61話 ドルシーの目的
「ドルシー、君は何者なんだ?」
俺はドルシーに問いかけた。
「気付いていると思うけど、私はダルマシウス教の関係者よ」
「ダルマシウス教の関係者が何で聖女反対運動に参加していた?」
「疑われるのも無理はないわね。でも信じて欲しいの。私は大神官の指示には従っていない。私の目的は幼なじみを救うことだから」
「幼なじみを救う? それが聖女反対運動に参加する事と何の関係がある?」
「私の幼なじみのアリスを聖女にさせたくないのよ。彼女は大神官の娘なの」
「はぁ? アリスが大神官の娘だってぇ?!」
フェードが叫んだ。
アリスが大神官の娘だと知って俺も驚いた。
そんな俺たちの反応をみてドルシーも驚いている。
俺たちがアリスの知り合いだって事に気付いたからだろう。
「貴方たちはアリスを知っているの?」
「知ってんよ。オレ達はアリスを追ってダルマシニウム神国に来たんだからな」
「そういう事だ。俺達は聖女反対運動に興味はないんだ。本当の目的は三戒を倒してアリスを奪還する事だ」
「お二人はアリスの仲間だったのですね。でも三戒は強い。戦って勝てる相手じゃないの。だから私は聖女反対運動に参加していたの。それも無駄になっちゃったけどね」
「それなら問題ないと思う。余計な邪魔が入らなけらば、俺が三戒を倒すからさ」
「そういう事っすよ。三戒ならアニキが一匹倒してっからよ」
「三戒を倒したのですか?」
「三戒のソレータムはギリス王国で倒している。残りはリブドレンとメディクスの二人だ」
「それを早く知っていればダルマシニウムに侵入してアリスを救えたんだけど……」
ドルシーが悩んでいる。
俺たちなら三戒を倒せる可能性は高い。
だけど神官戦士の数が多すぎて三戒と直接対決する事は難しい。
消耗戦になればこちらが不利になる。
「ワシの腰が直りゃあ大神官の腰巾着の小僧など軽くぶっ飛ばしてやんのによ」
「あの小童どもの攻撃など大した事は無いけど、膝が痛くてどうにもならん」
急にアルジャーノンとリヒトが話しに入ってきた。
俺たちが三戒と戦う話しを聞いて闘志に火が付いたようだ。
本当かどうか分からないが武勇伝を語り始めた。
腰と膝が直ったら戦えるのか……それなら本当かどうか試してみるか。
俺のエナドリを使えば治せるだろうからな。
どれだけ戦えるか分からないが、多少の戦力にはなるだろう。
「ドルシー、宿で待っている俺たちの仲間を連れて来ても良いか?」
「戦力が増えるのは有難いので大丈夫です。神官戦士に捕まらない様に気を付けて下さいね」
「大丈夫だ。フェードは目立つから残ってくれ」
「了解だ!」
俺はライジングハーブを飲んだあと宿に向かった。
神官戦士が巡回していたが、エナドリで強化された俺の姿を捉える事は出来ない。
建物の上を飛び回り無事に宿に戻った。
そしてライジングハーブを作る為の道具とブタリウスを抱えて教会の地下のアジトに戻った。
「連れて来たぞ。俺たちの仲間のブタリウスだ」
「ブッ!」
ブタリウスが挨拶をするように鳴いた。
「ぶ、ブタですか?」
ドルシーが困惑している。
「ブタではない、ブタリウスだ。コイツは水魔法が使えるんだ。水魔法を使ってくれ」
「ブッ!」
俺はブタリウスが放った水魔法の水をエナドリの容器ですくってライジングハーブを作った。
「これを飲んでみてくれ」
俺はライジングハーブをアルジャーノンとリヒトの二人に渡した。
「酒じゃないのか? 酒の方が効くんだけどな」
「わしゃあ酒は飲めんぞ」
「ソイツはアニキ特製のエナドリだ! 飲んだら最高にハイになれんだぜぇ!」
「良く分からんが飲んでみるとしようか」
「ピリッとするぞピリッと」
アルジャーノンとリヒトがライジングハーブを飲むと直ぐに効果が現れた。
アルジャーノンの背筋が伸び、リヒトが痛めていた膝を伸ばしている。
「死滅のアルジャーノン復活だ。神敵の殲滅を開始する」
「絶望のリヒトも復活だよ相棒。神敵を一掃するぞ」
急に物騒になったな。
俺のライジングハーブには狂暴化する効果はないんだけどな……
「アルジャーノンさんとリヒトさんが健康になっただけでは戦力不足だと思うので、最初に捕まっているロナンドさんやフーゴさん達を開放しましょう」
「ドルシーは仲間が捕まっている場所に心当たりがあるのか?」
「あります。ダルマシニウムの地下牢です。普通は簡単には辿り着けないのですが、隠し通路から侵入すれば近いです」
「案内を頼めるか?」
「もちろんです。大神官も隠し通路を警戒しているかもしれないですが、正面入口の警備よりは神官戦士が少ないと思います」
「聖女発表まで時間が無い。決行は今夜だ!」
「了解ですぜアニキ」
「ブッブー!」
「よろしくお願いします」
「殲滅だ! 殲滅っ!」
「一掃してくれるわ!」
俺たちは夜までアジトで休む事にした。
待ってろよアリス。
すぐに助けてやるからな!




