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75話 悪党の町?!

「フュウ~。旅人じゃねえか。珍しいな」

「フェード、今喋ったか?」

「喋ってねぇっすよ。町の連中に声かけられてるだけっす」


 フェードが指差す先には暴徒……ではなく町の住民がいた。

 ドルミニ帝国はフェードみたいなヤツしかいないのか。

 もしかして俺たちが普通だから目立ってしまっているのか?


「俺たちが話しをすると素性がバレる可能性があるから、フェードが話をしてくれ」

「分かったっす」


 フェードが町の住民達と話始めた。


「ねぇラウル。もしかして私たち目立ってる?」

「もしかしてではなく確実に目立っているぞ。特にアリスは聖女用の豪華な神官服だからな。普通のシャツを着ている俺より目立っているだろうな」

「そっか。聖女の杖は手放せないけど、服装はなんとかしたいわね」

「アリスは自分が言っている事の意味を理解しているのか?」

「分かっているわよ。余所者だって知られたら困るって」

「分かってないな。服装を何とかするって事は、ああいう風になるって事だぞ」


 俺が指差した女性を見てアリスがひきつっている。

 謎のスパイク付きのレザーだけならギリギリ許容できるが、肌の露出が多いのは嫌だったのだろう。


「アニキ! あの通りを曲がった先にギンビルンさんの店が出来たらしいっす! 早く行こうぜ!!」


 フェードが俺の腕を引っ張る。


「待てフェード! ギンなんとかって何だ?」

「ギンビルンさんっすよ! オレが尊敬するデザイナーっす! 辺境のドルラニアの町まで進出してるとは思わなかったっす!」

「どうするアリス?」

「行ってみるしかないんじゃないかな。目立たない服が必要だからね。嫌だけど……」

「分かったよ。行くぞフェード」

「ヨッシャー! アニキとアリスを最高にしてみせっからよ!」


 謎の気合を見せるフェードに連れられて、俺たちはギンビルンさんとやらの店に来た。

 そしてフェードがオススメする服を購入する事になってしまった。

 さっそく着替えて町を歩いた。


「ラウル、気持ち悪いから止めてくれない」

「何をだ?」

「その肩をくいっとするところ」

「仕方がないだろ。肩パッドが邪魔なんだよ。そういうアリスこそ不気味な歩き方するなよ。目立つだろ」

「仕方ないでしょ! この服隙間だらけで恥ずかしいんだから! なんでこんなところにスリットが入ってるのよ!」

「さすがのアニキもファッションには疎い見たいっすね」

「ファッションに疎いのは認めるが、これはファッションなのか……」


 どう見ても俺たちは悪党集団にしかみえないんだよな。

 他の住民達と比べたら普通に見えるのだろうけど……


「ねぇ二人共。服装を変えたのに熱い視線を感じるんだけど」


 アリスの言う通り、町の住民達が俺たちに熱い眼差しを向けている。

 どういう事だ?

 住民達と同じドルミニ帝国で流行っているギンビルンがデザインした服装に着替えたから目立っていないハズなのだが。


「何で目立ってるんだろうな。今年の新作を買ったからか?」

「違うっすよ。オレの髪型がクールだからっすよ」


 フェードが自身の頭を指差した。

 俺たちが目立っていたのは、フェードが一メートルを越える長髪を立てていたからだったのか!

 一緒に居すぎて違和感がなくなっていたから気付かなかった!


「フェード、今すぐ髪を降ろせ」

「嫌っすよ」

「強制だ! アリス、やれるか?」

「任せて! 解除魔法!」

「なんの!」


 アリスの解除魔法によってフェードの髪が降りそうになったが、フェードが魔法で髪を立てようとする。

 フェードの髪が一進一退を繰り返している。

 負けるなアリス!

 気が付いたら周囲を住民達に囲まれていた。

 しまった!

 目立たなくする為にフェードの髪を降ろそうとしていたのに、逆に目立ってしまったではないか。


「アンタたち。なかなかロックな人生を送ってるじゃねぇか。どうだ、オレの話を聞いてみる気はねぇか? 更に刺激的な人生を送れるぜ」


 町の住民にしてはガラが悪そうな男が声をかけて来た。

 こいつは普通ではないな。

 町の住民は、服装と話し方が奇抜だがギリス王国の町民と変わらない。

 だが、この男が纏っている雰囲気は違う。

 犯罪者か冒険者か分からないが、戦いに身をおいている事だけはわかる。

 危険人物だとは思うが反乱軍の可能性もある。

 話しだけでも聞いておくか。

 もしも犯罪者だったら倒してしまえばいいだけだからな。


「いいだろう。話を聞かせてもらおうか」

「ねぇラウル。本当に話を聞くの? ヤバそうじゃない?」

「大丈夫だ。俺にはコレがある」


 俺はライジングハーブをアリスに見せた。


「エナドリがあれば心配はないわね」

「そうっすよ。エナドリを飲んだアニキは最高だから大丈夫っす!」

「そういう事だから行くぞ」

「どうやら話しはついたみたいだな。ここでは話せないからついて来な」


 俺たちは謎の男について行くことにした。

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