51話 和解
ダルマシウス神を倒した俺たちは下山してルイーサスの町で宿をとった。
1週間滞在したが、アルリディアが目覚める事はなかった。
このままルイーサスの町に滞在していても、アルリディアを目覚めさせる為の有益な情報は得られないだろう。
王都に戻ってローレインに聞いてみよう。
ギリス王国ナンバーワン冒険者のローレインなら色々情報を知ってそうだからな。
俺たちは急ぎ王都へ戻った。
急いで王城へ行きたかったが、寝たきりのアルリディアを連れてはいけない。
いつもの宿でアルリディアの為に部屋をとり、アリスとフェードに様子をみていてもらう事にした。
そして俺とユウマの二人で王城へ向かった。
いつも俺を案内してくれている衛兵が驚いていた。
王城前で俺にぶっ飛ばされたユウマがギリス王を連行していたのだから当然か。
衛兵に呼ばれたのだろう、直ぐにローレインが駆けつけてきた。
「ギリス王! どういう事だラウル?! それに……貴様は勇者ユウマ!!」
「お久しぶりですローレインさん。以前は失礼な態度をとってしまい申し訳御座いませんでした」
ユウマが頭を下げた。
「ほらな、俺が言った通りだろ? 今のユウマは本物の勇者になれたんだよ」
「聞いてはいたが半分信じてはいなかったよ。人は直ぐには変われないって知ってるからね」
「まだ信じられないか?」
「いや。私は冒険者として色々な人と関わってきたから分かる。本当に変わったんだな」
「信じてくれて嬉しい。これからは私もギリス王国の為に頑張るよ」
「よろしくな勇者ユウマ」
「よろしく、ローレインさん」
ユウマとローレインが握手を交わした。
「それよりコイツを牢にでも入れといてくれ。今回の魔王騒動の黒幕の手先だからな」
「ギリス王が私たちの敵だったのか。シンシア姫が悲しむだろうな……。ラウル、後で何が起きたのか教えてくれ」
「分かったよ。いつも通り応接室で待ってるから直ぐ来いよ」
ローレインがギリス王を連行していった。
俺とユウマは衛兵に案内されて応接室に向かった。
椅子に座ってくつろいでいると、シンシア姫とローレインがやってきた。
ユウマが立ち上がり、シンシア姫に頭を下げた。
「シンシア姫、今までの無礼をお許しください」
「ラウルさんとローレインから話を聞いています。頭をあげて下さい。ラウルさんと一緒に来たという事は、貴方も魔王討伐でご活躍されたのでしょ?」
「その通りだ。ユウマがいなかったら世界は終わっていたよ」
「そんな事ないですよ。世界を救ったのはラウルだから」
「先ずは何が起きたのか教えてくれよ。私たちは全く事情を知らないのでね」
「分かった。時間がかかるから座って聞いてくれ」
シンシア姫達が座ったところで、今までの経緯を話した。
魔王が実は異世界からの侵略者でダルマシウス神になりすましていた事と、本物のダルマシウス神がギリス王国の国民全ての抹殺を望んでいた事には驚いていた。
そしてギリス王が本物のダルマシウス神に従って、ギリス王国の国民を裏切っていた事を悲しんでいた。
「ありがとうございますラウルさん。貴方たちのお陰でギリス王国……いや、世界が救われました」
「私の誤った情報で苦労をかけた。お礼をしたいから、望みがあれば何でも言ってくれ」
シンシア姫とローレインが感謝している。
望みか……それなら一つしかない。
「それならケガで意識不明になった仲間を助ける方法を教えて欲しい。俺のエナドリの力で傷は塞がったが意識が戻らないんだ。アリスの回復魔法も効果がなくて困っている」
「ケガが直ったにのに意識が戻らないか……もしかして意識を直接傷つけるような攻撃を受けたのではないか」
意識を直接傷つける攻撃か。
一回も聖剣ブライアーの攻撃を受けた事がないから分から、本当に意識を傷つける効果があるか分からないな。
「ユウマは心当たりはあるか? 聖剣ブライアーの所有者だっただろ?」
「本当に精神を傷つける力があるかは分からないよ。でも聖剣ブライアーはダルマシウス神が、神に匹敵するアインバダルを傷つける為に授けたものだから、肉体だけでなく精神も傷つける力があった可能性はあるよ」
「試しに殴ってみろよ。聖拳ブライアーも同じ効果があるんだろ?」
「そ、そんな事出来ないですよ!」
「ソルラリアスの実……」
ローレインが呟いた。
「ソルラリアスの実? なんだそれは?」
「南のブリージラリアス大陸に、ソルラリアスの実という心を癒す実があると聞いたことがある」
「本当かローレイン」
「実際に手に入れた事がないから、本当かどうかは分からない。だけど、ブリージラリアス大陸出身の冒険者から聞いたことがあるんだ」
「そうか、他に手がかりがないから行ってみるよ」
「もう行くのですか?」
「あぁ、寝たきりは良くないからな。早く助けてやりたいんだ」
「そうですか。困った事があったらいつでも頼って下さい。ラウルさん達はギリス王国の恩人なのですから」
「分かったよシンシア姫。じゃあな!」
「それでは、お元気で!」
俺はユウマと共に王城を出た。
そして戻った宿の前で愕然とした。
宿が半壊していからだ。




