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56話 ライジングハーブ

 俺はダルマシウス神との戦いでエナドリを生み出す力を失った。

 だけど、ユウマが作ったエナドリでパワーアップしてダルマシウス神を倒す事が出来たんだ。

 それなら自分で作ったエナドリでも効果があるはずだ。

 だけど、さっきまではエナドリを作る事が出来なかった。

 でもブタリウスの魔法を見て気付いたんだ。

 今ならエナドリを作る事が出来ると!

 ここにはマックスが作ったエナドリの容器、ローレインからもらった薬草の粉末、そしてブタリウスが生み出した水があるのだから!

 俺はエナドリの容器でブタリウスが放った水をすくった後、薬草の粉末を入れてシェイクした。

 これが俺の新しいエナドリーー


「ライジングハーブだああああ!」


 俺は完成したエナドリを一気に飲み干した。

 体の中心から力が湧いてきて折れた肋骨が元に戻った。

 エナドリ四天王の様に突出した力はないが、バランスの良い力を感じる。

 力、体力、速さ、回復力の全てが上昇しているのだ!


「何をするのかと思えば、飲み物を作っただけですか。下らない。このようなザコが相手なら下級神官に相手を任せれば良かったですよ」


 ソレータムに馬鹿にされても何も感じない。

 エナドリを手に入れた時点で、俺の勝利は確定しているのだから。


「わかってねぇなぁ。エナドリを手にしたアニキに勝てるヤツなんていねぇってのによ」

「飲んだことがない奴に分かるはずがないさ。エナドリの超絶な力も、人の可能性が無限大だって事もな」

「超絶な力? 人の可能性? そんなものは弱者の妄想ですよ。強者は生まれた時から決まっているのですよ。私みたいにね。そんなに自信があるなら試して見ましょうか」


 ソレータムが鎖を振り上げ鉄球を飛ばして来た。

 エナドリがあれば、ただの鉄球など避ける必要もない。


「砕け散れ! エナドリパンチ!!」


 俺の拳が鉄球を粉砕すると、ソレータムの動きが一瞬止まった。

 驚くのも無理はない。

 素手で鋼鉄を破壊する人間なんて、普通はいないからな。

 このまま余計な事をされる前に一気にぶっ飛ばす!

 俺はソレータムに向かって走った。

 ソレータムが慌てて魔法障壁を展開したが遅い。

 今の俺の攻撃をたったの3枚の魔法障壁で防げはしないさ!


「ライジングゥウ! エナドリキィィィィック!!」


 バリバリバリィィィィン!

 俺の蹴りが次々に魔法障壁を破壊し、ソレータムを吹き飛ばした。


「これがエナドリの力だ!」

「さすがアニキ! ソレータムのヤツ、気絶してやすぜ」

「フェード、今の内にソレータムを縛っておいてくれ。ブタリウスは水魔法を使ってくれ。二人分のエナドリを作るからさ」

「ブッ!」


 フェードがソレータムを縛っている間に、俺はブタリウスと一緒にライジングハーブを作った。

 完成したライジングハーブをフェードとブタリウスに飲ませると、ソレータムにやられた傷が回復した。

 フェードとブタリウスにも効果があって良かった。

 長期保存は難しそうだが、道具とブタリウスの魔法があればエナドリをいつでも作れるのは有難い。

 今までに比べたら手間がかかるが、コンビニに買いに行くよりは手間がかからないだろう。

 前世と違って、この世界にコンビにはないんだけどね。

 さて、この後どうしよう。

 今から残りの三戒を追いかけても、ギリス王国内で捕まえる事は難しいだろう。

 それなら、一旦近くの町でソレータムを衛兵に預けて、装備を整えた方が良いかもしれない。

 ダルマシニウム神国でエナドリの材料が入手出来るとは限らないからな。

 幸いな事に、俺たちの馬車のエムスリーには大量の荷物を積むことが出来る。

 物資を運搬するのには最適だ。


「フェード、近くの町で物資を補充するぞ」

「アリスを追わないんすか? 酷い目にあってるかもしれないんすよ」


 フェードは不満そうだ。

 いつも喧嘩しているアリスをこんなにも心配してくれるとはね。

 俺もアリスの事が心配ではある。

 だがアリスは酷い目にあってはいないと思っている。

 三戒がアリスを攫った理由に心当たりがあるからだ。

 だから今は戦う準備を進める方が大事だ。


「そうしたいが、慌てて追いかけても残りの三戒に負けるだけだ。今の俺は無限にエナドリを生み出せない。エナドリの材料を補充しないとダメだろ?」

「分かったよアニキ。オレも頑張るから急ごうぜ!」

「フェードは近くの町を知っているか?」

「たしか、この近くにはコウサイドの町があったはずですぜ。コウチキカの町で商売やってた時に浴衣の材料を仕入れた事があるんすよ」

「なるほど。それならコウサイドの町へ向かおう。ソレータムを町の衛兵に預けてローレインの元に送ってもらう必要もあるからな」

「それじゃあ乗ってくだせぇ。コウサイドの町までかっとびますからさ」


 俺とブタリウスが馬車に乗ると、フェードが馬車を走らせた。

 そして、コウサイドの町へ向かった。

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