コルネリア大公国 2
「騒がしい父で申し訳ありません」
フランクが小夜子とイーサンに再び深々と頭を下げる。フランクは小夜子達を首都1番の高級ホテルまで送ってくれた。
「あはは、あれでこそライアンよね。変わりなくて嬉しかったわ」
「あんなにパワフルなご老人には初めて会ったかも」
「本当にお恥ずかしい限りで」
困ったように笑うフランクだが、その表情は父親への愛情が見て取れる。
ライアンへ携帯通信機を渡す事が出来たので、連絡は直接ライアンと取り合う事にしてフランクともホテルのロビーで別れた。
そして小夜子とイーサンが案内された部屋は最上階のスイートルームだった。
「わーお」
「凄い部屋だね」
ホテルは5階建ての格式高そうなクラシカルな外見だったが、室内は程よく最新の設備が整っている。家電製品はかなり小夜子のコンテナハウスの設備に近い。冷蔵庫もあり、レバーを捻り開けてみると、中には瓶入りの飲み物が各種揃えられていた。室内にはバーカウンターまであり、すぐに摘まめるようにフルーツや化粧箱に納められたチョコレートなども置かれている。そしてなんと、フロント直通の内線電話が部屋にはあったのだ。伝統を重んじる宗教国家かと思っていたが、生活様式はヴァンデール帝国よりも近代化が進んでいるようだった。内線電話で24時間ルームサービスを頼めるし、2階のレストランで食事を取る事も可能だ。広いリビングと寝室、バスとトイレの他に、ベランダに設置されたジャグジーまであるのには驚いた。広めに作られたベランダなのだが、周囲にはこのホテルより高い建物もなく、人目を気にせずにジャグジーを楽しめる。
「そういえばコルネリアは風呂文化が発達しているんだよ。公衆浴場も色々な種類の風呂が沢山あるし、大きな温泉も市街地のど真ん中にあったはず。水着を着て男女一緒に入るんだよ」
「へえー、行ってみたい!」
パズルカが言っていた平地の巨大な温泉の事だろう。
聖ハイデンの力の源泉なる物を探さなければいけないのだが、はっきりとした場所は分からない。聖ハイデン所縁の場所を順番にあたってみるしかないだろう。
「サヨコ、お酒はもう飲んでも大丈夫?」
「そういえばアリーの離乳食も始まって、もう断乳したんだったわ。でも自分でびっくりだけど、あんまり飲みたいと思わなくなったのよね」
酒を飲んでワイワイ大勢で騒ぐのが大好きな小夜子だったが、妊娠が分かってからパタリと酒を飲むことを止めた。アリーの授乳中も一滴も飲んでいない。特に飲みたいとも思わなかったが、自分でも不思議に思う小夜子だった。
イーサンはバーカウンターで何やら飲み物を作り始める。
「サヨコは飲酒でストレス発散するタイプだったのかもね。あと、お酒自体が好きなんじゃなくて、みんなと大勢で飲むことが好きなんじゃない?自分の部屋ではあんまり飲まないでしょ」
「そういえばそうかも」
イーサンと旅をする間は毎晩イーサンと酒と食事を楽しんでいた小夜子だったが、小夜子は勢いよく飲む割に酒に弱くすぐに寝落ちしてしまう。しかし王都のバトラー家に滞在中は食前酒を多少嗜む位で浴びるほど飲むという事は無かったように思う。この事を考えると、小夜子は精神状態によって飲酒するタイプなのかもしれないとイーサンは気付いた。イーサンと旅をしていた当時の小夜子は、楽しみながらも気を張っていた部分もあったのかもしれない。
「でも、今日はちょっとだけ俺に付き合ってよ。コルネリアの最初の夜だよ」
「イーサン、カクテルなんて作れるの」
「今から5、6年前になるかなあ。2年位コルネリアに居たんだ。その時色々覚えたよ」
小夜子の何でもできる器用な夫は、バーカウンターに立ってバーテンさながらにトールグラスに琥珀色のカクテルを作り、小夜子の前に置いた。
