表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/159

107話 マーティン将軍の疑惑

 朝になったので、俺たちは捕らえたボブとラスティンを連れて応接室に向かった。

 今日は元々マルバダスの使徒対策の作戦会議をする予定だったが、犯人追及の会議になるだろう。

 マーティン将軍とギルドマスターのレイリックが応接室に入ってすぐに動きを止めた。

 驚くのも無理も無い。

 王城の応接室に招いていない男が縄で縛られて転がせれているのだからな。


「ラウル殿、これはどういう事ですか?」


 マーティン将軍が問いかけてきた。

 本当は状況を分かっているのに、あえて聞いているようだ。

 将軍であれば、いちいち同意を求めなくても目の前で起こった事実を受け止めて欲しいものだ。


「想像通りだよ。侵入者を捕らえた以外の何に見えるのだ? それとも、こいつらはお前が招いたのか?」

「私が招いた人物ではない。信じられん……私たちの警備を掻い潜って二人も侵入したというのか……」


 マーティン将軍がショックを受けている。

 どちらの意味だ?

 不審者に侵入されたのがショックなのか、それとも俺たちの暗殺を失敗した事がショックなのか?


「この二人は……ボブとラスティン! なぜだっ!? エリックとサマンサはどうした?」


 レイリックが急に大声を出した。

 どうやら彼はボブとラスティンの事を知っているようだな。

 ギルドマスターのレイリックが知っているって事は、こいつらが冒険者だって予想は当たっていたようだな。


「エリックなら俺の部屋で死んでいる。サマンサも同じ様な状態だ。こいつらは中級冒険者で合っているか?」

「その通りだ。こいつらは王都で活躍している中級冒険者パーティー、翡翠の刃だ。考えたく無い事だが……こいつらがラウル殿を襲撃したのか?」

「その通りだよ。俺たちを狙って部屋に侵入した。レイリック、今日王都に来たばかりの俺たちを狙ったという事の意味が分かるよな?」

「敵は……マルバダスの使徒は王城内にいるという意味だな。ラウル殿達が有名な冒険者でマルバダスの使徒討伐に協力する事になったのを知っているのは私たちしかいないからな」

「どういう事だ! まさか! 私とレイリックがマルバダスの使徒を討伐する事を決めた時も情報漏洩していたという事か? 誰だ! 犯人を言え!」


 マーティン将軍が床に転がっていたボブに掴み掛かった。


「やめろマーティン将軍。こいつらが犯人の名前を言う事はない」

「なぜだ! 拷問してでも吐かせてやる!」

「無駄だ。どういう方法か分からないが、暗殺の依頼者を言えば死ぬからだ」

「何でそう言い切れる! 嘘を言っているかもしれないだろ!」

「嘘では無い。こいつらのリーダーのエリックが依頼者の名前を言って死んだからな。俺たち全員の目の前でね」

「だ、誰だ? 暗殺の依頼者は?」


 マーティン将軍が急に狼狽え始めた。

 自分が犯人だとバレるのが怖いか?


「エリックは言っていたよ。マーティンの依頼で俺たちとレイリックを抹殺しにってね。それ以上は死んじまったから聞けなかった」

「どういう事だ。私はそんな依頼などしていない」

「マーティン……君がマルバダスの使徒だったのか。騙していたのか! 何人の冒険者が死んだと思っているのだ! 彼らには未来があった! こんなところで無惨に死んでいい奴らではなかった!」

「違う! 私ではない!」


 マーティン将軍が掴み掛かろうとしたレイリックを避けて出口の扉に向かった。

 だが扉に触れる事は出来ない。


「出口は私の魔法障壁で封鎖させてもらってるわよ。最初から疑われてるって気づいていなかったの?」

「違う! 私はマルバダスの使徒ではない! そうだ! 罠だ! 誰かが私を陥れようとしてるんだ! 信じてくれ!」

「信じたかったよ。でもラウル殿がマーティン将軍がマルバダスの使徒だと言っている以上、信じるしかない」

「何故だレイリック! 私たちでマルバダスの使徒を討伐すると誓ったではないか! そうか! こいつらが! ラウルがマルバダスの使徒で私を陥れようとしてるんだ!」


 マーティン将軍が剣を抜こうとしたが動きを止めた。

 フェードが喉にナイフを突きつけたからだ。


「アニキを侮辱してタダで済むと思うなよ。てめぇは地獄行きだぁ」

「助けてくれレイリック……」

「それを決めるのは裁判官の仕事だ。私はラウル殿とマルバダスの使徒の討伐を続ける。マーティン以外のマルバダスの使徒が関わっている可能性もあるからな。ぼさっとするな! 奴は将軍ではない! 我らの宿敵であるマルバダスの使徒だ! 拘束しろ!」


 レイリックが護衛の兵士にマーティン将軍を拘束するよう指示をだした。


「レイリック! レイリィーック!!」


 マーティン将軍が兵士によって連れ去られて行った。


「レイリック、俺はマーティン将軍がマルバダスの使徒だとは言っていないぞ」

「そうでしたか? 暗殺の依頼者なのだから、マルバダスの使徒ではないのですか?」

「マルバダスの使徒と断定するだけの証拠はない。あまり手荒な真似はするなよ」

「王城の牢獄は私の管轄外です。別に何もしませんよ。あと、この二人も牢に入る事になるだろうね」

「俺の部屋の死体も片付けておいてくれ」

「分かったよ。死体が転がっていた部屋で過ごすのは気分が悪いだろうから、別の部屋を用意するように伝えておく。もう一人の方は良いのか?」

「僕を襲ったサマンサさんなら何もしなくても大丈夫ですよ。人に見せられる状態ではないし、既に見せられない状態になってますから」

「そ、そうか……」


 レイリックがセレスティナの優しい口調とは裏腹のおぞましい言葉に絶句して後退さる。

 俺も考えたくは無いな。

 セレスティナは無邪気なようで闇を抱えているように見える。

 このまま何も起きなければ良いのだけどな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