表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/159

100話 這い寄る影

「セレスティナ。殺すのは止めておけ。船が動かせなくなる」

「それは困っちゃいますね」


 セレスティナがあっさりとフードの男を解放した。


「フードの男。死にたくないなら船を動かせ」

「ロルフだ。要望通り船をダルセリアに戻す」

「何を言っている? 俺はブリージラリアス大陸へ向かえと言っているのだ」

「冗談は止めてくれ! クラーケンに襲われたら終わりなのだぞ!」

「くだらない嘘をつくな。ロルフがやらないなら、ジャブ。お前が指揮をしろ。船長なのだろ?」

「待ってくれ! ロルフの言っている事は本当だ! 罪を認める、だからこれ以上は諦めてくれ!」


 ジャブ船長が土下座をした。

 異世界にも土下座があるのだな……なんて感心している場合ではないな。

 なんでコイツらはクラーケンが出るなどと嘘をついてまで俺たちをブリージラリアス大陸へ近づけさせたくないのだ?


「ぐだぐだウルセェんだよ! 今からオレが船長だ! 配置につけや!」

「フェード船長のお通りよ! 配置につかないと痛い目に遭うわよ〜」


 怯えて動かないジャブ船長とロルフの代わりにフェードとアリスが船員達を配置につかせた。

 船員達はアリスの防御魔法に動きを封じられ、持ち場から離れられなくなっている。


「へぇ〜。ダルマシウス教の聖女は、なかなか面白い魔法の使い方をするんですね」


 セレスティナがアリスの魔法に感心していた。


「セレスティナは防御魔法を使わないのか?」

「僕は防御魔法を使った事がないですね。攻撃に当たらないし、当たったところで怪我するとは思えないんですよね」

「凄いのだな。チート能力ってやつは」

「凄くなければチートではないですよ。ラウルさんの力も見たいですね。転生者の実力は凄いですからね」

「俺のは地味な能力さ。最高にクールだけどね。セレスティナは他の転生者に会った事があるのか?」

「ありますよ……たくさんの人達が転生してますから。ラウルさんは他の転生者に会った事がありますか?」

「あるよ。俺達がブリージラリアス大陸へ向かっているのは、消息を絶った転生者の仲間を探すためだからな」

「へぇ。消息を絶ったって事は事件に巻き込まれた可能性があるって事ですか?」

「そうかもしれないな」

「ふ〜ん。弱いんだ、その人」

「あぁ、弱いよ。アイツは」


 セレスティナが驚いた顔をしている。

 そんなに驚くような変な事を言ったか?


「弱いのに探しに行くんですか? そんなに大切な人なんですか?」

「いや、大切という程ではないな」

「なら、どうして? 役に立たないんでしょ?」

「そうかもしれないな。最初に会った時は力も心も弱いヤツだった。でもアイツは自身の弱さに気づいた。今も迷いながら戦っているかもしれない。要するに頑張ってるヤツなのさ」

「良いところが無いように聞こえますけど」

「そうか? 良いところならあっただろ? 応援したくなるヤツって事さ」

「ラウルさんって見た目と違って人情家なんですね」

「そうか?」


 グラッ。

 急に足元が揺れた。

 大波か?


「もう駄目だ! クラーケンに捕捉された!」

「あの化け物の餌になんてなりたくねぇ! 何で俺がこんな目に遭わなきゃならねぇんだ!」


 ロルフとジャブ船長が急に大騒ぎを始めた。

 まだクラーケンの話をするのか。

 しつこいな。

 クラーケンの話如きで俺達が止まると思っているのか?


「ア、アニキ! タコ! いや、イカですぜ!」


 フェードが指を指す方向を見ると海中から大きなイカが顔を出していた。

 本当にクラーケンがいた!

 俺の予想が外れていたようだ。

 ブリージラリアス大陸への定期便の運行会社が嘘のクラーケン出現の情報で旅行者を集めて海賊行為を行なっていると思っていた。

 だが、真実は本当に出現したクラーケンによって定期便で稼げなくなった運行会社が、損失を補填をするために海賊行為を行なっていたのか。

 セレスティナと話をしている隙にクラーケンに船が絡め取られてしまっていた。

 ここは念の為にアレを使っておくか。


「セレスティナ! 俺の道具袋を出せ!」

「道具? これでいいのかな?」


 セレスティナが道具袋を何もない空間から取り出して俺に向かって投げた。


「いくぞブタリウス!」

「ブッ!」


 ブタリウスの水魔法とダルセリアの町で入手した昆布の粉末を混ぜて新たなエナドリを作った。


「フェード! コイツとシャープネス・ファイバーを使え!」

「了解だアニキ! 切り裂いてやるぜ!」


 フェードが新たなエナドリを飲み干した後、船を捕まえているクラーケンの足にナイフで切り掛かった。

 シャープネス・ファイバーで強化されたナイフに切り裂かれて大暴れするクラーケンの足をアリスの防御魔法が防ぐ。

 アリスが船を壊されないように守ってくれているから戦いやすい。

 最後は俺の出番だな。

 いくら切れ味を強化したところで、クラーケンの巨体を全て切り刻むのは困難だ。

 一撃で消しとばすには俺の力が不可欠だ。

 俺は新しいエナドリ、ブリージング・ケルプを飲み干した。

 コイツがあれば水中呼吸が出来るから海に落ちても問題ないのだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