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クズ男もいい男も千切っては投げる肉食小夜子の異世界デビュー  作者: ろみ


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【閑話】オーレイ村 温泉郷への道 ⑤-5

 オーレイの開発が始まって2カ月が過ぎた。季節は盛夏から秋へと移り替わっている。

 オーレイの開発特区は未だ客人達の受け入れ準備が整わず、鋼の国境門は固く閉じられたままである。

 結局はホテルの同敷地内に教会も立てられることになり、こちらもホテルの外観と揃えてコールマンが建築を手掛ける事となった。ホテルと同様、小夜子は基礎の部分まで手伝い、外観と内装はコールマンに丸投げする。

 ライアンとレオナルドの我儘から端を発したオーレイの開発であって、ホテルや教会の完成時期に期限が定められている訳でもない。有名建築家最後の集大成でもあり、コールマンには納得のいくまで手を入れたらいいと言ってある。期限の無い仕事の依頼にコールマンは感涙し、心血を注いでホテルと教会の装飾に取り掛かっている。

 少しコールマンの進捗を小夜子が覗きに行くと、教会の礼拝堂の支柱の一本の装飾の同じ部位に、コールマンと職人達が一週間かけて張り付いていたりする。

 まさか小夜子の前世の世界にあった教会の様に完成まで100年以上かかる事は無いと思いたいが、状況によっては教会とホテルの完成を待たずに自分は老い先短いと言い張るレオナルドをオーレイに受入れる事になるかもしれない。

 その時点で前大司教をオーレイに閉じ込める訳にもいかないので、オーレイの国境門は開かれる事となる。

 政務軍務合同庁舎は反対に内装もシンプルに済ませ、設備の設置も終わり本格的に施設の利用が始まっている。あとはオーレイの国境門が開く前にどれだけ人材確保が出来るかという所だ。

 小夜子の治癒魔法と身体欠損修復という反則技で、王都の貧困街から素晴らしい働き手を大勢雇用できたので、これに味を占めた小夜子とダグラスは怪我による退役軍人の洗い出しなども始めている。

 小夜子はオーレイ開発区からポート町へも大街道を一本通した。

 ポート町とオーレイの集落を繋ぐもとからあった街道は旧道として、これまで通りオーレイの住民達の生活道として使われている。ポート町とオーレイ開発区が直接大街道で繋がれると、開発区への物資の運び入れは更にスムーズに行われるようになった。大型荷馬車が使えるようになったからだ。行き先によって旧道と大街道を使い分けてもらえれば、ポート町とオーレイの住民達ののんびりとした生活が更に守られる事となるだろう。


 オーレイの集落を守りながら、オーレイ特区の開発も順調に進められていった。

 そしてとうとう、オーレイ村村長の任命式の日がやって来た。

 オーレイ村は正式に村と認められたとはいえ新たに役所が作られるわけでもなく、特にこれまでと変わりはない。強いて言えば、トーリが暮らす爺婆達の集合住宅が村長宅という事になるのだろう。そのうちに村民達が集まる寄り合い所などを作っても良いかもしれない。

 しかし今日の所は任命式を行えるような大部屋がある訳でもないので、本日の村長任命式は青空の下、オーレイの中央広場にて行われる。

「トーリ、今日はジェフとノエルも任命式に来てくれるって」

「お二人ともお忙しいでしょうに、申し訳ない事ですね」

「あと、ガルダン王も来るって」

「・・・・何故です?」

 今日は青空任命式ではあるが、せめてもと小夜子はトーリと任命者が上がれる壇を作った。その壇上に立ち、小夜子とトーリは任命者の到着を待っている。壇の前にはオーレイの住民達や宿の客達が既に集まっており、子供達は既に飽き始めて広場を駆けまわったりしている。