「アルコールは弱くしてるからね。アプリコットシロップと紅茶のリキュールを炭酸水で割ったよ」
「すごい。イーサンは飲み屋を開いたらいいのに。私、毎晩通うわ」
「あはは」
小夜子の前に差し出されたカクテルは、前世で小夜子が飲んでいたカクテルと遜色ない洗練されたものだった。グラスにはミントの葉まで飾られている。コルネリア大公国は伝統を重んじながらもバランス良く先進的で、食文化も多国籍な要素が積極的に取り入れられ豊かで成熟しているのだという。
イーサンは冷蔵庫から細身の瓶ビールを取り出し、ライムを瓶に直接絞り入れた。
「アリーとアレクシスには悪いけど、多少は楽しんでもいいよね。サヨコの旅の目的が無事に達成されますように」
「私の旅に付いて来てくれてありがとう。イーサン、頼りにしているわ。乾杯!」
まるでガルダン王国で旅をしていた頃に引き戻されたかと錯覚しそうになるが、その頃とは決定的に違う事がある。小夜子とイーサンは正式に結ばれて、夫婦になったのだ。
その事実が小夜子の心に与える安心感は、小夜子が実感する以上に大きかった。
思わぬ出会いもあったが無事にライアンとシンシアとも再会を果たし、上々のコルネリアの滞在初日だった。
「イーサン君、サヨコ、結婚おめでとう」
「どうしたの、ライアン」
再会を果たしたその2日後、ホテルを訪ねて来たライアンがしおらしく小夜子とイーサンに祝いの言葉を述べた。
「僕は一昨日、シンシアとフランクに物凄く叱られた。真っ先に君達の結婚を祝うべきだろうって。本当にイーサン君には失礼な事だった。サヨコとの再会が嬉しくて舞い上がってしまったし、何より最後は携帯通信機の事しか考えられなくなってしまった」
「ああ、うん」
「ライアン様、どうかお気になさらず」
ライアンだもんねと、小夜子のみならず初日でだいたいのライアンの為人を把握したイーサンも頷く所であった。
「それでこれね。僕から2人へのお祝いだよ」
小夜子とイーサンはライアンから1つずつ小さな封筒を受け取った。その封筒の中には薄い金属の真っ黒なカードが入っていた。
「それはスチュアート商会の永年無料券だよ」
「「永年無料券?」」
「言葉通りの物だけど、イーサン君とサヨコなら、世界中のスチュアート商会での買い物は一生涯無料にさせてもらうってカードだよ。そのカードが無くても、顔写真もしっかり各支部に回しておくから、顔パスで、いつでも無料で好きな物を持って行ってくれたらいいよ。そしてそのカードは子々孫々、譲渡可能だよ」
「ライアン・・・。なんてものをあなたは」
「サヨコも、サヨコが選んだご夫君のイーサン君も、このカードを悪用する訳ないし。というか君達2人はこんなカードが無くたって、何でも買える経済力があるって知ってるよ。だからこれは僕の自己満足。でもいつか、君達の子供でもいいからこのカードを使ってくれたら嬉しいな。金もある。自分の欲しい物は万物を創造できる。そんなサヨコに相応しい贈り物を、情けない事に僕は思いつかなかったのさ」
少し途方に暮れた様子のライアンを小夜子はギュッと抱きしめた。
「ライアンが元気に長生きして、ずっと私の友達で居てくれたらそれが何よりも嬉しいわ」
「・・・本当にもう、サヨコときたら。ならサヨコの恩に報いるために、僕は頑張って長生きするよ」
今日もライアンに付き従っているシンシアが、ライアンと小夜子をみてハンカチで涙を押さえている。ライアンの護衛の黒スーツの男達まで貰い泣きをしている始末だ。
行く先々で小夜子は自身の信奉者を無自覚に量産していく。夫がこれ以上増えるのは御免被りたいが、サヨコを慕う者が増えるのは無理も無かろうと、小夜子の信奉者の1人であるイーサンは大きく頷く所であった。
