78話 先発部隊を迎え撃つ
「ブロードライトニング!!」
雷撃のクラウスが最大威力の電撃魔法を放った。
フェードだけでなく、俺やアリスまで包み込むように襲い来る雷。
でも俺は何もしないし、アリスも防御魔法を展開する事はない。
フェードが居れば雷撃魔法を受ける事はないと分かっているからだ。
俺の予想通り、全ての雷魔法がフェードの髪の先端に引き寄せられて消滅した。
どういう原理か分からないが避雷針みたいだな。
「何でドルミニ帝国最強の雷撃魔法を吸収出来るのだ?!」
「はぁ? こんなのがドルミニ帝国最強の雷撃魔法だって?」
「最強だ! 私は十賢人一の雷撃魔法の使い手なのだぞ!」
「こんな奴を最強の雷撃魔法の使い手って事にしてるとはね。ランドルフはボケちまったのかねぇ」
「き、貴様! 大賢人のランドルフ様をばかにするのか? それでも帝国民か!」
「クッソダセェんだよ。オレは帝国とは関係ねぇんだよ。これで終わりだ」
フェードがクラウスの右肩にナイフを突き立て、杖を奪い取った。
「おのれ……私が死んでも帝国軍は止まらないぞ……」
「黙って寝てろ!」
フェードがクラウスを殴って気絶させた。
「なんという事だ! 十賢人を倒してしまった! どうしてくれるのだ?」
ギルドマスターのドルグが慌てている。
「何を慌てている? フェードが敵を排除しただけだろ?」
「十賢人に手を出して生き延びられると思っているのか?」
「十賢人はヴィクターの手下なんだろ? だったら全員ぶっ飛ばすつもりじゃないのか?」
「そんな無茶な事が出来ると思っているのか! オレ達は十賢人に見つからずにヴィクターを暗殺する予定だったのだ! 十賢人に目をつけられたら隠密行動は出来ない。ドルミニ帝国の何処に潜んでいても殺されるだろう……」
「気にしちゃ駄目だよドルグさん。一人倒すのも十人倒すのも同じだから」
アリスがドルグを励ましたがドルグは放心状態だ。
十賢人っていうくらいだから十人しかいないのだろ?
だったら後9人倒せばいいだけなのだがな。
一人減らしてあげたのに喜んでもらえないなんてがっかりだ。
ドルグが復活するのは時間がかかりそうだな。
その前にやるべき事を終わらせておくか。
「アリス、クラウスにやられた冒険者たちを回復してやってくれ。フェードはクラウスを拘束してくれ」
「任せて」
「了解だアニキ」
俺たちは冒険者ギルド内で倒れている冒険者達を助けに行った。
一時間後、放心状態のドルグが復活したので改めて作戦会議を行った。
もともとドルグが立てていたヴィクター暗殺計画を実行する事は難しくなったからだ。
雷撃のクラウスが戻らなかった事で、ドルラニアの反乱軍が健在である事はヴィクター陣営にバレている。
ギリス王国侵攻の先発部隊は、標的をドルラニアの町に変更するだろう。
ドルグ達は軍と戦って勝てるとは思っていない。
だから国外に逃げるつもりだ。
本当に情けない。
反乱軍が逃げてしまったら、巻き込んでしまったドルラニアの住人達を見捨てる事になる。
だからドルグと決別して、ドルミニ帝国の先発部隊と戦う事にした。
俺達3人は冒険者ギルドを出て宿で一晩過ごした後、ドルラニアの町から旅立った。
メガブタリウスを回収した後、先発部隊がくるであろう東に向かった。
ドルラニアの町を出てから半日程経った頃、ついに平原で先発部隊と遭遇した。
敵は一万人くらいいるだろうか。
結構多いけど、俺達3人とブタリウスなら問題ないだろう。
「ブタリウス、水魔法を頼む」
「ブッ!」
ブタリウスが生み出した水と薬草の粉末で新鮮なライジングハーブを作った。
そして一気に飲み干した。
これで準備完了だ。
「ブタリウスは砲撃で敵の出鼻を挫け。アリスは防御魔法でメガブタリウスに敵を近づけるな。フェードは俺に続け。敵を蹴散らすぞ」
「了解! 頑張ろうねブタリウス」
「やってやるぜ!」
「ブッ!」
メガブタリウスの上部に設置しているバリスタから矢が放たれた。
重量級の巨大な矢がドルミニ帝国先発部隊の先頭付近に着弾した。
土埃と共に敵兵士が吹き飛ぶ!
敵の弓兵から反撃の矢が降り注いだが、アリスの防御魔法が全て防いでいる。
さて、ここからは俺とフェードの出番だ。
俺はフェードと共に敵陣に突撃した。
「吹き飛べ! エナドリパンチ!」
俺の一撃を食らった敵兵士が吹き飛んでいく。
フェードも敵兵士を次々に倒していく。
敵の人数が多いから時間がかかりそうだが、これなら余裕で戦える。
そう思った時だった。
「アイススパイク!」
足元から氷が突き出して来たので避けた。
俺は近くにいた兵士を魔法を使った相手に投げつけたが、魔法で出来た障壁によって防がれてしまった。
「無駄ですよ。私はドルミニ帝国魔法師団第九位の防壁のシュテファン。私が作る絶対防壁は破れません」
「守るだけで俺達を倒せると思うか?」
「それはドルミニ帝国魔法師団第八位、氷撃のクルトの役目です」
さっき氷魔法で攻撃してきた魔法使いが名乗った。
十賢人が二人か……いや、三人か?
俺たちが倒した兵士たちが次々に立ち上がっている。
かなり凄い回復魔法の使い手がいるようだ。
「皆さんもう大丈夫ですよ。ドルミニ帝国魔法師団第十位、癒しのトビアスが来ましたからね」
十賢人が3人出て来たか。
しかし、コイツ等は全員同じような名乗り方をしているな。
ドルミニ帝国の魔法師団は名乗り方のルールでもあるのだろうか?