 東の最果ての辺境村の、村長の任命式である。

 開発特区の関係で村に滞在中の貴人達が立ち会うのは分かる。付き合いのある隣町の町長とその町の冒険者ギルドマスターが来てくれるとは、申し訳なくも嬉しく思う。

 しかし、小夜子がポロリと雑談程度の気楽さで零したガルダン王の来訪についてはトーリの理解を越えた。

「・・・は?何故です?何故国王陛下がこちらにいらっしゃるのです?」

「なんか、トーリに村長の任命をしたいんだって。ほんとなら領主のイーサンが任命するものなんだけどね。領内の人事なんだからねえ。でもイーサンも構わないって言うから、トーリも良いかな?」

「は?何故なんです?」

「ごめん。なんでこうなったのか、私も良く分からないんだけどね」

 小夜子の説明では一向に要領を得ない。

 そして結局トーリが納得する説明もないままに、ガルダン王本人が広場に登場してしまったのだった。

「みんな、お待たせ。ガルダン王が来たよ」

「・・・王?!」

「こ、国王陛下?!」

 広場の端にイーサンが数名の人員と共に転移してきた。

 その人員のうち2人は真っ赤な近衛の隊服を着用していた。そしてその近衛隊員に左右を守られた者は、緋色のマントを身に付け、頭上には金銀宝石がちりばめられた王冠が燦然と輝いている。辺境の民達にとっても非常に分かりやすい王の姿だった。

 オーレイの住民達は作法も分からないながらも左右に別れ、王の前に道を作り、地面に跪いた。

「皆の者、立つが良い。今日はお前達の村長の誕生の日である。私への礼は不要である故、立ち上がり、しかと長の誕生を見届けるが良い」

 辺境に突然現れた王は民達に立つよう促すと、中央の道をゆっくりと広場の壇上に向かい歩き始めた。近衛兵とイーサンを引き連れてこちらに歩いてくる国王を、トーリもまた呆然と眺めていたが、壇上の自分は他の住民よりも頭が高い。トーリは慌てて壇上で跪いて国王へ首を垂れた。

 跪くトーリをそのままに、急ごしらえの壇上にガルダン王とイーサンが立った。

「トーリ・オルソン。面を上げよ」

 トーリは恐る恐る顔を上げた。

 普通ならば一生に一度も目にする事が叶わないだろう志尊の存在が目の前にいる。

 トーリはとても今の状況が現実とは思えず、相応しい挨拶の口上も思い浮かばず、呆けた様に国王をただ見上げていた。この場に居合わせたオーレイの民全てがトーリと似たようなものだった。

「ガルダン王、トーリがびっくりしているじゃない!王の身分で軽々しく辺境までやって来るもんじゃないわよ」

 壇上の手前から小夜子がトーリを気遣い、ガルダン王に物申した。

 頼むからトーリよりも王を気遣って欲しい。小夜子からの望まぬアシストによりトーリの気が一瞬遠くなった。

 顔色の悪いトーリを前にガルダン王は困ったように笑う。

「トーリ、許せよ。救国の英雄の顔を一度見てみたかったのだ」

「は、はい」

 王に許せと言われれば、トーリとしては諾以外の返事は無い。王の言葉の意味が分からない様子のトーリに、ガルダン王はそれ以上の言葉を重ねず笑みを深めた。

 イーサンとオーレイの集落が小夜子をガルダン王国へ繋ぎ止めてくれたお陰で、ガルダン王国は国体の混乱を収める事が出来た。バーリー、ダグラスと同じく、ガルダン王もトーリには大恩を感じているのだ。

 しかし長居をしてしまってはトーリへの負担が大きいだろう。

「トーリ・オルソン。長きに渡り空白の地帯であったオーレイの住民達を良く守り、集落を纏めた。これまでの功績を認め、そなたをオーレイ村の長に任命する。これまで通りオーレイの為に励むが良い」

