31話 失踪したギリス王
遺跡を出た俺たちはコウアリアの町に戻った。
そして冒険者ギルドで未踏区域の入り方の説明をした。
直ぐにギルドの調査隊が初心者の遺跡に向かう事になった。
調査には数日かかるとの事だったので、俺たちはコウアリアの町でノンビリ過ごす事にした。
3日後、ギルドから連絡が来たので報酬を受け取りに行った。
どうやら遺跡の最深部に向かう合言葉を調べてくれたようだ。
世界各地にある冒険者ギルドとはいえ、邪悪なる者として一国の王の名前を呼ぶことを公表出来なかったからだろう。
ギルドが調べた合言葉はアインバダルだった。
アインバダルという言葉の意味は、多くの情報が集まるギルドでも分からなかったようだ。
長く滞在したので、さすがにブタリウスもペプリカント地方の食事に飽きて来たようだ。
さて、王都に戻ってローレインから次の四天王の情報を聞き出そうか。
どうせ、東のアルライラ地方に向かうように言われるだけだと思うけどね。
俺たちは王都に戻り、いつものにブタリウスをあずけた。
一晩休んだ後、皆で王城へ向かった。
いつもの応接室へ案内されると、シンシア姫とローレインがいた。
「御無事でなによりです」
「戻って来たって事は四天王アルリディアを倒せたのかい?」
「倒したぜ! あとの事はマックスにまかせたけどな」
「そうか。マックスが苦戦する相手がどんなヤツか見てみたかったな」
「苦戦した相手なら目の前にいるぞ」
俺はアルリディアを指差した。
「この女性が四天王アルリディア? 冗談だろラウル。アルリディアは剛腕のマックスが苦戦した相手だぞ。それにアルリディアはラウルが倒したのだろう?」
「倒したよ。商売対決でな」
「商売対決?! 一体ペプリカント地方で何が起きていたんだ?」
俺は混乱しているローレインに事情を説明した。
「なるほど。そういう事だったのか。マックスは説明が足りなかったな。そういう事情なら商人を手配したのにな。でもラウルが商売も得意で良かったよ」
「当然だぜ! アニキは何をやっても最高なんだからな!」
「失礼でしょフェード。姫の前なのよ」
「うっせぇアリス。アニキの偉大さは王族も知っておくべきだぜ!」
「フェードは偉そうなのよ。ゴメンなさいね姫。私がしつけておきますから」
「お気になさらないで下さい。フェードさんなら平気ですから」
「姫はフェードに甘すぎます!」
何故かアリスが姫に怒りだした。
アリスも失礼だと思うぞ。
でも姫がフェードに甘いってのは同感だな。
不敬罪で処刑されてもおかしくはないぞ。
「俺も姫はフェードに甘いと思うぞ」
「そう見えますか。つい気を許してしまうのはフェードさんが私と似ているからですよ」
「そうだったのか! 姫もアニキを尊敬してたんだな! だったら早く言えよ!」
フェードが姫の背中を馴れ馴れしく叩いている。
おしとやかな姫が粗暴なフェードと似ている?!
ますます分からなくなったきた。
性格だけじゃなくて、見た目だって全然違うだろ。
姫は綺麗なストレートヘアをしているけど、フェードの髪は垂直に天をついている。
髪の長さは同じだけど、髪の向きが正反対なんだよ。
姫が変な事を言うからローレインだって困っているだろ。
フェードと姫を交互に見ているじゃないか。
「お話の邪魔をしてしまったようですね。四天王のアルリディアさんが味方になったのであればペプリカント地方は大丈夫でしょう。ローレイン、次の四天王の情報について説明して下さるかしら?」
「お任せ下さい姫」
ローレインが次の四天王の情報を教えてくれた。
次の四天王ダルダラントは予想通りアルライラ地方を支配していた。
毒物でアルライラ地方の住民を弱らせて一気に支配したそうだ。
王都からの援軍も全員毒にやられてしまったらしい。
俺が旅立つ前はいなかったから最近出現したのだろう。
毒を使うなんてゆるせないな。
両親が心配だから早くアルライラ地方に行かないとな。
その前に一つだけ確認しておこう。
「四天王の情報を教えてくれてありがとうローレイン。最後に姫に聞きたい事があるんだけどいいか?」
「なんでしょう?」
「ギリス王を見かけないけど元気か?」
「ギリス王……父の居場所は私も知りません」
「どういう事だ? 王がいなくなったら一大事じゃないのか?」
「一大事ですよね。でもどうする事も出来ないんです。捜索を行えば、父が行方不明だと国民に知られてしまうので」
「私が代わりに捜索に行きたいが姫を守る役目があるからいけないんだ。ラウル達が四天王を倒してくれたら自由になれるんだけどね」
「そうだったのか。姫はギリス王の行き先に心当たりはないのか? ユウマをぶっ飛ばして恥を書かせた俺に恨みがあるとかさ」
「私も最初はラウルさんに復讐するのではないかと心配しておりました。でも父はラウルさんの事より、勇者ユウマが敗北した事を気にしておりました」
「ユウマの敗北がそんなにショックだったのか?」
「偶然なのですが、父が役立たずの勇者のせいでダルマシウス様の悲願が達成出来ぬと言っているのを聞きました。父は敬虔なダルマシウス教の信者では無かったので驚きました。最近の父はダルマシウス教を信じるどころか、逆に排除する政策を進めていたのですよ」
どういう事だ?
ダルマシウス教はギリス王国の国教ではないのか?
なんでギリス王がダルマシウス教を排除しようとしていたのか、俺には分からなかった。




