表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/159

27話 勝ったのか?

「アニキはどうやってアルリディアに勝つんすか? こんな凄い食べ物を作れる相手に商売で勝てると思えないっす」


 フェードがワッフルをかじりながら言った。


「私も同感ね。良いお店だったと思うわよ。あれなら王都でも通用すると思うわよ。ローレインさんに商人を派遣してもらっても勝てるとは思えないわ。今回は一撃で倒すのはムリでしょ?」


 アリスはアルリディアに勝つことを諦めている様だ。


「ワシは何の為にここまで来たのだ? 何も出来ず、指をくわえてアルリディアがコウチキカ地方を支配するのを眺めている事しか出来ない」


 マックスが嘆いている。

 3人ともアルリディアに勝つのが不可能だと思っているようだ。

 だが俺は勝てると思っている。

 俺の能力は敵を物理的に攻撃するだけのものではない。

 3人にエナドリの本来の力を教えてやろう!


「俺たちでアルリディアに勝つぞ。アルリディアと同じように売れる商品を開発して売れば絶対勝てると思う」

「どうやって売れる商品を開発するんすか? オレは食い物の開発なんてやった事ないっすよ」

「私もよ。いつも食事は教会で用意してもらってたから、料理はやった事がないのよ」

「ワシは武器を振るう事しか出来ないぞ」

「今から俺が仕事を教えるから覚えろ」

「よっしゃぁ! アニキが教えてくれるなら百人力だぜ!」

「仕事を教えてくれるのは有り難いけど、アルリディアに勝つのに何年かかるか分からないわよ。相手は商売専門って感じだったじゃない」

「その通りだ。素人のワシらが努力したところで、たかが知れていると思うが?」

「普通に努力しただけではムリだろう。だが、俺にはこれがある」


 俺はマイティ・サイクロプスを3本生み出してテーブルに置いた。


「マイティ・サイクロプスっすね。防御力を上げて何をするんすか?」

「戦いをしないのにエナドリが必要なの?」

「エナドリとはなんだ?」

「マックスはエナドリを見るのが初めてだったな。エナドリはな、努力するヤツの味方なんだぜ。コイツを飲めばキツイ特訓にも耐えられるようになる。試しに飲んでみろよ」


 3人がエナドリを飲んだ。


「燃えてきたぜ! アニキ! オレは何をすれば良いっすか?」

「私は看板娘ってところかしらね」

「ワシでも役に立てるのだろうか?」

「大丈夫だ俺に任せろ!」


 アルリディアの店を見て分かった。

 貿易が盛んなコウチキカ地方では、珍しいものを売れば儲かるってね。

 俺は料理には詳しくないが、転生前の知識があれば珍しいデザインの物を作る事が出来ると思う。

 色々候補があったが、俺が作ろうと決めたのは浴衣だ。

 山賊ファッションだと思っていたフェードの服装がドルミニ帝国の最新ファッションだったって分かったからね。

 ファッションに興味があるなら、俺の下手な絵でも浴衣を再現出来るだろう。

 財務面はマックスに任せよう。

 不器用だけど真面目なヤツだと思うからな。

 今日からマックスはインテリ筋肉になるのだ!

 アリスは任せる仕事がないな。

 本人の希望通り看板娘でいいかな。


 一週間後、俺たちの浴衣が出来た。

 俺たちのパーティー名の通り、ティーカップやハーブの絵が描かれた浴衣だ。

 アリスに浴衣を着てもらって、コウチキカの町を歩いてもらう事にした。

 なかなか良いな。

 期待していなかったが、浴衣を着たアリスは可愛かった。

 アリスが浴衣を着てコウチキカの町を歩いた翌日には、浴衣が爆発的に流行った。

 生産が追いつかないので俺は従業員を雇う事にした。

 俺たちの店の売り上げは、直ぐにアルリディアの店の売り上げを越えた。

 アルリディアが販売しているパンより、浴衣の方が単価が高いからね。

 でも毎日買ってもらえないから、毎日消費するパンより売れ続けるのが難しいって弱点もある。

 人気が落ち着く前に一気に決着をつける!

 看板娘のアリス様をさらに活躍させるのだ。

 俺はダルマシウス神が描かれた浴衣をフェードに作らせ、アリスに着てもらう事にした。


「私たちが作った新しい服である浴衣は、ダルマシウス教認定の服装です! ダルマシウス神が描かれた限定品の販売を始めました。信者の皆さま! ぜひ購入して下さい!」


 アリスが宣伝すると、さらに爆発的に浴衣が売れた。

 ダルマシウス教の総本山であるダルマシニウム神国に近い場所なだけはある。

 神官のアリスが宣伝しただけで、ここまでの効果があるとはね。

 俺たちの店は僅か3週間でコウチキカの町で一番の売り上げとなった。

 今はアルリディア商会より、俺たちティーパーティーの方が上だって事さ!

 俺たちは再びアルリディアの店を訪ねた。

 店に入ると、何も言わなくても従業員が代表のアルリディアを呼んできた。

 俺たちも有名になったものだな。

 店の奥から出て来たアルリディアは浴衣を着ていた。

 アルリディアも俺たちが作った浴衣を気に入ってくれたようだな。

 魅力的なボディラインが強調されており、アリスとは違った意味で似合っている。


「ようこそティーパーティーの皆さん。皆さんのお陰でコウチキカの町が活気づきました。私たちの店も商売繁盛してるんですよ。私も浴衣を気に入ってるのよ」


 アルリディアがクルッと回ってみせた。

 俺たちが作った浴衣を気に入ってくれているようだな。

 あれっ、俺はアルリディアに勝ったんだよな?

 でも、やっつけた感じはしないよな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