 各領地の代官、市町村長の任命については事後報告を受け国王名で認可するだけだ。もちろん国王が直々に各地を回って任命の許可をする事など無い。

 この辺の決まり事など分る筈もない辺境の民達は素直に王の来訪に驚き、王からの村長任命の許可に歓声を上げた。

「つ、謹んで、村長職を拝命いたします」

 トーリだけが、なぜ王直々にと未だ混乱の最中に居る。

 ガルダン王はイーサンに何かを手渡した。それを受け取ったイーサンは笑顔で跪いているトーリを立たせる。

「イ、イーサンさん。なんと恐れ多い」

 王と同じ壇上にいる内は跪いていたいトーリを、イーサンはまあまあと宥める。

 そしてイーサンはトーリの右胸に、ガルダン王から受け取った物を取り付けた。それは鋼の飾り台に嵌められた黒曜石の徽章だった。

「トーリよ。それをオーレイ村村長の徽章として受け継いでいって欲しい。鋼はオーレイ鉱山の物だ」

「オーレイ鉱山の・・・」

 トーリは胸に付けられた徽章の、鈍色に光る鋼の飾り台をジッと見降ろした。

「長らく鉱山の運営に尽力し、これからもこの地の守りにつくそなたに相応しい徽章であろう」

 その瞬間、若かりし時、忙しいながらもやりがいを持って鉱山官吏として働いた日々。妻と知り合い婚姻式をオーレイの集落で挙げた日。子を授かり、妻子と幸せな家庭を築いた日々がトーリの脳内に一気に蘇り、そして過ぎ去っていった。

「・・・ありがたく、頂戴いたします」

 絞り出すようなトーリの声には、様々な溢れる思いが込められていた。

 広場に集まった住民達の拍手と歓声は収まらない。

 大きな歓声に包まれた広場の壇上の上で、更に国王はトーリの傍に寄り、トーリと二言三言、言葉を交わしていたがその内容までは周囲に聞こえなかった。

「それでは皆の者、壮健でな」

 それからガルダン王はあっさりと、イーサンに連れられて王都へ帰っていった。

 壇上から降りたトーリは住民達に迎え入れられる。

「じいちゃん、すごい!かっこ良かった!!」

 まずはレインが真っ先にトーリに飛び付いた。レインはとっくにトーリの背丈を追い越してしまったが、祖父と孫の関係性は変わらないままだ。抱き着いてきた孫をそのまま連れながら、トーリは住民達の輪の中に入っていく。

「国王様をこんなに近くで見られるとはねえ」

「冥途の土産になったわい」

「びっくりしたわあ」

 滅多な事では動じない爺婆達も国王を間近で見て興奮している。爺婆達よりも若い住民達であれば尚更だった。

 興奮冷めやらぬオーレイ村ではこれから宴の準備が始まる。今夜は無礼講で、料理と酒が続く限り夜通しの宴会が行われる予定だ。

 楽し気に宴の準備に散っていく住民達を、小夜子とダグラス達は眺めている。小夜子達の近くにはポート町から駆け付けたノエルとジェフもいる。ノエルとジェフは広場の端から壇上のトーリを見守っていたそうだ。

「サヨコ様、本当にここは良い村ですな。オーレイ特区はやがて他国に誇れるほどの美しい都市となるでしょう。我々も責務を全うする為に、もうそろそろ特区に移り住む予定ですが、たまにはこちらに伺ってもよろしいですかな」

「バーリー、もちろんよ。そもそも何で私に聞くのよ。この村はガルダン王国の領地の中にある村でしょう。領主はイーサンだし、村長はトーリだし」

「ははは、サヨコ。私もたまにはオーレイに遊びに来ても良いかな」

「ダグラス。もちろん良いけど、私に聞かないでよ」

「ははは」

 釈然としない様子の小夜子の前で、バーリーとダグラスは楽しそうに笑うばかりだ。

 ガルダン王と衛兵達を王都に送り届けたイーサンが広場に戻ると、ジェフとノエルに捕まった。

「イーサン、まずはオーレイの集落に関しては一段落だな」

「ノエル、ジェフ!色々とこれまでありがとう。ここまで話を持ってこられたのは2人のお陰だよ」

「なんの。お役に立てて幸いです。それではイーサン様。そろそろポート町の領主館建設に着手致しましょうか。土地の目星はつけておりますから、イーサン様にまずは場所をお選びいただかないと」

