80話 サイサニアの町攻略戦
ドルラニアの町に戻ると、ギルドマスターのドルグがまだ残っていた。
冒険者全員がドルラニアの町から撤退するまで町を守っていたようだ。
逃げると言った時は情けない奴だと思ったが、責任を放棄していなかったのは評価出来る。
だから俺たちは十賢人の3人をドルグに預ける事にした。
ドルグが雷撃のクラウスに続いて3人も十賢人を倒した事に驚いていた。
そしてギリス王国侵略の先発部隊を撃退した事を知ったドルグはドルラニアの町に残る事を選択した。
これでドルラニアの町は大丈夫だろう。
次に帝国軍がギリス王国へ向かって進軍した時は、先に俺たちと遭遇するだろうからな。
またぶっ飛ばせばいいだけだ。
次の目的地は帝都に近いサイサニアの町だ。
サイサニアの町はヴィクター支持派が多い。
でもドルラニアの町の冒険者ギルドと同じで、サイサニアの町の冒険者ギルドも第一皇子ウィルフレッド派だ。
だがドルラニアの町の反乱軍の存在がバレていたという事は、サイサニアの町の反乱軍の存在も既にバレている可能性が高い。
敗走した帝国軍兵士がいると思うし、恐らく十賢人もいるだろう。
早く助けに行かないとな。
俺たちはサイサニアの町へ向かって旅立った。
サイサニアの町は外部からの侵入を防ぐように防壁が出来ていた。
帝都を守る最終防衛用の要塞にするつもりなのだろう。
ヴィクターとやらは戦争が好きなようだな。
フェードの命を狙っているのも、ギリス王国に侵略する為の口実なのだろう。
早くぶっ飛ばしてドルミニ帝国をヴィクターの支配から開放する必要があるな。
「ブタリウス、門を突破するぞ!」
「ブッ!」
メガブタリウス上部のバリスタから重量級の矢が放たれ、サイサニアの町の監視塔を破壊した。
さらに両脇にあるドリルを射出して防壁に食い込ませた。
キュルルルルッ!
ワイヤーをまき上げながらメガブタリウスが突進する。
そして先端の大型ドリルで門を破壊してサイサニアの町に突入した。
「敵襲! 敵は見た事がない兵器を使っているぞ!」
町にいた帝国兵が襲ってきた。
「ここは私の出番ね」
アリスが俺に向かって手を出したのでライジングハーブを手渡した。
ライジングハーブを飲んだアリスが聖女の杖を天に掲げた。
無数の魔法障壁が帝国兵を襲う。
防壁や家屋に貼り付けにされる帝国兵。
これならアリス一人でサイサニアの町を制圧出来るだろう。
「ユリアン様に応援を頼むのだ!」
兵士たちが中央の大きな建物の方に逃走を開始した。
たぶんユリアンはドルミニ帝国魔法師団の十賢人だろう。
敵の兵士が十賢人の場所に案内してくれるのはありがたい。
不意打ちされるより楽だからな。
俺たちが中央の大きな家に辿り着いたところで、金髪で長髪の男が家から出て来た。
爽やかな青い刺繍がある白いローブを着ている。
順番通りなら第六位の十賢人だろう。
「私は魔軍のユリアン。たったの3人でドルミニ帝国に喧嘩を売るとはいい度胸だ。だが賢い選択とは言えないな」
「それはお前も同じだろ? 一人で俺たちに勝てると思うのか?」
「お前らのお仲間は4人もおねんねしてんだぜ!」
「私の事を知らないのか。それなら無理もない。私が何で魔軍と言われていると思う?」
「興味ない。サクッと倒させてもらうだけだ」
「アニキ、オレに任せてくれや!」
フェードがユリアンに駆け寄ったが、急に飛びのいた。
不思議に思ったので、飛びのいた場所を見ると地面から腕が生えていた。
なんだあれは?
様子を見ていると地面から大量の魔獣が這い出てきた。
前に戦った事があるウルフ系の魔獣のような下級の魔獣だけではない。
中級以上の魔獣であるミノタウロスやサイクロプスまでいる……
これは手強いな。
アリスは帝国軍兵士を無力化するので精一杯だろう。
俺とフェードだけで、この魔獣の軍勢を排除する必要がある。
「大物は俺がやる。フェードは動きが早い動物系の魔獣を倒してくれ!」
「了解だぜ! いっくぜぇ!」
フェードがライジングハーブを飲んだ後、ナイフで魔獣を排除し始めた。
「ほう。なかなかやるな。でも中級以上の魔獣は倒せないだろう?」
魔軍のユリアンが余裕を見せている。
さて、俺も戦うとするか!
ミノタウロスが巨大な斧でフェードを攻撃しようとしているからな。
ザコ魔獣を倒しているフェードの邪魔はさせない!
俺はライジングハーブを飲んでミノタウロスに向かって走った。
「くらえっ! エナドリパンチ!」
俺の拳がミノタウロスの斧を止めた。
ぐぉおおおおおっ!
ミノタウロスが雄たけびをあげた後、俺への攻撃を始めた。
フェードへの攻撃を妨害されたのが気に入らなかったのだろうな。
俺は拳でミノタウロスの斧を防いだ。
結構硬いな。
俺のパンチでは倒し切れないみたいだ。
飲んでいるのがレイジング・ミノタウロスだったら、とっくに武器ごと破壊しているのだけどな。
こうしてミノタウロスと戦っていると、過去の自分の力と向き合っているみたいな感覚になるよな。




