102話 セレスティナと打ち解ける?!
船に乗り込んでから2週間、無事にブリージラリアス大陸に辿り着いた。
そして港町ボムリアでジャブ船長とロルフを引き渡した。
クラーケンの出現で減った売り上げを海賊行為で補填していた事は許されることではない。
ギリス王国だけでなく、ボムリアの街があるフトマ国でも海賊行為を行っていたから死罪は免れないだろう。
定期便の運行会社にも両国の調査が入るだろう。
あとの処遇は国に任せて俺たちは旅を続けよう。
俺たちはボムリアの街でユウマについて聞き取りをしたが、有益な情報は得られなかった。
ユウマは聖剣を失って手ぶらで旅をしているから目立たないんだよな。
しかたがない。
ユウマの情報を得るのは止めにして、ソルラリアスの実が入手出来る場所の情報を集める事にした。
こういう情報を得るには冒険者ギルドが最適だ。
俺の想像通り、冒険者ギルドではソルラリアスの実の情報を得られた。
フトマ国のさらに南のドルマリア国で入手出来るらしい。
詳しい入手場所の情報までは得られなかったが、ドルマリア国に行ってみれば分かるだろう。
ボムリアの街では新しいエナドリの材料を入手出来なかったので、すぐに旅立つ事にした。
ここから先は俺たちの馬車……というより戦車であるメガブタリスに乗り込んで一気に街道を南下するだけだ。
「セレスティナ……いや、他の人たちがいないから健太郎でいいか?」
「どっちでも構わないですよ。バンダニギ聖王国ではずっとセレスティナって呼ばれてましたからね」
「そうか。色々考えたけど、転生者だってバレる可能性があるから転生前の名前で呼ぶのは止めておくよ。俺もこの世界の名前であるラウルを名乗っているからね」
「そういえばラウルは転生前はどんな名前だったんだい?」
「獅子王力男だ」
「かっこいいね。とても強そうだ。ヒーローみたいで羨ましいよ」
「ヒーローなんて呼ばれたくないね。子供の頃はヒーロー役や変身を強要されたから嫌いだったね。やられ役の怪人に憧れたものだ」
「それは珍しいね。普通はヒーロー役をやりたがるものなんだけどね。僕は毎回怪人役で悲しかったなぁ」
「それなら今ヒーローやってみるか?」
「そうしたいところだけど、この見た目じゃね。今はヒロインの方が似合ってる」
「見た目は関係ないさ。やりたい事をやればいいさ」
「そういうものですかね」
「アニキ! そろそろ出発しようぜ!」
フェードが急に割り込んできた。
かなりイラついているようだがどうしたのだ?
セレスティナと前世の話で盛り上がって待たせたのは悪かったけど、何か癇に障る事でも言っただろうか?
まあいい。
話が脱線したが、元々セレスティナに話しかけたのはメガブタリスを出してもらうためだったからな。
「セレスティナ、メガブタリウスを出してくれ」
「了解」
セレスティナが手をかざすと、メガブタリウスが現れた。
「一番乗り〜」
アリスがメガブタリウスに乗り込んだ。
「俺たちも乗り込むぞ」
俺はセレスティナ、フェード、ブタリウスと一緒にメガブタリウスに乗り込んだ。
「全員乗り込んだな。よしっ。ブタリウス、発進だ!」
「ブッ!」
ブタリウスが水魔法を使いメガブタリスが街道を爆走しはじめた。
「水力で稼働するのはめずらしいですよね。電力にしなかったんですか?」
セレスティナが話しかけてきた。
「電力も魔法で供給できるけど、水力の方が作るのが簡単だったからな」
「そういう事ですか。確かに電力関係の部品の調達は大変そうですよね。錬金術系の能力を持った転生者がいないと難しいかな」
「そうだな。図面を描いて職人に説明しても部品を作れなかった。水力なら水車の応用で作れるからな。部品を調達して俺たちで組み上げた」
「自作だったんですね。もしかして、このドリルはラウルさんの趣味ですか?」
「フェードが気に入ったってのもあるけど、提案したのは俺だ」
「いいですよねドリル。ドリルは男のロマンですから」
「おっ、分かってくれるのか」
「当然ですよ!」
セレスティナが笑顔で答えた。
こうやってじっくりと転生者と話をするのは初めてだな。
感覚が一緒だから話が弾む。
「けっ、新参者が調子に乗りやがってよ」
フェードが苛立ちながら言った。
そういう事か。
フェードが苛立っているのは俺がセレスティナと親しく話をしているからだったのだな。
セレスティナは仲間ではないけど、しばらく一緒に旅をする予定なのだからもう少し仲良くしておいた方が良いと思うのだけどな。
「フェード、気をつけた方がいいわよ。あいつ危険なやつだから」
「そ〜だった! コイツ危険なヤツでした! 早くどっかで捨てようぜ!」
「し〜っ、聞こえちゃうわよ。あとでコッソリどこかで置き去りにしましょう」
フェードとアリスがよからぬ話をしているな。
「聞こえてますよお二人さん。僕を置いて行っていいのかな〜」
「セレスティナの言う通りだ。置いていくのはダメだ」
「なんでだよアニキ! そいつは敵だろ?」
「敵を庇うなんてラウルらしくないわよ」
「ひどいなぁ。僕は敵じゃないのに。ラウルさんからも言ってくださいよ」
「セレスティナの言う通りだ。セレスティナは敵ではない。俺たちのアイテムボックスだ。セレスティナがいなかったらメガブタリウスが運べないだろ?」
「ええええっ?! 僕ってそういう立ち位置なんですか?」
「よろしくな道具箱!」
「喉が渇いたから飲み物だしてよ道具箱さん」
「そんなぁ〜」
どうやら打ち解けたようだな。
セレスティナは嫌がっているようだけどね。




