41話 予想通りではない?!
王都を旅立だった俺たちは、ノールイン地方の唯一の町であるルイーサスの町を目指した。
そろそろだろうか。
街道を半日歩いたところで俺は立ち止まった。
「どうしたんすかアニキ?」
「いつも通りであればトルディエが現れる頃だと思っただけだ」
「アレが出てくるなら私の出番ね」
アルリディアが殺意を剥き出しにする。
「落ち着けアルリディア。トルディエが現れても戦うな。奴に聞きたい事がある」
「聞き終わったら倒しても構わないって事かしら?」
「それは聞き出した内容次第だ」
「アレが嘘をつくかもしれないわよ。騙される前に倒すべきだわ」
「俺はそんなに簡単に騙されはしないさ。それにトルディエが言っている事が正しいか全員で考えれば騙されにくいと思う」
「私もラウルと同じ思いよ。少しだけトルディエの話を聞いてあげて」
「仕方がないですね。でも、今度こそ逃がしはしませんよ」
アリスも俺に同意したので、アルリディアは渋々俺の提案を受け入れる事にしたようだ。
3人で話をしている間、フェードは辺りを警戒していた。
トルディエが現れたら少しでも早く攻撃したいのだろう。
でも、そんなフェードの努力は無駄となった。
トルディエが現れなかったからだ。
何故だ?
いつもなら無駄な忠告をしてくる頃合いなのに……
ここでトルディエが現れるまで立往生しているわけにはいかないか。
仕方がないので、そのままルイーサスの町へ向かう事にした。
王都を出て2日。
俺たちはルイーサスの町に辿り着いた。
宿を確保し、ブタリウスをあずけた後に情報収集を行う事にした。
全員で行動したら効率が悪いので二手に分かれる事にした。
トルディエの事で暴走するかもしれないアルリディアを止められるのは俺だけだ。
だからフェードの事はアリスにまかせて、俺はアルリディアと一緒に情報収集をする事にした。
聞き取りをした内容は3つある。
一つ目は四天王マルリニスの居場所についてだ。
残念ながらルイーサスの住民は誰もマルリニスの居場所を知らなかった。
どうやら四天王マルリニスは他の四天王と違って、ノールイン地方を侵略するどころか姿すら見せていなかったのだ。
二つ目はトルディエの居場所についてだ。
住民達の中には40年前に勇者一行がルイーサスの町に立ち寄った事を知っている人がいたが、賢者トルディエの事は誰も知らなかった。
容姿で説明したら分かるかと思って聞いてみたが、老年の賢者の姿をした余所者は現れていないとの事だった。
どうやらトルディエはルイーサスの町には立ち寄っていないみたいだ。
三つめは魔王についてだ。
40年前に勇者が魔王討伐に旅立った事を知っている人はいたが、魔王の存在について誰も知らなかった。
この事については意外だった。
てっきり魔王が侵略をしてきたから、過去の勇者が魔王討伐の旅に出たのだと思っていたからだ。
だが、魔王がいたノールイン山脈に一番近い場所にあるのに、今までルイーサスの町が侵略を受けた事がなかったのだ。
何故40年前の勇者一行は魔王を倒す必要があったのだろう?
そして、何で失踪したギリス王は勇者ユウマを使って魔王を倒そうとしていたのだろう?
対立している理由はまだ分からないが、この戦いはギリス王と魔王の個人的な確執が原因なのは間違いない。
一緒に情報収集をしているアルリディアは何も教えてはくれない。
中立を保つ為、あえて黙っているのだろう。
宿に戻りフェード達と合流した後、お互いの情報を交換する事にした。
フェード達が入手した情報の中にノールイン山脈の麓にいる謎の女性の剣士についての情報があった。
情報をくれたのは片腕の元冒険者だった。
魔王がいるとされているノールイン山脈の麓にいるのが珍しかったので、腕試しをしたら一瞬で腕を切り落とされ逃げ帰ったそうだ。
その後も面白半分でちょっかいを出した旅人などが、謎の女性の剣士に撃退されているそうだ。
「アルリディア。アゾからマルリニスは剣士だったと聞いているが性別までは聞いていない。もしかして女性だったりするのか?」
「マルリニスは女性よ。たぶんその女性の剣士、マルリニスだと思う」
アルリディアが素直に教えてくれた。
「それなら早く行こうぜ! マルリニスを倒して魔王もぶっ飛ばしてやるぜぇ」
「ダメよフェード。女性の剣士って事は人型を保っているって事よね。それならアルリディアと同じで意志の疎通が出来るかもしれないでしょ?」
「アリスの言う通りだな。まずは話をしてみよう。魔王に近いノールイン山脈の麓にいるという事は、俺たちが知らない魔王の情報が得られるかもしれないからな」
「分かったよアニキ。いきなり戦うのは止めておくぜ。でも最近暴れ足りねぇから腕が鈍っている気がすんだよな」
「それなら俺が相手をしてやろうか?」
「ホントっすか? さっそく頼みますぜ!」
「明日になったらノールイン山脈に向かうから、アリスとアルリディアはゆっくり休んでいてくれ」
「了解ラウル。フェードをぼっこぼこに鍛えて上げてね~」
「わかりました。また明日」
俺はフェードと共に町の郊外へ行き特訓を始めた。
こうやって体を動かしていると悩みがすっとんでスッキリするよな。
気分が乗ってきたので、フェードの気が済むまで特訓の相手をする事にした。




