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74話 メガブタリス

 ロレイスの村についてすぐ、俺は名産品の牛乳を手に入れた。

 すぐに色々な薬草を混ぜてエナドリを作ってみた。

 このエナドリって、どれだけ保存出来るのだろう。

 牛乳のままだと長期間保管するのは難しいから、長持ちしてくれると良いのだけど。

 折角新しいエナドリが出来たけど、保管方法が分からず悩んでいた。


「どうしたのラウル? 悩んでいるなんて珍しいわね」

「こいつの保管方法を考えてるんだ」

「封印魔法を使えば一時的に保管出来るわよ」

「そうなのか? 封印魔法を使ったら何か月持つんだ?」

「封印魔法で保管出来るのは一日よ。それ以上保管したければ毎日封印魔法をかけ続けるしかないわね。あとは商人が使う長期保管用の魔法道具を手に入れる方法もあるわよ。かなり高価だし、市場に出る事が殆どないから入手するのは大変だけど」

「それは面倒だな。折角出来たエナドリだけどドルミニ帝国に持ち込むのは諦めるか」

「アニキ、コイツを薬草みたいに乾燥させたらダメなんすか?」

「牛乳を乾燥させるか……やってみるか」


 俺はフェードの提案通り牛乳を乾燥させて粉末牛乳を作った。

 そして粉末牛乳からエナドリを作り出した。

 飲んでみると、牛乳をそのまま使うより効果は落ちたが、エナドリとしての効力を発揮した。

 よしっ、これなら長期保管が出来る。

 今すぐは難しいけど、アリスから教えてもらった保管用の魔法道具も後で入手する様にしよう。

 エナドリの材料は出来るだけ鮮度を保っておきたいからな。

 新しいエナドリを作る事に成功したので、次は故郷のネイラシアの町に向かった。

 久しぶりに両親とアゾに会った。

 そしてドルミニ帝国が攻めてくる可能性があるから気を付ける様に伝えた。

 これで準備オッケーかな。

 あとはアルライラの町経由でドルミニ帝国との国境に向かうだけだ。

 俺たちは馬車だったものに乗って街道を進んだ。

 馬車だったものって言っているのには意味がある。

 今の俺たちの馬車に馬はいないのだ。

 馬が馬車を引いていた場所には巨大なドリルがついているのだ。

 フェードと一緒にその場のノリで改造してしまったからな。

 動力が無くなったので、俺はマッシブ・マッスル・マックスを更に改造していた。

 ブタリウスの水魔法で動かせるようにね。

 これが俺たちの新しい馬車……いや、新型戦車のメガブタリウスだ!

 メガブタリスに乗って街道を進んでいくと、国境にある関所が見えて来た。


「ブタリス! 最大出力! 関所を破るぞ!!」

「ブッ!」


 ブタリウスにライジングハーブを飲ませると水魔法の勢いが増し、メガブタリスが加速した。

 ギュイィィィィン!

 先端のメインドリルが甲高い音を立てながら関所の門に激突した。

 ドガン!

 メガブタリスが門を突き破りドルミニ帝国に侵入した。


「敵襲! 迎撃!」


 関所の兵士が矢を放ってきた。


「アリス! アンチアローシールド展開!」

「なんなのよその合図?! 普通に防御魔法って言って欲しいんだけど」

「気分の問題だ。気にするな」


 俺の合図でアリスが魔法障壁を張ったので、関所の兵士が放った矢は一本も当たらなかった。

 兵士が追いかけてきたが、メガブタリスに追いつけるはずがない。

 俺たちは無事に関所を破り、ドルミニ帝国に侵入する事に成功した。


「やりましたねアニキ! このまま一気に帝都に行きましょうぜ」

「そんなに簡単にはいかないだろう。ブタリスも休息が必要だからな」

「それならドルラニアに行こうぜ! ギリス王国に一番ちけぇ町なんすよ」

「ドルラニアなら、ギリス王国との交易が盛んだったから、帝都よりは安全かもしれないわね」

「なるほど。行ってみようか」


 俺はドルラニアに向かった。

 出来るだけドルミニ帝国内で情報を入手したかったからだ。

 トルディエが嘘をついている様に見えなかったが、全てを信じ切る事は出来ない。

 第二皇子のヴィクターが何で今の時期にクーデターを起こしたのかとか、分からないところがあったからだ。

 だから現地で情報を収集しておきたいのだ。

 第二皇子ヴィクターが皇帝になりたくて父親である皇帝を暗殺したのであれば、ドルミニ帝国内で内乱が起きているだろうからね。

 ダルマシニウム神国の聖女反対運動と同じように、第二皇子の支配に抵抗するレジスタンスがいるかもしれないって事だ。


 メガブタリスに乗ったまま町に入ると、国境破りの犯人だってバレるので、町の近くの林の中に隠した。

 そして、徒歩でドルラニアの町に入って驚いた。

 フェ、フェードが沢山いる!

 町の住民の全員がトゲがついた黒いレザーの服を着ていたのだった。

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