 ジェフががっしりとイーサンの腕を掴んだ。

「あー、そうだったよね。後回しにしちゃってごめんね。ポート町でも色々やらないとね」

 ジェフの圧に少したじろぐイーサンの肩をノエルががっしりと抱く。

「サヨコの出産もあったし、オーレイも今バタバタしているし。俺達もしばらく遠慮してたんだぜ。でも、そろそろポート町の方にも目をかけてくれよな、ご領主様」

「もちろん、ポート町も大事な俺の領地だからね。でも今日はこれからオーレイの宴会もあるし、ソフィアの世話もあるし」

「サヨコ、ロッドが今夜のオーレイの宴会にエールの中樽を3つ提供するってよ」

「あら嬉しい!じゃあ、イーサン。ポート町で仕事しがてらロッドのエールを貰ってきてくれる?」

 小夜子の言いつけにイーサンはショックを受けた顔をする。

「サヨコ、今日はまだ朝1回しかソフィアを抱っこしてないよ。さっきまで王都を行ったり来たりしていたし」

「イーサン、ソフィアの抱っこは明日も明後日も出来るわよ!育児に参加してくれるのは嬉しいけど、仕事に支障が出る様じゃ、ソフィアのお世話は任せられないわね。イーサン、少し子離れしましょうか」

「この可愛い盛りに?!」

 イーサンの悲痛な叫びが広場に響いた。周囲の住民達はクスクスと笑いながら、椅子やテーブルを広場に運んでいる。イーサンの子煩悩振りはとっくにオーレイに知れ渡っている。そこへタイミングよくバトラー家のベビーシッターがソフィアを連れてきて、笑顔で小夜子に渡す。

「ほらソフィア。カッコいいお父さんはこれから仕事に行ってきますよ。はい、行ってらっしゃーい」

 小夜子の腕の中で右手を揺らされてキョトンとイーサンを見上げるソフィアに、イーサンの眉尻が下がる。

「ソフィア、お父さんは頑張って来るよー・・・」

 イーサンは小夜子に抱かれたソフィアの腹部に顔を埋め、しばらくそのまま動かなくなる。

「こりゃあイーサンにポート町に来てもらうには毎回骨が折れるぜ」

「いざとなったらソフィア様とお越しいただくしかあるまい」

 ジェフとノエルは本気でイーサンのポート町への子連れ出勤を検討している。領主館の執務室の隣には育児室も必要となるかもしれない。

 奇しくもイーサンがソフィアの出産前に自分の行動の予言をした事が、そっくりそのまま現実の物になりそうだった。領主の仕事はともかく、魔獣討伐まで子連れ出動しそうになったら本気で止めなければならない。そんなまさかと思いながらも、小夜子はイーサンの天井知らずの親バカぶりを少し警戒し始めている。

 イーサンの頭をぺちぺちと叩くソフィアの可愛い手をしばらく堪能してから、イーサンはやっと名残惜し気にソフィアから顔を上げた。

「じゃ、サヨコ、行ってきます」

「はい。行ってらっしゃい、イーサン」

 イーサンは小夜子の額に口付けて、やっとジェフとノエルと共にポート町へ向かった。

 オーレイの住民達も笑顔で領主を送り出したのだった。


 今年の春、オーレイ領主夫妻には第一子が誕生し、一家は非常に仲睦まじい。

 そしてこの秋にはオーレイが正式にガルダン王国の辺境村と認められ、集落のまとめ役だったトーリが村長に任命された。

 オーレイ村は更に住民達も増え、助け合いながらますます暮らしは豊かになっていく。

 慶事が続くオーレイ村は晴れの日の今日、誰もかれもが皆笑顔だった。




 それから数年後。

 ガルダン王国はコルネリア大公国とヴァンデール帝国との間に正式に国交を結ぶ事となった。ガルダン王国の諸国への玄関口は、オーレイ辺境都市であり、この地には各国の大使館も置かれ、ガルダン王国外交の中心地となっている。

