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120話 衝突事故?!

 王がいなくなったフトマ国は、マーティン将軍が率いる暫定政権によって統治される事になった。

 マーティン将軍の側には騎士長のアレックスもいる。

 ほとんど関わりがなかったから実力がわからないけど、マーティン将軍が信頼しているようだから大丈夫だろう。

 操られていたとはいえ、多くの罪を犯したレイリックは死罪を免れたがギルドマスターの地位を失った。

 これからは一人の冒険者としてフトマ国の復興の為に尽力するそうだ。

 ギルドマスターの地位はナンバーワン冒険者のライルが引き継いだ。

 ライル自身はもっと冒険したかったようだが、フトマ国の惨状を放ってはおけなかったみたいだ。

 マルバダスの使徒を利用して私服を肥やしていた事が発覚したギルド職員のオリビアは裁判にかけられるそうだ。

 結果は分かりきっているけどな。

 略奪を受けていた西地区の住民達からはお礼にナッツをもらった。

 食べてみたら口の中にスッと清涼感が広がる独特な食感だった。

 これはエナドリの材料に使えるかもしれない。

 あとで試してみよう。

 これで本当に思い残す事はないな。

 俺たちはユウマを追いかける為にドルマリア国を目指す事にした。

 メガブタリウスに乗り込み南地区を抜け街道を南下した。

 そろそろドルマリア国との国境かな。

 この辺りは町もないし、人が見当たらないから速度を出しても大丈夫だろう。


「ブタリウス、最大速度だ!」

「ブッ、ブブ、ブゥ!」

「ひゃっはー」


 ブタリウスが楽しそうに返事をした。

 フェードも楽しそうに声をあげている。

 誰もいない街道を爆走するのは楽しいよな!

 フッ。

 一瞬何かが横切ったような気が……ドガン!

 前方から物凄い衝突音が聞こえた。

 やばっ、何かひいちゃったかもしれない。

 俺の隣でブタリウスがプルプル震えている。

 ブタリウスも状況を理解しているようだ。

 動物か、人か……

 どちらでも問題だな。

 これは俺の責任だ。


「降りて何がぶつかったか確認してくる」

「オレもお供しますぜ」

「私は残るわよ。見たくないものを見ちゃいそうだから!」

「僕も遠慮しておこうかな。死体は見慣れていないからね」


 アリスとセレスティナは事故現場を見たくないみたいだから、俺とフェードの二人だけでメガブタリウスを降りた。

 ぶつかったと思われるメガブタリウスの正面ドリル付近を確認したが血の痕はなかった。

 気のせいだったか?

 いや街道前方にメガブタリウスと衝突したものがあった!


「良かった。動物でも人でも無かった」

「ほんと良かったっすね。これで気兼ねなく旅を続けられそうっす」


 俺とフェードはメガブタリウスに乗り込もうとした。


「待て! 人を殺しかけておいて何も無かったようなフリをするでない!」


 ぶつかったものが話しかけてきた

 あっ、生きてたのか。


「人間じゃないから人殺しにならないだろ?」

「だよなぁ。人じゃなくて賢者だからなぁ」

「賢者も人だ! なぜそんなにワシを嫌うのだ?」

「賢者だからだ。賢者は公益を守る事を最優先し、私情を挟まない。多くを助ける為に一人を裏切る存在だとトルディエから学んだからな」

「その通りっすよ。賢者はオレたちの敵っす!」

「風評被害だ! ワシは何もしておらんだろ!」


 ランドルフが杖を振り回しながら怒っているが、奇妙な踊りを踊っているようにしか見えない。

 思わず笑いそうになったが、ここで笑って更に怒らせたら無駄に時間を取られるだろう。

 ソレータムが死んだ以上、ランドルフにこれ以上関わる理由はない。


「何もしていないから問題だ。ソレータムの足止めに失敗しただろ」

「まぁ、あいつはアニキ達が倒しちまったけどね」

「倒した? ワシでも殺しきれなかったのに? 信じられぬ……」

「俺たちの方が強いからに決まっているだろ」

「その通りっす! セレスティナが止めを刺したけど、追い詰めたのアニキですからね!」

「見たのか? ソレータムが死んだところを?」

「見たさ。あれは助からない」

「セレスティナを褒めてるみてぇで気に入らねえけど、その通りっす」

「奴は簡単に殺せないと信じられぬのなら仕方がない。ソレータムに寝首を掻かれないように気をつけるのだな。ところで、まだバンダ二ギの聖女を連れていたのだな」

「問題があるのか?」

「文句あんのか? セレスティナは一応俺たちの仲間なんだぜ」

「奴を聖女に選んだバンダ二ギが何か知っているか?」


 またこの話か。

 なんでそこまでセレスティナを敵視するんだ?

 俺はバンダ二ギの事を知っている。

 セレスティナに聞いたからな。

 女神バンダニギはダルマシウス神が生み出した存在だ。

 ランドルフはセレスティナが俺たちの敵になる可能性があるって事を言いたいのか?

 そんな事は分かっている。

 警戒しておく事は大事だが、最初から裏切ると決めつけるのは良くないよな。

 もしも敵になったら、ユウマの時と同じようにぶっ倒して改心させてやればいいさ。


「全て知っている。少なくとも俺はな」

「覚悟の上なら問題はない。賢者とは、忠告はするが意見を強制する役目ではないのでな」

「そうか。そうしてくれると助かるよ」

「アニキ、これ以上用事なさそうだから戻ろうぜ」

「じゃぁなランドルフ」

「この先のドルマリア国は多くの神秘が残る地。幸運が訪れる事を願っておるよ」


 俺はランドルフに手を振った後、フェードと共にメガブタリウスに乗り込んだ。

 いつも通り賢者に邪魔されたけど気にせず再出発だ!

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