先日よりは落ち着いた様子のライアンと小夜子達は、今日はホテルのレストランで昼食を取りながら今後の予定の相談などをする事になった。
「ねえ、ライアン。これからイーサンとコルネリアの聖地を回りたいと思っているのだけど」
「聖地を?サヨコはハイデン教にとうとう改宗したのかい?」
「んー、まあ。・・・違うけど」
「せっかくコルネリアに来たので、観光地を巡ろうかと思っているんです。新婚旅行のようなものですよ」
嘘を付けない小夜子にイーサンが笑いながらも助け舟を出す。
「そうなんだね。それならまずは温泉だね!」
イーサンも言っていたが、やはり首都のど真ん中にある広大な温泉が観光地としては有名らしい。
温泉があるという事は地熱があるという事だ。という事は地中にはどんな形であれエネルギーがある。
「じゃあ、温泉に行ってみようかな」
覚悟を決めて敵の総本山に乗り込んできた小夜子だが、実際の行動としては何とも暢気な事になってしまう。聖地が観光地となっているのだからしょうがない。油断するつもりは無いが、当たりを引くまで1つずつ候補を潰していく他ない。
でもせっかく初めての国、初めての観光地に行くのだから、やる事はやるが少しは楽しんだっていいだろう。
「ねえ、サヨコ、イーサン君。観光の合間に少し時間を作ってもらえないかな。レオがどうしてもサヨコに会いたいって言って聞かないんだよねえ」
「レオって、教会の大司教ね」
「それと、ミシェル様のお祖父様ですね」
「そう。検問所ではミシェル君に優しくしてくれて、2人共ありがとうね。僕は帝都の孫達とも離れているから、余計にあの子が可愛くってね」
まあ予想のつく話なのだが、周囲の大人達は身も心も天使のミシェルにメロメロになっているようだ。
「それでミシェル君の事もあって、レオはますますサヨコに会って話をしたいみたいなんだよ。今日の朝一番にレオから念押しの手紙が届いてね。僕からもお願いできないかな」
「ううーん・・・。まあ、ミシェルとはまた会う約束をしたものね」
大司教に会うとなれば、ミシェルも当然くっ付いてくるのだろう。
ここは敵地。そしてまさか直接戦う事にはならないだろうが、大司教は聖ハイデンの配下と言えなくも無いだろう。近づく際は慎重に行動すべきだが、こちらも教会深部を探る必要がある。
色々と打算を巡らせて、最終的に小夜子は大司教との面会を了承した。
片やイーサンも憂慮する部分はあった。
ミシェル自身には含む所は何もない。美しい外見に奢る事のない、可愛らしい性格の良い子供だった。
しかしミシェルのバックに現コルネリア大公であり聖ハイデン教会の大司教が付いているのならば話は変わってくる。
単なる子供の純粋な想いからなのか、コルネリア大公国か教会の思惑も絡んで小夜子に接触してきたのかは見極めなければならない。この辺りはイーサンの役目だろう。小夜子は敵意には敏感だが、基本人の裏を読むことはしない。小夜子に仇成そうとする命知らずは、最終的に小夜子に社会的に、もしくは物理的、精神的に叩き潰されるだけの話なので、小夜子自身も相手の裏を見極める必要を感じていないのかもしれない。
しかし厄介事と分かっているなら最初から避けた方が後々面倒もないだろう。イーサンはイーサンで、小夜子の意向を大事にしながらも考えを巡らせていた。
そして小夜子達がライアンとホテルで昼食を取った3日後。
コルネリア大公であり聖ハイデン教会大司教であるレオナルド・コルネリアからの面会要請に応じた小夜子とイーサンは、豪華絢爛な中央協会の応接間にて、レオナルド・コルネリアに連なる者達からの歓待を受ける事になった。
イーサンにとっては想定内の展開だった。
