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閑話 明治帝の買い物

一旦閑話を挟みます。

何気ないある日、、、

皇居敷地内にある明治帝の執務室にて、伊藤博文ら内閣との会合のため、侍従者が明治帝を呼びに向かっていた。

明治帝は基本的に自室の執務室に篭っていたためである。

そして、侍従者に悲劇は起こる。


コン、コン、コン


「陛下、まもなく会合の時間ですが。陛下?」


執務室の扉をノックしても、返事が無かった。

そして、侍従者は静かに扉を開け、中を覗いた。


「陛下、、、?」


執務室には、誰も居なかったのである。

これに驚いた侍従者は急いで近衛兵らや施設職員らを大慌てで呼び、一大捜索が行われた。

この連絡は内閣にも伝わり、伊藤博文ら会合予定であった内閣のメンバーは騒然となっていた。

また、陛下が行方不明になった事は、(おおやけ)にはされず、東京一帯に近衛兵たちが捜索に駆り出され、辺り一体では騒然となっていた。



一方で、明治帝はというと、、、


「ん、コレは美味しいな!」


「そんなにはしゃいで。後でわたくしども侍従者全員解雇される気がするのですが、、、はあ、

ここまでして氷水(かき氷)が食べたいんですか、」


明治帝は侍従長を連れて、密かに横浜を訪れていた。

とは言っても、実際には勝手に抜け出そうとした明治帝を見つけた侍従長が後を追いかけただけなのだが、、、


挿絵(By みてみん)



しばらく陛下が氷水を堪能していると、店の奥さんが話しかけてきた。


「あんた、見ない顔だね、ダンナ。初めてかい? 氷水を食べるのは。」


「んなっ、このお方にぶれっ、」


「ん〜、初めてっちゃぁ初めてですね。素晴らしい味ですね!このかき氷は。」


「そうかい! そりゃあよかったよ。」


店の奥さんが明治帝にタメ口で話したので、慌てて止めようとするも、陛下は気を使ったのかそのまま話を続けた。


「それにしても最近は粗悪な氷が多くてねぇ、困ったものだよ。」


「そうなのかい、奥さん。」


「とは言っても米利堅産の氷は品質は良いが、高いのよねぇ。どうにかならないかしらぁ。

まあ、御免(ごめん)なさい。客に知ったような口聞いたまねをしてしまったね。」


「いえいえ、大丈夫ですよ。良い話を聞きましたよ。

ちょうど食べ終わったから、そろそろ帰りますね。それでは、また。」


そうして明治帝と侍従長は店を後にした、、、


ちなみにその後、2人は無事に皇居に帰るも、こっ酷く叱られた模様であった。




1885年 アメリカ/ワシントンD.C.にあるホワイトハウスに一本の連絡が入った。

当時のアメリカ大統領についたばかりであったスティーブン・グロバー・クリーブランドは当時、この出来事についてこう話している。


「不良債権を日本が買う!? 素晴らしいではないか!」


日本がアメリカにアラスカおよびアリューシャン列島の購入を打診してきたのである。

これにアメリカ政府は騒然となっていた。

なぜアラスカを突如として購入したいのか、と。

だが、上記の通り大統領は違っていた。

当時の状況としては、ロシア帝国はクリミア戦争後、財政難などにより資金調達のために1867年、クリミア戦争では中立国であったアメリカ合衆国にアラスカを売却。

しかし、何も無い土地を高値で購入したアメリカ政府にアメリカ国民は激怒。「スワードの愚行」や「巨大な冷蔵庫を買った男」などと非難されていた。(この交渉をまとめたのは当時の国務長官であったウィリアム・H・スワードであり、彼は多くのバッシングを受けた。)

政府が叩かれている最中に舞い降りてきた1つの吉報。

大統領はそれに食いついたのである。


大統領のクリーブランドは即座に交渉テーブルを用意。

直ちに日本とアメリカで交渉が始まった。


日本の提示した額は現在の貨幣価値でおよそ500億円。

当時の国家予算が8300万円程だったので、どれほど高額なのかがわかる。いわゆる赤字、大赤字と言っても差し支え無かった。そしてこれを25回に分けて払うと言うのだ。

アメリカ、特に政府としては不可能だとしてひと蹴りしようとのだが、日本政府は一回目の分と言い張って20億円を手元に見せた。払えるぞという自信満々の顔をして。

ちなみにだが、日本側交渉団の代表は明治帝であり、同席していた伊藤博文は呆れた顔で苦笑いをしていたとされている。

これにより、アメリカは承諾しアラスカとアリューシャン列島の売却を決定。翌年の1886年、日本とアメリカの間で購入の条約が調印された。


ちなみにこの20億はどこから出てきたのかと言うと、朝鮮開国後の1880年代に朝鮮半島北部の鉱山権益を取得。金鉱山を発見したことにより、国家予算を超える金額を用意することができたのである。

この事は当時は秘密にされ、石炭の採掘と世界に言い張っていた。

また、この権益のことを内閣に提案したのは明治帝であり、


「工業をするにはどうしても資源が必要だからね。資源は隣から輸入(手に入れればいい)!」


と言いこれが実行されたそう。

なお、金が取れたのは奇跡?だった模様。


この購入に対して日本国内では領土拡大だと大いに盛り上がり、アメリカ国内でも不良債権がおよそ4倍で売れたことに国民は大いに喜び、大統領の支持率が伸びる結果となった。ただし、一部では領土損失と訴える国民もいたが、ごく少数に留まった。

また、日本国内では国民が喜んだものの、政府は金がないので心底嘆いたていたが明治帝が、


「とりあえず一旦、アラスカに調査団を送ろう!」


と言った事で秘密裏に政府の調査団が送り込まれたが、現地の調査でなんと金や原油が取れ得ることが確認された。これには内閣も驚き、阿鼻叫喚となっていたそう。

かくして政府はこの事を(おおやけ)にはせず、適当に言い訳をつけて、大量の移民を向かわせることとなる。

その言い訳の中には、


「アメリカ産の氷の代わりにアラスカ産の氷を安く手に入れるため。」


と書かれていたそう。


なお余談であるが、若干アラスカ産の方が安くなっていたそうな、、、

挿絵のイラスト提供者 タマノジャクさん

たまに挿絵を追加します。


たまにはこういう日常系?を挟んでいきたいと思います。


次回 三国干渉プラスα


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