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71話 狙われる理由

「トルディエ、フェードとはどういう関係なんだ?」

「40年前、ワシがアサヒ達に敵対した事は知っているな?」

「知っているよ。お前の元弟子のアゾに聞いたからな」

「なんと! アゾに会ったのか! 四天王として蘇ったアルリディアに聞いたのだと思っていたよ。それで、アゾもアインバダルの手によって蘇ったのか?」

「違う。アゾは最終決戦には参加しなかったからさ。普通に俺の村で生活してるよ」

「そうか……アゾは生き延びたのだな……」

「そんなに気になるのか? 裏切ったのに」

「気になるさ。ワシの弟子だったのだからな。あの時は正しい行いをしたと思っていたよ。アインバダルが負ければ真のダルマシウス神に滅ぼされる事が分かっておったからな。でも今になって悔やむのだ。あの時何でアサヒを信じてやれなかったのかと。アサヒならお主と同じで真のダルマシウス神にも立ち向かってくれたかもしれなかったのにな」

「お前の思い出話に興味はない。続きを話す気はないのか?」

「すまなかった。ワシはアゾに背後から刺され、アルリディアの氷魔法に敗北した。でも凍結により出血が抑えられたお陰で生き延びる事が出来たのだ。逃げ延びたワシはドルミニ帝国へ逃亡した。勇者を裏切ったワシに居場所はないと思ったからだ」

「魔王を討伐した英雄扱いされていたみたいだな。今はギリス王によって記録を抹消されたから誰も知らないのだけどな」

「それには驚いたよ。だが当時のワシはそんな状況を知る由もなかった。だからドルミニ帝国で冒険者として生活していたのだ。そして冒険者として活躍する内に、皇帝ビィンセントに召し抱えられる事になった」

「そしてフェードと出会ったのか?」

「いかにも。私に与えられた役目は、ドルミニ帝国で最も魔法の才に溢れるフェリシア様の教育係だった。弟子のアゾに刺された心の傷が癒えて無かったワシはフェリシア様を厳しく指導した」

「それでグレちゃったとか言わないだろうな?」

「いや、その……てめぇに習った魔法なんて二度と使わねぇよなんて言っての。ワシの部屋においていたナイフで襲ってきたのだ」

「そのナイフって……アゾのナイフか?」

「その通りだ。ワシがナイフにトラウマがある事を知っているから、得意なドルミニ流剣技を捨ててまで自己流でナイフを振り回す様になってしまったのだ」


 そういう事だったのか。

 フェードが実力を隠している理由がやっと分かったよ。

 トルディエの教育が気に入らなくて、魔法の力を自ら封印していたのだな。

 フェードがトルディエを嫌うのも無理もない。

 これだけ嫌われているのに、行く先々で謎の助言をしようとしてきたのは凄いよな。


「それで、何でフェードはギリス王国にいるんだ?」

「フェリシア様がワシを襲った事について、閣下が激怒なされたのだ。そして友好国であるギリス王国に騎士として派遣される事になったのだ」

「なるほど。だからフェードは騎士だったのか。でも自分からギリス王国に派遣したのに、なんでドルミニ帝国はフェードを殺そうとしてるんだ?」

「閣下……皇帝ヴィンセント様が暗殺されたからだ。今は第二皇子のヴィクターが皇帝を名乗っている。ヴィクターは自身の皇位を脅かす可能性がある皇族の抹殺を始めたのだ。既に第一皇子のウィルフレッド様の安否は不明だ。そして、フェリシア様の命も狙っている。悔しいけど、ワシの力ではフェリシア様を守れない」

「それで俺に助けを求めたのか?」

「そうじゃ。頼む! ラウル殿以外にフェリシア様を救える人はおらんのだ」

「断る」

「何故だ! フェリシア様はラウル殿の仲間ではないか!」

「仲間だからだ! 仲間を守るのにお前の依頼など不要だ! 俺は俺の仲間のフェードを守る。ドルミニ帝国第一皇女のフェリシアなんて知らねぇよ」

「そうか……邪魔したな。ワシはドルミニ帝国に戻ってウィルフレッド様の捜索をするよ」


 トルディエが去っていったので、俺も宿に帰る事にした。

 フェードがドルミニ帝国の第一皇女か……

 故郷に帰った時、父が婚約者を3人も連れて来たって言ってたな。

 父と母はフェードが女性だって見抜いていたのか。

 俺だけ鈍いのか?

 アリスも気付いてなさそうだから違うと思うけどな。

 でも困ったな。

 フェードが女性なら、同じ部屋で泊ってるのまずいよな。

 普通はこういうのって本人から打ち明けられたりして知るもんじゃないのか?

 トルディエにネタバレされた様な気分だよ。

 しかもフェード自身は、俺に素性がバレた事を知らないんだよ。

 実はトルディエに素性を聞いちゃいましたとは言えないよな。

 俺だけドキドキしながら知らない振りをしなければならないのか……

 結局、トルディエの存在事体が害悪なんじゃないのか?

 頑張って知らない振りを続けるしかないな。

 あとはドルミニ帝国のクーデターの事をどういう風に伝えるかだな。

 素性を隠していても、父であるヴィンセントが兄弟であるヴィクターに暗殺された事を知ればショックを受けるだろう。

 でも情報を伝えなければフェードが狙われている理由を説明出来ない。

 フェードの様子を伺いながらトルディエから入手した情報を伝える様にしてみるか。

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