小夜子の想像では大司教の傍らにミシェルがくっ付いているだろう位の想定だった。
蓋を開けてみれば、大司教を筆頭に、次期大司教となる事が決定している司教枢機卿でありミシェルの父親である、ローランド・ハートとその妻、そしてその長男、次男、長女と続き最後に末子のミシェルが満面の笑みで家族と共に小夜子とイーサンを待っていた。
コルネリア大公一家が勢ぞろいしていたのだった。
「やっと会えたな。サヨコ・ヨーク・バトラーとイーサン・バトラー、よく来てくれた」
わざわざ席から立ち上がって、小夜子達を大公一家は室内に迎え入れてくれた。一冒険者、他国の一貴族に対して考えられないほど丁寧な大公家の歓迎であった。
「大司教猊下にご挨拶申し上げます。サヨコの夫、イーサン・バトラーと申します」
「Sランク冒険者、イーサン・バトラーはガルダン王国の英雄であり、コルネリア大公国の恩人である。5年前のヨルン地区防衛での貴殿の活躍は良く覚えている。貴殿がいたからこそ、ヨルン地区は壊滅を免れたのだ」
コルネリア大公国は国内に活火山を1つ抱えている。その火山は地熱エネルギーを活発に生み出し、大公国の国力を支える動力にもなっているのだが、そのエネルギーは魔獣の温床ともなるのだった。
今から5年ほど前、活火山地帯から突如溢れ出した小型のサラマンダーの群れを、当時Aランカーだったイーサンが大公国の冒険者達と力を合わせて殲滅した。イーサンが先陣を切って風魔法でサラマンダーを細切れにしてまわり、大公国の冒険者達は弱ったサラマンダーに止めを刺して回るだけで済んだ。火属性の魔獣討伐では毎回多くの負傷者を出す事が常だった大公国は、当時のイーサンの働きに非常に助けられたのだった。
「覚えて頂けていたとは光栄です。5年前の討伐に関しては、大公国の冒険者と冒険者ギルドの組織立った働きが大きかったかと。私個人の力など微々たるものにございます」
サラマンダー討伐と聞いて、対面に立つミシェルの瞳がキラキラと輝きだした。
「そう謙遜する物ではないぞ。ガルダン王国のイーサン・バトラーと言えば、近年は王国の守護神として大型魔獣の被害をほぼ1人で防いでいると聞く。なんとも驚くべき人知を超えた力よの」
「私の力など、所詮人の身の内の物でございます」
ふむと、大司教は顎に手を当てて小夜子を見る。
「サヨコよ。そなたの夫はこう言って自分の力を謙遜するが、自らの力に奢ることも無く、人柄も申し分ない。国民からの人気も高く、まさに国が誇るべき英雄に相応しい人物だと私は思うぞ」
「私もそれに異論はない。イーサンは私と違って人格者だし、何より強いわよ。私がこの世界で背中を預けられるのはイーサンだけだわ」
これはあくまでも、物理的な意味での話である。精神的な意味合いになると、非常に心強い事に小夜子には頼もしい夫が2人もいる。
小夜子の言葉に大司教は笑い声をあげた。
「何とも剛毅な事だ。さすがは綺羅星の如く世界に現れた4人目のSランカーであるな。そなた達は実に似合いの夫婦だ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
これについては小夜子もイーサンも素直に大司教に礼を言う。
それからミシェルの両親である枢機卿とその妻、子供達と小夜子とイーサンは挨拶を交わし、応接室の面々はそれぞれの席に着いた。
応接室には大きな円卓が並べて置かれており、小夜子とイーサンの向かいには大司教と枢機卿が座り、すぐ横のテーブルには枢機卿の妻と子供達が座る。
小夜子が座るとミシェルとほぼ隣の席になった。近くに座る小夜子をみて、ミシェルがニコリと屈託なく笑う。これには小夜子も釣られて笑ってしまった。
