木曜会3
木曜会 3
下野文学賞ということですが 大半は俳句や川柳 又は詩がほとんどなのです 評論は主にそれらが主体で進んでおります
一人の爺さんがしつこく詰め寄って会場をうんざりさせているかと思えば
また 別の婆さんの携帯が鳴りだし 止めるかと思ったらデカい声で話はじめる始末です
皆さま自分勝手に話をしたり ガヤガヤとして収集がつかない評論会になっております
私はイライラして鉛筆の頭を噛んでいると 隣から話かけてくる御人がありました
『あなたも落選した口ですな しかもはじめてとお見受けしましたがな?』と私の顔をニヤニヤと覗きこんでおります
年の頃は六十半ばでしょうか やけに目が小さい痩せた爺さんです
『こんな評論会なんぞに顔を出しても無駄ですな 私も来たくはなかったんですが、
まぁ なんと言いましょうな まったくもって
時間だけはありますから 馬鹿を見物に来たようなものですわ』というと汚いすきっ歯を見せてガッハハッと笑いました
『馬鹿見物ですか?』
『馬鹿見物ですな まったくもって』
と言いながら爺さんはカバンから一枚名刺を出した
『私はこういうものですわ』
木曜会 会員 高野 和夫
『木曜会……というと?』
『木曜会というのはですな 一言で言うなればいわゆる利口の会ですかな ここが馬鹿の会ならばの話ですがな』と言ってまたガハハァと笑らいました
『ちなみにお聞きしますがな 貴方のご専門は
俳句ですかな? 』
『私は小説を書いてます』
私が答えると爺さんは 待ってましたと言わんばかりに顔を近づけて
『ここだけの話ですがな 下野文学賞の受賞者 は木曜会で決まるんですわ まぁ俳句なんぞは馬鹿の会が決めますがな 小説なんかのように賞金の額が大きいものはみんな木曜会で決まるんですわ』
『決めているというと審査員の方の会なのでしょうか?』
私がそう聞くと爺さんは私の耳元で内緒話をするように『ドンがいるんですわドンが』
『ドン?ですか?』
そういうと爺さんはまた 汚い歯を見せてガッハハァと笑うのでした
続く……