表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/159

6話 エナドリの弱点?!

 シンシア姫とナンバーワン冒険者のローレインさんの話を聞いた俺たちは、ギリス王国南部のぺプリカ地方を目指す事にした。

 面倒だから魔王がいる北のノールイン山を目指したかったが、フェードとアリスが先に四天王を倒せと煩かったからだ。

 エナドリの力なら結界程度一撃で破壊出来ると思うんだけどね。

 せっかくだから冒険を楽しんでみようかな。

 二人を連れて王都を出て街道を歩いていると、草むらから金髪の青年が飛び出して来た。


「見つけたぞエナドリ野郎! ここでお前をぶっ潰してやる!」


 誰だったかな?

 知らない男性だ。


「どちら様でしょうか?」

「勇者のユウマだ! 忘れたとは言わせんぞ! 出でよ聖剣ブライアー!」


 ユウマが聖剣を召喚した。

 思い出した!

 勇者のユウマだった。

 一撃でぶっ飛ばしたから記憶に残っていなかったよ。


「なんだボロ負け勇者かぁ。アニキに勝てると思ってんのか? エナドリないくせによぉ。勇者如きじゃアニキからエナドリもらったオレにも勝てねぇよ!」


 フェードがユウマに向かってエナドリを突き付けている。

 な、なんて滑稽な姿なんだ。

 こんな恥ずかしい挑発を受けたくはないな。


「ダメよフェード。相手は腐ってるけど勇者なのよ。油断したらダメよ」


 アリスが真剣な表情で言った。

 真剣に言ってるけど、言い間違いしてるよな?


「言い間違いしてないかアリス? 腐ってるけど勇者じゃなくて、腐っても勇者だと思うけど」

「ま、間違ってなんかいないんだから! シンシア姫だって腐ってるって言ってたわよ!」

「ばかにするな! 私は勇者なんだぞ! 凄い力を持ってるんだ! 無双して賞賛されるのは私なんだ!」

「カッコわりぃな。話す気失せたぜ」

「子供っぽいわよね」


 フェードとアリスが呆れる。


「もういい。お前らを倒して私は勇者として王都に舞い戻る。弱点が分かった以上、お前らに勝ち目がない!」

「へっ、負け惜しみだね。一撃でやられたお前がアニキに勝てるはずが無いだろ」

「そうよね。一回スカッとやっつけたところを見ちゃったから怖くないわよね」

「馬鹿だな。エナドリを飲む前に倒せばいいだけだろ! そんな簡単に分かる弱点に気が付かないとは間抜けだな!」

「な、なんだと! どうしようアニキ! 今から飲めば間に合うか?」

「私が防御魔法で時間を稼ぐわよ!」

「遅い!」


 ユウマが聖剣から放った光を受けてフェードとアリスが吹き飛ばされた。


「さぁ、死んでもらうぞエナドリ野郎!」

「アニキいいいいっ!」

「逃げてラウル!」


 物騒だな。

 気にらないからといって、いきなり剣を突き出すものかね。

 バスン!!

 ユウマ突き出した聖剣を拳で払うと、聖剣が根本からバキッと折れて吹き飛んでいった。


「え、はっ、わ、私の聖剣が……」


 ユウマが聖剣を折られて混乱している。

 俺は荒ぶるエナドリ、レイジング・ミノタウロスを生み出して一気に飲み干した。


「ぷはっ、一仕事終えた後のエナドリは最高だなぁ」

「なんなんだお前はぁ! エナドリ飲んで無かっただろ! なのに何で私の聖剣を破壊出来るのだ! ありえん……」

「ア、アニキ……いつエナドリ飲んだんすか?」

「そうよね。エナドリ飲んでなかったわよね」

「まずは白銀滋養霊液を飲んで元気になれよ」


 フェードとアリスに白銀滋養霊液を渡した。

 二人共白銀滋養霊液を飲んで直ぐに元気になった。


「説明しろ! 説明してくれなければ納得できない……」

「オレも知りたいぜ。教えてくれアニキ」

「私も気になるわね。一体何をしたのラウル?」


 異世界人のフェードとアリスだけでなく、同じ世界の出身であるユウマにまで聞かれるとは思わなかったよ。

 皆にエナドリについて知ってもらう必要がありそうだ。


「エナドリはね。戦う前に飲む場合と、戦った後に飲む場合があるのさ」

「そうだったのか……知らなかったぜ! オレも戦った後にエナドリを飲む様にするぜ!」

「意味が分からないわよ。飲まなくても力が出せるなら飲む必要ないじゃない」

「そうだ。飲まずに力を発揮するなんて卑怯だ!」


 フェードは納得したが、アリスとユウマは納得出来ないみたいだ。


「エナドリを飲むのが先か後かを論じる事は、卵が先か鶏が先か論じる事に等しい。無駄な事は考えず、楽しくエナドリを飲んで解決しようではないか?」

「ふざけるな! 異世界なんだぞ! 魔王を倒せる力を持つ勇者が何でエナドリに負けるんだ!」

「努力が足りないから負けるんだよ。チートに頼るな。エナドリを飲んで日々鍛錬を積め」

「努力に何の意味がある! 私は魔王を倒して英雄になるんだ!」


 ユウマが走り去っていった。


「いつか努力の素晴らしさに気付いてくれると良いのだがな」

「ねぇ、ラウル? 努力しているところを見た事ないんだけど、本当に努力が必要なの?」

「あぁ、必要だよ。たぶん……」


 そういえば、転生してから一切努力していなかったな。

 次の町についたらエナドリ飲みながら勉強でもしようかな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] エナドリの前では、この世界の勇者はずっと踏み台にされる未来が見えるのが今回の話なのが…いいというか…。 それにしても、このエナドリも成長して種類や量に用途とかも変化が出て来そうな流れですね…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