45話 聖剣再び
「おいっ、何で俺に助けを求める?」
「見て分からんのか? あの騎士共に追われているんだよ!」
ギリス王が必至な形相で追いかけてきている騎士を指差している。
「どういう事だ? 追いかけてきているのは護衛の騎士ではないのか?」
「元護衛の騎士だ。旅の資金が尽きただけで裏切りおったのだ。頼む! 助けてくれたら報酬を与えよう! だからワシを王都へ送り届けるのだ!」
ギリス王が俺に助けを乞う。
少しだけ迷ったが、俺はギリスを守る事にした。
もらえるかどうか分からない報酬に期待しているのではない。
追っ手の騎士から助けないと情報を聞き出せないと思ったからだ。
ギリス王が魔王を倒そうとしている理由と、ダルマシウス教を排除しようとしていた理由を聞き出したいからね。
「助けてやる。俺が騎士を倒すまで背後に隠れてろ」
俺はギリス王の横を抜け、追っ手の騎士の前に出た。
「大義である」
ギリス王がフェード達の方に逃げて行った。
魔王に操られてギリス王を殺そうとしているアルリディアは、フェードが抑えこんでいるから大丈夫だろう。
さて、あとは追っ手の騎士たちに帰ってもらうだけだ。
「止まれ。ギリス王の身柄は俺が預かった。報酬なら後で払わせるから一旦引いてくれ」
「それは出来ない。我々には使命がある」
騎士達のリーダーらしき男が答えた。
使命だって?
報酬の支払いがないからギリス王を追いかけてきたのではないのか?
「止まらないなら俺が相手だ! 俺は強いから、戦ったら命を失うかもしれないぜ?」
「命を失う事など恐れはしない。我らの命はダルマシウス神に捧げたのだから。貴様も使命を果たすのだ! 我らと共に!」
俺は騎士の言動に違和感を感じた。
コイツ等は狂信者の目をしている。
報酬を欲しがってギリス王を追いかけて来たのではないっ!
嘘をついたな! ギリス王!!
「何しやがんだテメェ! ぶっ殺すぞおおおお!!」
フェードの悲痛な叫びが聞こえたので振り返ると、ギリス王がアルリディアの腹部に剣を突き立てていた。
あの剣は……勇者ユウマが使っていた聖剣ブライアー。
俺が砕いた聖剣を何でギリス王が持っているんだ?
「ついにやったぞ! これで四天王は全滅した。魔王の結界が弱まった今なら、この聖剣ブライアーで破壊出来る! 奴らの足止めをしろ!」
ギリス王が結界の方に走ると同時に騎士たちが襲ってきた。
くそっ!
明らかに弱いギリス王なら何も出来ないと油断した俺がバカだった。
「フェード! 代われ! 騎士を排除しろ!」
俺はアルリディアに駆け寄ると同時にスピーディー・ケンタウロスをフェードに投げた。
「サンキューアニキ! エナドリ飲んでやってやるさ!」
フェードが騎士たちと戦いを始めた。
「アリス! ブタリウスと俺を守ってくれ!」
「もうやってる! だからアルリディアを助けて!!」
アリスは俺の指示より早く防御魔法を展開していた。
間に合ってくれよ。
俺は倒れているアルリディアの隣に座り、癒しのエナドリ白銀滋養霊液を飲ませた。
ドカーン!
結界の方から轟音が鳴り響いた。
どうやらギリス王は聖域の結界を破壊に成功したようだ。
だが、そんな事を気にしていられる状況ではない。
俺は必至に白銀滋養霊液を生み出してアルリディアに飲ませ続けた。
「アニキ、片付けましたぜ」
フェードが俺の隣に座った。
「そうか。騎士六人相手によくやった。ギリス王の護衛だったから強かったんじゃないか?」
「大した事ねぇすよ。それよりアルリディアは大丈夫ですか?」
「分からない……」
他の四天王の様に消滅していないからアルリディアは死んではないと思う。
でも理由は分からないが意識が戻らない。
「これからどうするのラウル?」
アリスが俺の隣に座った。
「ギリス王を追いかける」
「追いかける必要あるのかな。ギリス王が持っていたのは聖剣でしょ。今から追いかけても、ギリス王と魔王の戦いは終わっていると思うわよ」
「それでも見届けるさ。このままでは終われないだろ?」
「当然っすよ! 落とし前をつけてやろうぜ!」
「もう少し頑張ってみようかな。ダルマシウス教を広めて来た神官として、真実を知りたいと思ってはいるからね」
「それなら、こんなところで座り込んでいる場合ではないな。立ち上がるぞフェード、アリス!」
「おうよ!」
「了解!」
俺たち3人は同時に立ち上がった。
「ブタリウス、少し大変だけどアルリディアを頼む」
「ブッブブー」
ブタリウスが勢いよく鳴いた。
たぶん俺の意図を理解してくれたのだろう。
俺達はブタリウスが背負っていた旅の道具を放棄し、代わりにアルリディアを背負わせた。
そしてギリス王が向かった結界の先に進む事にした。
この先で何が起きるか分からない。
それでも俺たち3人なら乗り越えられるさ。
待ってろよギリス王と魔王!
俺たちは負けないからな!!




