第14回ダンジョン攻略(ボクシング)
最近露骨にダンジョンの試練の傾向がおかしい気がする。
中央にあるリングの上でシャドーボクシングをしながら待ち構える怪物が俺の挑戦を待っていた。
うーんめっちゃ相性悪そうだな。。。
逃げ場無し、ステゴロのガチファイト、リングに上がる前にされるボディチェックおまけにリングの外からの遠距離攻撃は許さないとばかりにリングには外からの魔法と衝撃結界が幾重にも展開されている。
最初の相手は人型なので合気等はかけやすいが今回はボクシング、純粋な拳と拳での語り合いだ。パンチンググローブを着けるから投げ技や寝技なんてできないだろう。
軽快に繰り出されるジャブは初動が全く見えないし、デモンストレーションで吊るされてるサンドバッグには1発で穴が空いて今は金属の塊が吊るされていた。カーンと金属音が響くジャブは絶対に軽くない。
鎧着けて挑みたい位だ。鎧程度じゃ壊されるのは見えてるが。。。
グローブを着けて感触を確かめるとぎっしりと樹脂がつまっててズッシリと重い。そしてリング上の怪物を見る。。。
???
あのグローブなんか違うくね?
鑑定眼帯を着けて視てみる
めちゃくちゃ不正やないか
まずグローブは威力上昇の魔道具でボクサーパンツは身体強化、はいてる靴には瞬歩の技能付きおまけにグローブの下にも各種強化の指輪がズラリ更に更に相手側セコンド席に用意されたドリンクはドーピング材
ほうほう素の状態は俺よりも弱いのか。。。
ニヤリッ
俺は1度ダンジョンから出て魔道具ギルドに寄って魔法無効化フィールド発生装置と薬剤師ギルドでドーピング剤過剰接種患者専用の特殊薬剤を購入し収納した。
ついでに拝借したグローブに仕込みをしてリングに戻ってきた。
ボディチェックを受けて上がった俺はすかさず魔法無効フィールド発生装置を取り出し起動させるとデモンストレーション用なサンドバッグの撤収をしてる奴の肩を叩いて俺が収納する。
チッ、ドーピング接種しやがったな。
まあボディチェックとデモンストレーション用のサンドバッグを同時並行にやらない時点でそういう目的があるのは露骨だな。。。
ドーピングを終えて身体から漏れ出る魔素だけ見ればこいつからは強者感が漂いとても強そうだ。
まあ実際にはその漏れ出た魔力で魔道具を強化してるってカラクリなんだろう。
俺はわざとやられてるふりをしてフィールドが発生してる青コーナーに自然に下がる。
おうおうおう。下からは見えてなかったが赤コーナー側には魔力フィールド装置が展開されていた。
どんだけ卑怯なんだよwww
まあそんな事はどうでも良いのだ。
こっちの青コーナーまで攻めてきたその時がお前のメッキが剥がれる時なんだからな。
そして時がきた。
俺はまず相手の着けてるグローブとその下にある各強化リングを素早く収納して収納してる仕込み済みのグローブを奴の手にはめつけた。
ついでに奴隷商御用達の隷属のリングを着けさせた。まあ契約してないから見た目だけだ。
パンツは武士の情けだから見逃してやる。まあシャーズは没収だな。。。
さてさてボコりますか。
好き放題殴りつけて日頃のストレス発散をする。相手は亀のように嵐が過ぎ去るのを待つだけだ。
そして休憩に入るとドリンクが差し出されるが勿論そんな毒物は飲まない。
収納から水を出して飲む相手は次のドーピングを接種してる頃だろう。リング下だと向こう側の様子が見えない。
そしてリングに上がるとさっきまで設置してた無力化フィールド発生装置が片付けられていた。
それはダミーなんだがな。。。
まあそんな事はどうでも良いのだ。
サンドバッグが上がってきた。
ストレス発散だ。
結論で言えば舐めプで勝った。だが俺を待ち構えてたのは次の怪物だった。
聞いてないんだが!?