隣に座っただけでこんなに嬉しそうに笑ってくれるのだ。ミシェルとは今日で会って2回目なのだが、ミシェルを可愛いと思わない方が難しいだろう。
全員が席に着くと、それぞれにお茶と菓子がサーブされる。和やかな雰囲気で小夜子達と大公家とのお茶会は始まった。
「やっと直接礼を言えるな、サヨコよ。貴重な黄角を分けてもらい私の胸の病は完治した。余命宣告を受けていたほどであったが、病の影はすっかり消え失せ、この年で何ら問題の無い健康を手に入れる事が出来た。改めて礼を言う」
「ミシェルにも言ったけど、大司教に黄角を渡したのはライアンの為よ。ライアンがせっかく何十年ぶりかに親友を尋ねるって言うんだもの、その親友にも長生きして欲しいじゃない。つまり非常に利己的な、私の勝手な都合だった訳。感謝してもらう必要も無いし、黄角の代金はライアンが随分多めに報酬料を払ってくれたから、大司教からは結構よ」
「サヨコ殿。父が救われた事は、コルネリア大公国にとっても、聖ハイデン教会にとっても奇跡を授かったかのような出来事だった。どうかあなたの恩に報いる機会を我々に貰えないだろうか」
「うーん・・・」
大司教の息子であり、ミシェルの父であるローランド枢機卿が重ねて謝礼の申し出をするが、小夜子としても欲しい物が思い浮かばないのだ。金も唸るほどあるし、使いどころもない。地位も名誉も興味が無い。愛しい夫達と、可愛い子供、気の良い友人達と安心できる帰る場所があって、生活の不安は一切ない。
神々の争いに巻き込まれている事だけが唯一の困り事なのだが、この件をまさかこの場でいう事は出来ない。
「あのね、本当に。考えても何も欲しい物が思い浮かばないのよね。簡単に金でなんて言っても、それは元を辿れば信徒が寄進したものだったり、国民の税金だったりするわけでしょ。取り合えず貰っておくなんて出来ないわ。だから黄角は私から教会への寄付って事にしといてよ。この話はこれでおしまい!」
「まあ・・・」
「なんと無欲な」
「なんと清らかで気高い事か」
謝礼の申し出について話を打ち切った小夜子を見て、大公家の人々は勝手に何やら感動している。
「サヨコは聖ハイデンに所縁のある場所を巡りたいんだったよね。観光地の中でも一般公開していない場所とか、お願いして見せてもらったらいいんじゃない?」
「そっか!」
必要があれば何処であろうが勝手に見て回ろうと思っていた小夜子だったが、教会からきちんと許可を貰えるならそれに越したことはない。
「ほう。サヨコはハイデン教へ改宗する気になったのか?」
小夜子が聖地を見て回りたいと言えば、すぐこのような話になる。
「今は出来ない。いつかは出来るかも」
「ほう?」
謎めいた改宗へついての小夜子の回答だったが、大司教は軽く小首を傾げただけでそれ以上追及はしてこなかった。
「ふむ。聖ハイデン所縁の場所か。まずはこのコルネリア大聖堂が挙げられるだろうな。一般公開されてはいないが、地下から遺構が最近発見されたのだ」
「市街地の温泉も聖ハイデンが疲れを癒したという謂れがあります。その源泉は大切に今日まで維持されております」
「へええー」
温泉は眉唾な感じがするが、地下の遺跡は是非見せてもらいたい。
「サヨコ様。温泉の隣には温水プールもあるのです。とても気持ち良いのですよ」
隣のミシェルも小夜子に温泉のプレゼンをしてくれる。
「それは楽しそうね。一緒に行く?」
「よろしいのですか?」
ミシェルの顔が喜色に染まり、瞳がキラキラと輝きだした。
応接室にいる全員がミシェルの喜ぶ様を見て目を細める。
ミシェルを伴っての温泉は後日楽しむ事になったが、今日は早速ローランドが大聖堂の内部を案内してくれる事となった。




