◆五日目
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今日は仕事帰りに、コンビニで小さなチーズケーキを買いました。
ミニサイズのスフレチーズケーキ。お値段140円。
チーズケーキ代を捻出するために、今日はインスタントのトマトのマカロニスープのみ。
物足りないけど、我慢した。
とにかく、このままじゃ気持ち悪すぎる。何が起こってるのか、確かめたかった。
冷蔵庫にチーズケーキを入れて、スマホを録画状態にして一緒に冷蔵庫に入れた。
即席の防犯カメラみたいに誰かが冷蔵庫を開けたら犯人の顔が映るはず。
冷蔵庫の中の方に入れようかと思ったけど、何度か試してみて、一番バレなさそうで、顔も映りそうなのが扉側だった。
バレないようにケチャップとマヨネーズの後ろに隠し、ライトも光らないように設定。パッと見スマホだとバレないようにと、冷えて壊れないようにタオルで巻いてレンズだけを露出させた。シャワーを浴びる10分程度なら録画し続けられるはず。
戸締まりは確認してシャワーを浴びる。
そうして、お風呂から上がってすぐに、冷蔵庫を開けてみた。
チーズケーキが……ない
外を気にしながらシャワーを浴びている。誰かが侵入してきた気配は無かった。
緊張に震える手で、スマホを回収。
しばらくは真っ暗な映像が続く。
動画のタイムが2:30を過ぎたところで、カタと、音がした。
「……うそ」
扉は閉まったまま。
なのに、冷蔵庫の奥から光が差し込んでくる。
冷蔵庫の奥まではカメラの角度で見えない。
でも、まるで向こう側にも扉があるように、揺れるオレンジ色の光が大きくなる。
ぬっと手が入ってきた。
ほとんどものが入っていない私の冷蔵庫。
透明な棚越しに見えるその腕は、チーズケーキをとると、再び冷蔵庫の奥に戻っていく。
パタと扉の閉まるような音がして、再び映像が暗くなった。
「え、ええぇぇぇ……」
悲鳴とも呻きともつかない声が、口からこぼれた。
何故かひきつるような笑いが込み上げてきて、スマホを持つ手が震える。
まさかの心霊現象?
生きてる人間も怖いけど、死んでる人間も十分怖い。
ちらと冷蔵庫を見る。
今にも扉が開いて、白いワンピースの女性が長い黒髪を振り乱して出てきそうな……。
そこまで考えて、慌てて想像を打ち消した。
いやいやいや、どうしようこれ?
こういう時ってどうしたら良いの?
警察じゃないよね?
お寺の息子とか?知り合いいないけどね!
ブゥゥーーーン……
冷蔵庫の駆動音が耳につく。こんな大きな音してたっけ?
「え、ええぇぇぇ……」
もう一度呻いてみても、状況が変わるわけでも、いい方法が見つかるわけでもなく。
ちらりともう一度冷蔵庫を見る。
いや、ちょっと今日この部屋で寝るのとか無理。
かと言って、この時間にいきなり泊めて貰えるような友達もいないし、恋人もいない。漫喫やカラオケで一晩過ごすお金もない。
もうお風呂済ませちゃったし、仕事で疲れてるし、布団被って寝ちゃいたいけど、怖くて電気消せない。
「どうしよ……」
とりあえず、『冷蔵庫 御祓い』で検索してみることにした。
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