とりあえず鑑定眼帯を着けて視てみると素の状態で既に負けてる。その代わり総合的な強さは魔道具のブーストが無いのでさっきの試合とどっこいどっこいなのだ。
普通に前の試合を勝ち上がった者なら難易度が上がらないボーナスステージ扱いだろうが俺にとってはヤバい。
幸いスピードだけは俺の方が速いから回避優先で1ラウンドだけ戦ってみることにした
反撃を入れるなら最小限の回避で躱すべきだが最初は大袈裟に回避しよう
まずは相手の射程の把握からだ。
回避した右ストレートと一緒におよそ素手で出したとは思えない轟音が轟く。予想通り当たったら1発でヤバそうだ。クロスカウンター狙いは自殺行為だろう。また攻撃間合いは俺の攻撃間合いよりもおよそ一歩分長そうで更に先ほどの轟音を聞く限り正面の場合拳から繰り出される衝撃波は拳の延長線上だとくらうと思った方が良さそうだ。その場合このリング上では拳の延長線上は射程だと思った方が良さそうだ。
何故かジャブが少なくほとんど右ストレートしか撃ってこないので避けるだけならなんとかなりそうだ。
拳を繰り出す怪物と反撃せずに全力で回避に専念する俺では疲労の蓄積速度で圧倒的に不利だ。
ラウンド終了間際に1発だけいれてやろうと機会を狙う。俺は全力で回避したと見せかけて横回避の勢いのままリングのロープへおもいっきりジャンプし、反動を利用して殴りかかった。
その刹那怪物は左ストレートを放ってきた。
怪物が不完全な姿勢から放った事と俺がロープの反動を利用して地に足をつけずに直接飛びかかった事で奇跡的にその一撃の打撃は回避できたがその風圧だけで腹から血飛沫が飛ぶ。
そして顔面を打ち付けた俺の攻撃は見事にクリーンヒットに成功した。
それと同時にゴングが鳴り1ラウンドが終了した。
おいおいおい左ストレートの方がヤバいんだが?あんな不完全な姿勢から繰り出された風圧だけでまともに当たったら死ねる。ちょっとカスっただけで血飛沫はヤバい。
何よりヤバいのはあそこまで綺麗に全体重をロープの反動で倍加させたうえで顔面にクリーンヒットさせた一撃が鑑定眼帯を着けて確認すると約3%しか削れてなかったのだ。
あんなに綺麗に一撃入れるのなんか後30回もできるはずがない。ポーションを飲みながらまだ続けるかを自問する。
9割方撤退1割は長考状態
アイテムボックスの中身を確認しながら何か突破口はないかと考える。そして俺は決断する。この一手にかける!
俺はドーピング過剰接種患者専用の特殊薬剤をぶちこもうとアイテムボックスから取り出した。全力で回避してロープに飛び込む怪物はまた俺が攻撃に移ると身構えたが俺は更に次のロープに飛び込む。それを繰り返しどんどん加速させてく、そして攻撃に移る瞬間やっぱり対応してきやがった。
俺はとっさに直接接種を諦めて低確率の投擲にかけたそれさえ嘲笑うかのように叩き落とされた。今この場にいるのは無様に転げ落ちる俺ととどめをさそうと近寄る化物。
リングが暗くなり怪物は上を見上げる。上からは以前収納した罠屋敷が迫ってきてた。
ああ怖かった。
もう二度とやらねえ。
そして次の対戦相手が俺に近づいてきた。
嘘やろ?さっきのでさえ博打で奇跡的に勝ったのにもう無理だ。
絶望に襲われる俺だったのだが結末は予想外に終わった。
何故か不戦勝で勝利した。
今回のオチ
圧倒的格上のあの怪物が降参したのは何も罠屋敷を落とされるという暴力が原因ではない。
単純にリングに上がれなかったのである。
覚えているだろうか?このリングにはリング上の選手を外から攻撃できないように魔法や衝撃による攻撃を防ぐ結界があることを。
つまりリングに入ろうとするなら攻撃と判定されないようにロープを跨がなければならない。ところが罠屋敷でロープの上を塞いでしまってたのだ。ロープの間を通ろうとしても結界に阻まれてしまう。逆に先ほど倒した怪物は俺が内側からロープの外に渡す事ができるがその逆は絶対にできない要するに文字通りリングに上がれなかったのだ。
この試練が終わった後俺は無理が祟ってぶっ倒れた。そのまま入院し、あれほど余裕を作ったアイラの命の期限は無情にも容赦なく迫ってきてしまった。
ぎりぎりの攻略を続けていた俺の身体はとっくの昔に限界を迎えていたのだ。
多額の入院費用は支援して貰えず攻略の為にストックしてたアイテムかいくらか手放さざるえなかった。
今まではアイテムボックスに頼りきった序章でここから本当の綱渡りのダンジョン攻略が始まったのである。




