした。
そして完成したライジングハーブを飲み干す。
さらに力が上がるのを感じる。
これがライジングハーブの重ね飲み。
ライジングハーブ・ダブルだ!
カフェインフリーのライジングハーブだから、満腹にならなけらば何度でも飲める。
これで駄目でも更に飲めば更に強化出来るから負けはしないさ!
「今度こそ吹き飛べ! エナドリキィィィィック!!」
俺の最強の蹴りがサイクロプスの腹部を突き破った。
「ばかな! サイクロプスを体術で倒すだと?! どうやら舐めていたのは私の方だったようだな。君たちを強者として認めよう。だが、ここで負ける事は出来ない! ヴィクター様から預かったサイサニアの町を守らなければならないのだ!」
「すまないな。もう終わっている」
「そういうこった。オレ様から目を離したのが間違いだったな」
フェードがユリアンの首筋にナイフを突き付けた。
「いつの間に背後に回り込んだのだ?」
「アニキがサイクロプスを吹き飛ばした後だよ。下級の魔獣ではオレは止められねんだよ」
「降参するのは私の方か。頼む。住民には手を出さないでくれ」
魔軍のユリアンが住民の安全を保証するよう懇願している。
気に入らないな。
俺達はサイサニアの町を襲撃に来た悪人ではないんだよ。
「住民には手を出さない。お前はヴィクターを倒すまでは拘束させてもらうけどな」
「ヴィクター様のお役に立てないのは悔しいが、住民の安全と引き換えであればお許し頂けるだろう」
魔軍のユリアンは大人しく捕まってくれた。
ユリアンからヴィクターの事を聞き出そうとしたが、一切情報を引き出す事が出来なかった。
魔法師団の十賢人が全員ヴィクターを崇拝しているのが不思議だな。
父親である皇帝ヴィンセントを殺害し、兄弟を殺そうとしているヤツなのにな。
俺はユリアンから情報を入手する事を諦め、ユリアンが拠点にしていた大きな建物を捜索すると、反乱軍として冒険者ギルドのメンバーが拘束されているのを見つけた。
ドルラニアの町のギルドマスターのドルグが教えてくれた、サイサニアの町のギルドマスターのマルキスも捕まっていた。
一応俺たちの味方になってくれる人達だが、牢から開放しても良いのか悩んだ。
どう見てもコッチの方が悪党に見えるんだよな。
どうしてもドルミニ帝国で流行っているギンビルンデザインの服装に慣れない。
でもここで躊躇っていても時間が無駄になるだけだな。
俺は仕方なく捕まっていた人達を開放した。
「よくやった同胞よ! アンタが陰気な魔法使い野郎をぶっ飛ばしてくれたんか? 最高の気分だぜ。ガッハッハ!」
ギルドマスターのマルキスが陽気に笑った。
「ドルラニアの町のドルグから話を聞いている。ヴィクター倒す為に力を貸してくれ」
「任せろ! すぐに帝都へ侵攻する準備を進める! 二日だけくれ!」
ギルドマスターのマルキスが反乱軍の立て直しを初めてくれた。
サイサニアの町にいたドルミニ帝国軍は既に撤退している。
俺たちがサイサニアの町を取り戻した事は、帝都にいるヴィクターに伝わっているだろう。
残りの十賢人とは帝都で戦う事になるだろう。
第六位のユリアンは結構手強かった。
上位五人が一度に全員襲ってきたら負けるかもしれない。
出来れば味方と協力して十賢人を各個撃破したいな。
帝都に向かうまで二日ある。
今の内にエナドリの材料を補充しておきたいな。
俺はフェードとアリスと共に、サイサニアの町でエナドリの材料を捜す事にした。




