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お泊りイベントは突然に…

 朱雨と詩織はテーブルをはさんで向かい合わせの状態座ることにした。

二人分のお茶をもってきて有希も席に着いた。

一通り席に着いたことで有希が口を開いた。

「こちらがお隣に引っ越してきた道宮みちみや 理亜りあさんです」

紹介された理亜さんはにこやかに一礼した。

「そしてこちらが兄の柊 朱雨です」

紹介された朱雨は慌てて一礼した。

「で、どゆこと?」

状況がつかめない朱雨は有希に聞くと有希は困ったように答えた。

「えっと、道宮さんの家に電気が来てなくて…」

有希の話によると、道宮家の電気トラブルにより家の電気が一時的にストップになってしまったらしい。電力会社が来るのは明日らしく今日は柊家で泊めようという話になったらしい。

「ごめんなさいね、迷惑かけることになって」

理亜さんが申し訳なさそうにすると朱雨は慌てるように言った。

「謝ることじゃないですよ!事情が事情ですしぜひ使って下さい」

その言葉に理亜さんは感謝した。

「ありがと~、さすが詩織ちゃんの彼氏だね」

その言葉を聞いた瞬間、朱雨は思いっきり頭をテーブルにゴンとぶつけた。

「ぐはっ」

「お母さんなななにいってるの!?」

詩織は突然の言葉に顔を赤くし両手をわちゃわちゃしながら慌ただしく否定した。

「友達一人いないでいきなり彼氏連れてくるなんて…」

理亜さんはよよよと涙を流しながらも娘の成長に感動しているようだった。

「あの~ひっ!」

朱雨が誤解を解こうとした時、隣からどす黒いオーラが出ているのを感じた。

「有希さん、すみません少しお話を~…」

恐る恐る声をかけたが…

「兄さんに彼女…馬鹿な…兄さん?彼女?兄さん彼女兄さん彼女兄さん彼女兄さん兄さん兄さん…」

すでにスクランブル状態になっており手が付けられなった。

「みんな、いったん…」

説明しようとしても詩織はいまだにてんぱっており、有希はひたすら呪文のようにつぶやき続け、理亜さんは娘のリアクションに笑っている。

まさに阿鼻叫喚のごとく収集がつかない状態となった。

朱雨はその状況を見て思わず叫ばずにはいられなかった。

「誰か…助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

結局、この状態が収まったのは1時間後となった。


「はぁー」

朱雨は疲れたためため息をついた。

「すみません、取り乱しました。」

「ごめんね兄さん」

詩織と有希はそれぞれ申し訳なさそうに謝った。

「二人とも騒いでたねー」

理亜さんは泊まらせてもうお礼として料理をご馳走してくれるため台所で調理をしていた。

「元は理亜さんのせいですよ」

朱雨は疲れた表情をしながら理亜さんに言った。

「ごめんごめん」

理亜さんは軽く謝りながらも料理を持ってきた。

メニューはピザをメインとしたイタリアン料理だった。

「どうぞ召し上がってね」

理亜さんが言うと

「「「いただきます」」」

三人は一斉にメインのピザを食べた。

「「うまい!」」

詩織は慣れているためかもくもくと食べているが、朱雨と有希は想像を超えるおいしさに思わず声が出た。

「ありがと~」

二人のリアクションに理亜さんも満足そうな表情をしていた。

「これどうやって作ってるんですか!?」

「これはね~」

有希の質問に理亜さんは嬉しそうに教え始めた。

「お母さん、昔シェフやってましたから」

詩織はピザをおいしそうに食べながら答えた。

その様子をみて朱雨は少し驚きを覚えた。

「意外としゃべるんだ」

その言葉に詩織は苦笑しながら答えた。

「最初は緊張しちゃいますけど…」

「そっか」

朱雨は少し打ち解けたとわかったため嬉しそうに答えた。


夕食を終え朱雨は自分の部屋にいた。

部屋は6畳であり、壁にはアニメのタペストリーが飾ってあったり、2mの本棚二つや透明なガラスケースに飾られているフィギュアなどベッドと机のパソコンを除けば、ほぼアニメグッズで埋められている部屋だった。

そんな中朱雨は、机のパソコンモニターに向かい合っていた。

「う~ん」

画面にはメモ帳アプリが開かれているが、一文字の書かれておらず真っ白の状態だった。

「あぁーだめだー」

朱雨は頭を掻き、意味もなく天井を見上げた。

しばらくすると見上げるのをやめた。そして

「風呂入るか」

一度頭をリセットするために風呂に入ることを決意した。階段を降り脱衣所の扉を開けるとそこにはいた。

正確にいると舞い降りたと表現する方が正しいだろう。

出るところは出ており、引っ込むところは引っ込んでいる。澄み切った白い肌に濡れた髪が妖艶な色気を出していた。なんというかとてもそそる光景だった。

脱衣所にいたのは風呂からあがり、タオルで髪をふいている詩織だった。

「あの…なんでしょうか?」

詩織はもじもじと恥ずかしそうにタオルで隠した。

その光景を見た朱雨は思わず見入ってしまった。

「あんまり見ないでください、その…恥ずかしいです…」

その言葉に朱雨はようやく理性を取り戻した。

「あっ…俺…その…」

「何しているかな兄さん…」

なにか行動を起こそうとしたが時すでに遅し。

隣には風呂に入りに来ようとしたであろう有希が笑っていない笑顔で見ていた。

「違うんだ!これはだな…」

なんとか弁明を図ろうとするが詩織が気になり目をちらちらさせてしまう。

それに気づいた有希は声を張り上げた。

「兄さん!」

その言葉に朱雨は思わずビクッと反応した。

「はいっ!なんでございましょう!」

有希は静かなトーンで答えた。

「兄さんが思春期なのは知っています。ですが…ですが…」

何を言われるのか予測がつかないがゴクリと朱雨は覚悟を決めた。

そして有希は怒りをぶちまけるように言った。

「女性の裸を見るのはどんな経緯であったも変態です!」

「まったくもってその通りです!大変申し訳ございませんでした!」

有希の言葉を受け二人に対し、即座に土下座の姿勢をとった。

「わ、私はあまり気にしてないので大丈夫ですよ…恥ずかしいだけで…」

詩織は顔を少し赤くしながらも気にしないようにといった。

「せめて見るなら私にしてください!」

有希の言葉に朱雨は同意するしかなかった。

「はい!わかりました!…ん?」

そして数秒後

「って…何言ってるの!?」

驚いている朱雨に有希は誇らしげに言い放った。

「兄の欲求不満の解消は妹の義務ですから!」

「そんなわけあるかぁー!」

朱雨は有希のセリフを全力否定した。

その言葉に有希は残念そうに質問した。

「私の体じゃ不満…ですか…?」

その言葉と表情に朱雨は不覚にもドキッとしてしまった。そして口を濁らせた。

「いやっ…その…」

有希はさらに上目遣いかつ涙目で迫ってきた。

「ダメ…かな…?」

その顔をみて朱雨は慌てて答えた。

「そんなことはない!とてもきれいだよ」

その言葉を聞いて有希は満面の笑みを浮かべたがすぐに冷徹な顔に戻った。

「じゃあなんで詩織さんの体みてたんですか?」

そしてさらに続けて言った。

「こんなに魅力的な妹がいるにも関わらず…」

有希の圧倒的なプレッシャーを前に女性の裸をみた男はどうすることもできなかった。

結局、今度一つ有希からのお願いを聞くという形で手を打つことにした。しかし、詩織の裸の見たことには変わりないのでコンビニまでみんなの分のアイスを買いに行く罰を受けた。



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