表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/159

42話 四天王マルリニス

 フェードとの特訓を終えた翌日、俺たちはノールイン山脈へ向かった。

 ここから先には町や村はないから、ブタリウスが運んでくれている食料が大事になる。

 旅の途中に動物を狩って食料を確保すれば良いのかもしれないが、俺には食料の知識が足りない。

 変な動物を食べて体調を崩したくはないな。

 そもそもノールイン地方は他の地方と比べて動物が少ない。

 途中出会ったのはぺプリカ地方で戦ったレッドウルフやグリーンウルフの様な獣タイプの魔獣や、アルライラ地方で出会った獣人タイプの魔獣ばかりだった。

 さすがにコイツ等は食えないだろうな。

 食料が減ってきたら一度ルイーサスの町に戻ろうかなと思いながら旅を続けていたら、ノールイン山脈の麓まで来ていた。


「ねぇラウル? あそここに小屋があるわよ。あそこに謎の女性剣士がいるんじゃないかな?」


 アリスが指を指した。

 たしかに小屋があるな。

 フェード達が入手した情報通りであれば、ここに四天王マルリニスがいるだろう。


「アリスはブタリウスを守ってくれ。アルリディアは相手がマルリニスか確認してくれないか? フェードは俺と一緒に戦いの準備をしてくれ」

「任せてね。ほらっ、一緒にいくわよブタリウス」

「わかりました。相手がマルリニスか確認してみます」

「了解だアニキ! 特訓の成果を見せてやるぜぇ!」


 俺たちは奇襲を受けないよう、ゆっくり小屋に近づいていった。

 突然、小屋の扉が開き女性が出て来たので緊張が走る。

 この女性……何で6本も剣を携えているのだろう?


「何者だ? ここから先は魔王の領域。人がくる場所ではない」

「知ってるわよ。40年ぶりだねマルリニス。こんなところに住み着いて何をしてるの?」


 アルリディアが女性に近づいていった。


「アルリディアか! 生きていたんだね。だけど、その姿は?」

「マルリニスと同じだと思うわよ。40年前と姿が変わらないって事は、魔王配下の四天王として生まれ変わったって事よ」

「そうか……傷が浅かったアルリディアだけは人として生き延びてくれたと思っていたのだがな」

「残念ながら私もダメだったのよ。でも魔王様のお陰で生き延びてはいるけどね。色々話したい事があるの」


 アルリディアがマルリニスと昔話を始めた。

 噂の女性の剣士は四天王マルリニスで合っていた。

 どうやらアルリディアとマルリニスも、お互い四天王になっていた事を知らなかったようだ。

 謎が多すぎて色々聞きたかったが、少し離れたところで二人の会話が終わるのを待った。

 30分後、アルリディアが休憩している俺たちの元に戻って来た。


「待たせちゃってゴメンねラウル。もう思い残す事はないわよ」

「思い残す事はないとはどういう意味だ?」

「マルリニスの願いを聞いてあげて」

「マルリニスの願いだと? 何をすればよいのだ?」


 アルリディアが黙ってマルリニスを指差した。

 直接聞けって事か。

 俺はマルリニスに近づいた。


「アルリディアから願いがあると聞いた。何を望んでいる?」

「私の願いは剣士としての死。私を剣技で殺してくれ」

「何故死を望む?」

「私は魔王に破れて四天王として生まれ変わった。私の使命はギリス王国の王族の抹殺。でもそれは私が望んだ事ではない。私はアサヒを守る剣士として生きたかった。でも守るべきアサヒはもういない。だから、せめて剣士として戦って終わりたい」

「使命を捨てて生きられないのか?」

「それは出来ない。だから新たな勇者が訪れるだろうこの地で待った。私を討てる強者を!」


 そう言うと同時に、マルリニスの背中から四本の腕が生えた。

 そういう事だったのか。

 一応人の姿を保ってはいたが、マルリニスはプレテイアスやダルダラントの様に魔獣に近い存在となっていたのだな。

 でも俺はマルリニスの願いを叶えてやる事は出来ない。

 剣を扱った事がないからだ。


「オレがやるっすよ」


 フェードがナイフを抜いて俺の前に出た。


「フェード、やれるのか?」

「やれるっすよ。アニキとの特訓の成果を見せてみますから」

「そういう意味ではない。既に魔獣になっているとはいえ、人としての意志を持ったマルリニスを倒せるのか?」

「倒すなんて温い言い方しないでくださいよ。殺るんすよ。目の前の魔獣を!」

「ありがとう。貴女が私のワガママを聞いてくれるのね」

「ワガママじゃないっすよ。ただ人類の敵を討つだけっす」

「そうね……始めましょうか!」


 マルリニスが6本の腕で剣を振るいフェードに襲い掛かった。

 フェードが一本のナイフだけで器用に受け流している。

 だが、いくら受け流しても防戦一方だ。

 六本の腕で繰り出される攻撃をかいくぐって攻撃をするのは難しい。


「つまらないわね。切り刻まれなかった事は褒めてあげるけど、魔獣となった私の力を越える事は出来そうもないわね。この六連撃を何時まで防ぎきれるかしら?」

「そんなに長く戦うつもりはないっすよ。マルリニスさん、アンタ魔獣になって弱体化してるっすよ」

「大口を叩かないほうが良いわよ。二本腕より六本腕の方が強いに決まってるでしょ。ナイフ一本で出来る事なんて限られているのよ!」


 マルリニスの攻撃速度が更に上がった。

 さすがに攻撃を防ぎきれないと判断したのだろう、フェードが飛びのいてマルリニスから距離をとった。

 どうする?

 マルリニスの願いを無視してフェードに加勢するべきだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