 そのオーレイ辺境都市だが、成り立ちが普通ではない。

 オーレイ最東部の辺境の大森林の中に、オーレイ辺境都市は突如出来たのだ。

 まず最初に一夜にしてオーレイ鉱山の跡地に高級ホテルが現れた。その後大森林はどんどんと拓かれていき、大人数が寝泊まり出来る施設がまた突如現れた。そして今度は鋼の国境門が現れた。国境門が現れると、次にはコルネリア大公国へと続く大街道が一日で通された。

 それはまるで神の国造りのような奇跡の連続であった。

 オーレイは神の御業が振るわれた奇跡の地であると国内外で評判となり、奇跡の御業を確かめるために人々が多く訪れる国内有数の観光地となった。オーレイ辺境都市は鉱山跡地の周囲に複数の温泉も有し、ガルダン王国屈指の温泉郷としても名を馳せている。

 ガルダン王国の有名な温泉処と言えばオーレイ辺境都市が一番に挙げられるが、それとは別に知る人ぞ知る温泉郷がある。

 その場所はポート町から東へ伸びる旧道を馬車で丸一日ひた走った場所にある。ポート町から大街道を進み辺境都市へ行くならともかく、旧道の先に用事がある者など殆ど居ないのだから、知られていないのも無理はない話である。

 目覚ましい勢いで近代化が進むガルダン王国の中で、その集落は時代に取り残されたかのような暮らしぶりをしている。

 しかしその集落には驚くほど充実した設備の温泉宿が大小1軒ずつある。屋内に大浴場がまずあり、その種類も打たせ湯、蒸し風呂、水風呂と色々楽しめる。集落の広場には着衣のまま楽しめる珍しい足湯という物もあり、少し足を伸ばせば森の中にぽっかりと開けた場所に露天風呂まである。どんな湯道楽の者が作ったのだと呆れるほどに充実した多種多様の温泉設備だった。更に宿の食事が非常に美味い。集落で取れる野菜や果物など、食材自体が美味いのだろう。温泉宿の料金も良心的で庶民でも安心して数日の連泊も出来る。

 宿の利用客はそのほとんどが隣町の住民と冒険者達だ。たまに遠方からも古くからの常連客がやって来るが、やはり観光も楽しめる辺境都市の方が今は有名で、そちらに人が流れてしまうそうだ。

 いわば地元民のみが知る温泉郷というものだった。

 偶然にもこの温泉郷を知り得た者は、温泉の素晴らしさ、宿や集落の居心地の良さにもれなく感動する。

 これほどに雰囲気のよい温泉郷だ。もっと話を広めれば利用客が増えるだろうと思うのだが、この温泉郷の話を広める事については温泉郷の住人の誰からもいい顔はされない。このままで十分に豊かだからと住人達に言われれば、余所から来た者達にもそれもそうかと納得のいく話だった。



 ひっそりと存在するその温泉郷は、国からオーレイ村と正式に認められた辺境村である。だがその存在は国内でもあまり知られていない。しかし王国の要職に就く者達にとっては、オーレイ村は細心の注意を払い庇護すべき地であると認識が共有されている。

 ただただ平穏でその地に在ってくれるよう、王をはじめとする国政を担う者達はオーレイ村の平和を願っている。

 オーレイ村の初代村長はガルダン王から直々に命を下された。

 使徒の庭たるオーレイ村の守り人たれ、と。

 村長はその使命を住民達と分かち、住民達はその守り役を子に譲り、孫に譲り、今でもその温泉郷を守り続けている。




オーレイ村 温泉郷への道  完

これにて本編、閑話ともに完結となります。

最後までお読みいただいた皆様、ありがとうございました。


ブクマして下さった方々のお陰で最後まで頑張れました。

重ねてお礼申し上げます(^-^)

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