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48話 アインバダル

「お前は何者なんだ?」


 俺はダルマシウス神の偽物である、アインバダルに問いかけた。


「私は……ぐはっ!」


 アインバダルの腹部から剣が生えて来た?!

 いや、誰かが背後から剣を突き刺したんだ!

 アインバダルが振り返ると同時に手のひらから光を放ち、背後の人物を攻撃した。

 光を浴びて吹き飛んだのはギリス王だった。


「やった! ついにやったぞ!」


 ギリス王は顔が半分焼けただれており、体中火傷を負っていた。


「生きていたのかギリス王! 自分が何をしているのか分かっていいるのか! 貴様は滅ぼすつもりか! 民を! 世界を!!」


 トルディエがギリス王に向かって叫んだ。

 世界を滅ぼす?

 侵略者であるアインバダルを守る方が世界を滅ぼす事になると思うけど?


「どういう事だトルディエ? ヤツはアインバダル。ダルマシウス神ではないのだろう?」

「そんな事は40年前から知っている。だから裏切ったのだ。我が子の様に導き鍛えたアサヒを。共に旅した仲間に罵られながらな。このお方が我らのダルマシウス神として君臨し続ける為に……」

「もう少し分かりやすく説明出来ないのか?」

「無理っすよ。トルディエの野郎は昔から分けわかんねぇ言い方しか出来ねぇから」

「それは初耳だわ。フェードはトルディエの知り合いだったの?」

「うるせぇよアリス。知り合いなんて呼ばれたくねぇよ」

「剣で串刺しにしたくらいで私を倒せると思ったのか? 舐めるなよ人間!」


 アインバダルが立ち上がった。

 言葉の通り腹部の傷は塞がっている。

 俺のエナドリでも治せる傷だからな、ギリス王がアインバダルを倒せたとは

 思っていない。

 でも、この嫌な空気はなんだ?

 なんだか周囲が暗くなったような気がする……


「アインバダル、言い残す事はあるか?」

「まさか勝ったとでも思っているのか? 全員叩きつぶしてやるからな。まずは貴様だギリス王。私自ら引導を渡してくれる!」

「もう遅い。さようならアインバダル」


 ギリス王が何故か聖剣をしまった。

 血迷ったのか?

 このままではアインバダルが放つ光で殺されてしまう。

 光……そういえば、祭壇から立ち上っていた光の柱が消えている。

 そういう事か?

 暗くなったと感じたのは、アインバダルが力の大半を使って作っていた光の柱が消滅していたからだったんだな。


「今更戦いを止めても許しはしない!」


 アインバダルが手のひらをギリス王に向けた。


「同感よ。今更戦いを止めたって許さないんだからね!」


 アインバダルが動きを止めた。

 翼の生えた女性に頭を鷲掴みにされたからだ。


「ダ、ダルマシウス! なぜ?」


 アインバダルが初めて狼狽えた。


「何故って? 分からないの? 私を阻む結界が消えちゃったって気付いていなかったの?」

「馬鹿な……」

「そうです。お馬鹿さんです。私を追い出して神様気分は楽しかったですか?」

「違う……私が神だ!」

「違うでしょ。インベーダーさん。私の世界の訛りでアインバダルって呼んだ方がしっくりくるかな?」

「私が……私がダルマシウス神だ!」

「なりすましは死刑でぇ~す」


 鷲掴みにされた頭部から徐々にアインバダルの体が崩壊していった。


「終わった……全て終わった……ワシの努力は無に帰した……」


 トルディエが放心状態になっている。


「なんだテメェ! 名乗れや!」


 フェードが翼が生えた女性を威嚇した。

 一見、強気な態度に見えるが、実際は小刻みに震えている。

 フェードは分かっているのだろう。

 俺と互角の戦いをしていたアインバダルをあっさり消滅させた目の前の相手の強さを。


「なんで知らないのぉ? 私が本物のダルマシウス神ですよ~!」


 ダルマシウス神が無邪気に言った。

 あまりの不気味さにフェードが一歩下がった。

 ここは俺が対処するしかないな。

 コイツとは知らない仲ではないからな。


「久しぶりだな女神。転生した時以来だな」

「あれっ、名前を忘れたけど生意気な転生者! 覚えているわよエナドリなんかを要求されたの初めてだったから」

「俺はそもそも名前を知りたいと思いもしなかったけどな」

「どうでもいい話ね。今は最高に気分が良いから見逃してあげるから」

「最高に気分がよいか。アインバダルを倒したからか?」

「その通りよ。アイツのせいで自分の世界に戻れなかったんだから。気に食わない転生希望者に媚びを売って、アインバダルを倒す為に送り込むのはきつかったわよ」


 なるほど。

 俺が最初に出会った時に感じた不快感は正しかった。

 へりくだっている様で、最初から俺を含めた転生者達を見下していたのだな。

 

「ダルマシウス様、この汚れてしまった世界に祝福を!」


 ギリス王がダルマシウス神の前でひざまずいた。


「いいよ。君は薄汚れた存在だけど、特別に消さないであげるよ」

「ありがとうございます」


 薄汚れた存在と呼ばれて何故ギリス王は喜んでいるのだ?


「ラウル……ダルマシウス神を倒さないと世界を救えないかもしれない」

「急に何を言い出すんだアリス? アリスはダルマシウス神の神官だろ? それなのにダルマシウス神を倒すと言うのは何故だ?」

「それは私がダルマシウス神の神官だからよ。偽物の方のね。本物のダルマシウス神にとって、私たちは偽物が生み出した、偽物を信奉する邪魔な存在でしかないと思うの。だからギリス王は私たちのダルマシウス教を弾圧しようとしていたんだと思う」

「せぇ~か~い! 合ってるよお嬢さん! 滅ぼすよ。アインバダルが作った物は全て。この世界に在って良いのは私の物だけだから」


 とんでもない事になってきたな。

 魔王騒ぎどころではない世界の本当の危機だ。

 でも解決方法は分かっている。

 目の前にいるダルマシウス神をぶっ飛ばせばいいだけだ!

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