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16話 魔獣の王プレテイアス

 賢者トルディエの忠告を無視して旅を続け、ぺプリカントの町の近くに辿り着いた。

 援軍はまだ来ていないが、このまま町へ進んでも大丈夫だろうか?


「サッサとかたずけちゃいましょうぜ! アニキのエナドリがあれば無敵だなんですからさ!」

「そう簡単にいかないかもしれない」

「なんでですか? アニキの一撃に耐えられる奴なんていないっすよね?」

「その通りだ。だから相手がプレテイアスだけなら問題はない」

「親玉の四天王を一撃で倒せるのに何を気にしてるんすか?」

「敵の多さだ。エナドリを使い過ぎる事になるかもしれない」

「ザコが多くて何で困るんすか? アニキは無限にエナドリを生み出せるから、敵が多くてエナドリを使いすぎても問題無いっすよね?」


 フェードはエナドリの弱点が分からないから、俺が気にしている事を理解出来なくても仕方がない。

 エナドリは頑張る前に飲んでも、頑張った後に飲んでも効果がある。

 でも飲み過ぎだけはダメなんだ。

 ダルダルシアの町の戦いで、俺は無数のエナドリを作り出した。

 でも自分一人で飲んだのではない。

 住民全員に配ったから問題なかったのだ。

 全部自分で飲んだらカフェイン中毒で倒れていたと思う。

 エナドリの弱点をフェードに教えた方が良いのだろうか。

 どのような影響を与えるか分からないから悩ましい。

 万能だと思っていたエナドリに弱点があったらガッカリするだろうか……


「フェードが無謀なだけよ。エナドリが凄くても、戦うのは私たちなのよ。肉体的な疲労は回復出来ても、精神的な疲労まで完全に回復なんて出来ないんだから。慎重なくらいがちょうどいいのよ。そうだよねラウル?」

「あぁ、そうだな」

「アリスの意見に同意するなんてアニキらしくねぇぜ」

「俺はそんなにアリスの意見に否定的か?」

「そんな事ないわよ~。私はいつでも正しいんだから、フェードも私の意見を聞きなさいよ」

「嫌だね! オレはダルマシウス教を信じてないからな!」

「喧嘩は止めよう。フェード、ダルマシウス教を信じていなくても、アリスは信じてやってくれ」

「分かったよアニキ……」

「分かってくれれば良いのよ。仲良くしようねフェード」


 アリスはフェードを仲良くなろうとしているが、フェードはアリスの事を避けているように見える。

 最初に出会った時程では無いけどね。

 そういえば賢者トルディエの事も異様に避けていたよな。

 他人とコミュニケーションがとれないタイプなのか?

 いや、俺やゲンジロウとは親しく話をする事が出来ていた。

 どういう基準で親しくなろうとするんだろう?

 不思議なやつだよな。

 さて、このまま険悪な状態でいたらダメだな。

 こういう時はスカッと敵を倒して気分よく決着を迎えれば良いさ!


「このままペプリカントの町の奪還に向かうぞ! ブタリウスは戦闘に巻き込まれないように待機していてくれ」


 俺はブタリウスを町の外に待機させた後、フェードとアリスと共にペプリカントの町の北門に向かった。

 北門は破壊されていたので、簡単に町に侵入する事が出来た。

 辺りを見回したが人の気配はなかった。

 生きている人はいるのだろうか?


「このまま一緒に行動する? それとも手分けして生存者を探す?」

「まだ状況が分からないから一緒に進もう。俺が前方の敵に注意する。フェードは後方を警戒してくれ。アリスは生存者の気配がないか見渡してくれ」

「任せてくれアニキ!」

「フェード声大きすぎ! 静かにして!」

「静かにするのは二人共だな」

「ヘイ」

「ごめんなさい」


 フェードとアリスが黙った後、3人一緒に町の中央の噴水広場まで進んだが、敵の気配は一切ない。

 本当に四天王の一人であるプレテイアスがいるのだろうか?


「なんだ貴様らは?」


 声がした方を見ると大きな狼が空に浮かんでいた。

 この前戦ったケルベロスよりデカいな。

 コイツがプレテイアスか?


「テメェがプレテイアスか? オレ達はテメェを倒しにきたんだぜ! 怖えぇだろ?」


 フェードがナイフを抜いて構えた。


「我を倒す? 人の子が? 貴様らが勇者だというのか?」

「私たちは勇者ではないです。でもダルマシウス神に導かれた英雄なのです」

「待てやアリス! 誰がダルマシウス神に導かれた英雄だ!」

「私たちよ! 神の力以外でエナドリの力を説明出来ないでしょ。フェードはエナドリが普通の人間の能力だと思ってるの?」

「それはねぇな。エナドリは神の秘薬だからな」


 なんだか変な話になってきたな。

 エナドリは神の能力ではなくて、人間の叡智の結晶なんだけどな。


「神の秘薬か……どうせ偽物だろう。勇者ではないなら我を討つ事は出来ぬ。この地で滅びるがよい」


 プレテイアスが言うと同時に魔獣の群れが襲ってきた。

 コイツはグリーンウルフ、向こうから来ているのはレッドウルフ、頭が一つ潰れたケルベロスもいる。

 プレテイアスは狼系の魔獣を操る事が出来るみたいだな。

 これだけ数が多いなら速さが重要になる。

 俺が選んだのは俊敏さを生み出すエナドリ、スピーディー・ケンタウロスだ。


「フェード! 受け取れ!」


 俺がスピーディー・ケンタウロスを投げると、フェードが受け取り飲み干した。


「私はそんなに強くないのよ! 私を救って下さいダルマシウス神よ!」


 アリスが戦闘中なのに祈り始めた。


「ダルマシウス神じゃなくてフェードに守ってもらえ! 頼んだぞフェード!」

「守るのがアリスだから気分が乗らねぇな。アニキのお願いだからやってやるけどさ!」


 フェードがアリスの傍に向かった。

 俺一人で大軍を相手にするのは大変だが、やって見せるさ!

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