Day1
とある学校の桜の木の下で彼は座っていた
街灯の光と冷たい夜風に煽られて散る桜だけが私の目に映る。
何も見えない。
でも、何も問題はなかった。
何度もこの道は通ってきた。目を瞑っていけるくらいには。
一応、校舎の壁に手を滑らせながら歩く。ひんやりと無機質な壁が手から熱を奪う。時々吹き抜けていく冬の名残を残した風が僅かに恍惚しているからだからを冷ます。
そうやって校舎に沿って歩くとやがてグラウンドに出る。ここに通っていた時は夢中になって鬼ごっこやかくれんぼをした。
しかし、彼女はそんな懐かしいグラウンドには目もくれずにある一点を凝視する。グラウンドの端にある一本の桜の木に。
しばらくすると彼女の顔ははじけるように明るくなった。そして、両手を振りながら桜の木を目掛けて走った。間には遮蔽物など何もないことは彼女の中では常識である。
彼は桜の木の下で顔を膝に当てて座っていた。
「よかった。来てくれた」
彼女は息を少し荒げながらしゃべると彼はそのままの状態で「……急がなくてもいいのに」とすこし冷たく言った。
「そんな言い方しなくていいじゃん」
「……ごめん」
両手を腰に当てて頬を膨らます彼女を見ずに、彼は小鳥のさえずりのような大きさで謝る。
「もういい。次からは気を付けること!」
「……」
一人、気持ちを切り替えるべく手をたたくが、彼は何の反応も示さない。
「それより、久しぶりだね。いつぶりかな?」
「三日。……久しいの…か?」
「一日空いたらさみしい」
そう答える彼女に、少年は右手で頭を搔く。言葉に詰まったときの彼の癖である。こういう時は何も言わずに彼の言葉を待てばいい。
やがて、彼はうつむいたまま
「君は……暇なのか?」
と少し震えながらに尋ねた。その言葉には怒ったのか彼女は地面に適当に散らばっている桜の花びらを拾い集め、小悪魔のように笑いながら彼の頭の上でもう一度散らす。
彼は両手で頭を守るようにしながら「やめて……」と懇願するだけでそれ以上の抵抗はしなかった。
「やめないわよ。何でそんなこと言うのさ?毎日会いたいって普通は思うでしょうが……」
尋問するような口調で彼に問いかけたが返事はいつまでたってもなかった。
そのうちめんどくさくなったのか彼女は適当に花びらを散らせた後、
「今日はもういい。帰る」
そう言って、彼の反応も待たずに桜の木から離れていった。
やがてその姿はすぐに夜の闇に紛れ消えてしまう。
一人木の下に取り残された彼は
「ごめん……」
と意味もなく謝るのであった。
これが彼と彼女の桜の木の下での最初の出会いであった。
ほとんどの方は初めまして!青イズナです!
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作者の食欲になります(多分)




