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68話 不穏な噂

 宿でみんなと話し合ったあと、俺たちは一度ギリス王国に帰ることにした。

 シンシア姫とローレインにアリスの無事を伝える事と、アルリディアを救う為に南のブリージラリアス大陸へ向かったユウマが戻って来ているか確かめたかったからだ。

 ダルマシニウム神国での冒険は次の機会にしよう。

 俺たちはマックスから借りた馬車のエムスリーに乗り込みギリス王国へ向かった。

 最初の目的地はコウチキカの町だ。

 借りていた馬車を返しておきたいからね。

 街道を馬車でかっ飛ばし、コウチキカの町のついてすぐにマックス商会へ行った。

 店に入ると、前回来た時に揉めた店員が覚えていてくれたからすぐに応接室に案内された。

 椅子に座って待っているとマックスが部屋に駆け込んできた。


「おおっ。無事でしたかアリス殿。心配致しましたぞ」

「ありがとうマックス。旅の途中で馬車を借りた事をラウルから聞いたわよ。あんなゲテ……豪華な馬車を貸してくれてありがとう」

「とんでもない! エムスリーは皆さんが育てたマックス商会の資産で作ったもの。だから皆さんのものと言っても過言ではない」

「でも借りていた事には変わりない。だから返す」

「その必要はないですぞラウル殿。旅に馬車は必需品ですぞ。差し上げますから受け取って下さい」


 エムスリーを受け取るのか……嫌だな。

 アリスを助ける為に勢いで借りたが、冷静になってみると恥ずかしくて使いたくはない。

 黄金の筋肉ムキムキのマックスが描かれていて、マッシブ・マッスル・マックスと大きく文字が書かれているのは恥ずかしい。


「気持ちは有り難いが馬車がないとマックスも困るだろう。貿易に使っていたのだろう?」

「その心配は無用ですぞ。皆さんが旅立ったあと新しい馬車を作りましたのでね。その名もメガ・マッシブ・マッスル・マックス。略してエムフォーですぞ! ぜひラウル殿にご覧になって欲しいですな」

「そうか。一応見てみようかな……」

「そうね。私は興味ないからパスしようかなぁ」


 逃げたなアリス。

 ……そういえばフェードが黙ったままだな。

 隣を見るとフェードが腕を組んでいる。

 何か悩んでいるようだ。


「どうしたフェード?」

「悩んでいるんすよね。スパイクは必須だけど、何か物足りないんっすよ」

「スパイク? 何の話しだ?」

「何ってエムスリーに取り付ける装備の事っすよ」

「エムスリーに取り付ける装備? まさかスパイクを取り付けるつもりなのか?」

「そうっすよ。でも物足りないんすよね」

「それ以前の問題だろう。マックス、エムスリーを改造してしまっても問題ないのか?」

「改造しても問題ないですぞ。エムスリーはラウル殿に差し上げるのですから。ご自由にお使い下さい」

「ありがとうマックス。さっそく使わせてもらうわね!」


 アリスが急にエムスリーを受け取る事に同意した。

 あのヤバい見た目を改造出来るのであれば、エムスリーは高性能で高級な馬車だからな。

 もらっておいた方が今後の冒険が楽になる。

 特にエナドリの材料を積んでおけるのは大きなメリットだ。


「フェードもアリスも欲しいみたいだからもらっておくよ」

「ラウル殿のお役に立てて良かったですよ。改造に必要な物があったら店員に申しつけてくれ」

「でも何をつけるか決められねぇんだよな」

「ドリルでもつけてみたらどうだ?」

「ドリル?」


 フェードが不思議そうな顔をしている。

 忘れていた。

 イメージだけでドリルの話をしたけど、転生者ではないフェードにはドリルは分からないよな。


「筆記用具はあるか?」

「少々お待ち下され」


 マックスが筆記用具を持ってきてくれたので、俺はドリルの絵を描いた。


「これがドリルというものだ」

「なんすかコレ! 最高じゃないっすか!」

「こいつはな、こういう風に回転する様になってるんだ。作ってみるかフェード」

「早く作ろうぜアニキ!」

「せっかくだから馬車の上にはバリスタも設置しよう。攻城兵器もあった方が便利だからな」

「どこの城をぶっ潰すつもりなんすか。凄い馬車になりそうっすね」

「馬車ではない。戦車だ!」

「はいはい、そこまでね。マックスさんも忙しいだろうから、馬車の改造については後で話をしましょ」

「ワシの事は気にしなくても大丈夫ですぞ。気分転換になりますからな。それより王都に行くなら気を付けた方が良いですぞ」

「何かあったのか?」

「王都支部からの情報によると、謎の魔法使いが王城に現れてから不穏な動きがあるそうなのです。王都では近いうちに戦争が始まるのではと噂になっております」

「戦争? どこと戦うのだ? 揉めていたダルマシニウム神国の問題なら解決しているぞ」

「最初は前ギリス王のダルマシウス教排斥の問題で揉めてたダルマシニウム神国と思われていたのですが、どうやら相手はドルミニ帝国らしいのです」

「ドルミニ帝国だとぉ! アニキ! 早く王都に戻って奴らをぶっ潰そうぜ!」


 何故かフェードが激怒している。

 フェードはドルミニ帝国出身だったけど、何かあったのか?


「落ち着けフェード。忠告ありがとうマックス」

「ローレインがいるから大丈夫だとは思うが気を付けて下され」


 俺たちはマックスとの雑談を終え、エムスリーの改造を始める事にした。

 王都の事は気になるが、今のエムスリーの見た目で王都に乗り込む勇気はないからな。

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