表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/159

3話 結成! ティーパーティー?

 俺はフェードとアリスと一緒に冒険者ギルドに辿り着いた。


「アニキ、冒険者ギルドに来た目的は登録ですか? 依頼ですか?」

「登録だよフェード。これから冒険者とやらをやってみようと思っている」

「さすがアニキ! アニキなら最強の冒険者になれますぜ。ささっ、こちらが受付ですぜ」


 フェードの案内で受付の前に立った。


「新規登録ですか?」


 受付のお姉さんが笑顔で言った。


「そうだ。登録をたのむ」

「それでは登録用紙に記入をお願い致します」


 俺は受付のお姉さんが登録用紙を取り出した。

 結構アナログだな。

 こういうのは魔法で登録とか、ギルドカードで自動登録するのが主流だと思っていたよ。

 さて、どちらの名前を名乗ろうか?

 前世である力男にするより、この世界での名前のラウルの方が過ごしやすいのかな。

 戸籍の概念があるか分からないけど、後でトラブルが起きても面倒だからラウルにしよう。

 俺は必要事項を記載して提出した。


「ーーのお名前をお願いします」


 何で名前を聞くのだ?

 いま必要書類に書き込んだと思うのだけど。

 少し考え事をしていて聞いていなかったとは言いづらい。


「フェードだぜぇ」

「アリスです」


 何故、お前らが名乗るのだ?

 これは俺の冒険者登録だぞ。


「フェードさんとアリスさんですね。冒険者登録の確認が取れました。ラウルさん、パーティー名は決まってますか?」


 何を言っているのだ受付の女性は?

 冒険に出るにパーティーだって?

 変な奴だな。


「パーティー名って、ティーパーティーみたいなものか?」

「ティーパーティーですね。他に登録がないのでパーティー登録完了です」

「アニキと同じパーティーになれて感動ですぜ! これからはいつも一緒ですぜ!」

「嫌がっていても、結局私を必要としてくれるのね。恥ずかしがり屋さんなんだから!」


 何故かフェードとアリスが喜んでいる。


「ちょっと待て。どういう事だ?」

「なに言ってんすかアニキ。冒険者パーティーにオレ達を登録してくれたじゃないすか?」

「そうよ。パーティー登録したから、もう逃げられないわよ」

「な、なんだと?!」

「ラウルさんは正式にフェードさんとアリスさんの二人とパーティー登録を完了させておりますよ」


 受付のお姉さんの言葉が突き刺さる。

 考え事をして聞いていなかったのがいけないけどさ、途中で聞き返しておけば良かったよ。

 フェードとアリスが結託して俺とパーティー契約をするとはね。

 取り消しする事も可能だと思うけど、これも運命か。

 冒険に出る以上、仲間を集める必要はある。

 俺にはエナドリがあるけど、一人で何でも出来るとは思ってはいないからね。

 アリスは何が出来る分からないが、フェードはお笑い枠で活躍出来るだろう。

 最初の冒険に出るには十分な面子だ。


「受付のお姉さん、今の俺たちが受けられる依頼はあるか?」

「今は依頼がないのよ。実は王がギルドの依頼を差し止めているのよ。詳しい事情は発表されていないけど、どうやら魔王が復活したらしいのよ」

「魔王の復活が何でギルドの依頼と関係があるのだ?」

「冒険者を魔王討伐に向かわせたいみたいなの。だから通常のギルドの依頼を受けて欲しくないみたいなの。ちょうど明日、王宮に冒険者が集められるから行ってみたらどうかな? 高名な冒険者が集まるから、新米冒険者にとっても有益だと思うわよ」

「そうか、行ってみる事にするよ」


 俺は冒険者ギルドを後にした。


「王宮に行くの楽しみっすね。高名な冒険者どもにアニキの凄さを見せつけてやりましょうぜ!」

「ムリに決まってるでしょ。私たちは新米冒険者なのよ。ラウルはモンスターと戦った事あるの?」

「ないね。モンスターと言われているような人間とは戦った事はあるけどね」

「さっすがアニキ! 当然、魔王討伐を目指すんですよね?」

「本当に魔王討伐に名乗りをあげるつもり? 恥をかくから止めておいた方が良いわよ」

「それはない」

「何でですかアニキ! アニキがやらなかったら、誰が魔王を倒すんですか?」

「勇者か最高ランクの冒険者に決まってるでしょ。ラウルが常識人で良かったわよ。魔王は倒せなくても、少しは貢献出来るように頑張りましょう! 最初は弱い敵と戦って経験を積まないとね!」

「アリスの言う通りだ。最初は弱い奴を倒そう」

「なんでだよアニキ! 弱い奴を倒すなんてカッコ悪い事を言わないでくれよ!」

「弱い敵を倒しながらコツコツ腕をあげるのが冒険者の王道なのよ。冒険に出るのが楽しみね」

「そうだな。早く王を倒そう」


 急に足音が消えた。

 フェードとアリスが足を止めたようだ。

 振り返ると二人共驚いた顔をしていた。

 そんなに変な事を言ったかな?


「さすがアニキ! 王を倒す! そんな事考えた事もなかったっす!」

「何言ってんのよ! 正気?! 今の流れで何で王を倒すって話になるのよ!」

「王は冒険者ギルドに圧力をかけた。奴は悪だ」

「圧力じゃないでしょ! 魔王が復活したなら当然の対応だと思うわよ」

「俺の冒険を阻む事は当然の事ではない。許す事は出来ない」

「そうっすよ! アニキの道を阻む奴は悪ですぜ!」

「王を倒せるはずがないでしょ! もう! 大変な事になっても知らないからね!」

「かまわん。宿を探すぞ」

「それならオレが泊っている宿に行きましょう!」


 俺たちはフェードに案内された宿に泊まる事にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