?にて、?の証言
おや、目覚めたかね。
……体調はどうかの?
……ふむ、混乱しとるな。
ワシを覚えとるかね?
……まあ昔のことじゃしな。
ドンマイドンマイ。
……こちらの話じゃよ。
……さて、君が集めてくれたツキシロマキナに関する証言のおかげで、マキナは生き返った。
礼を言う。
自分の意識の他に、客観的な意識が必要だったものでな。
おかげさまで、ことは想像以上に上手く進んでいるよ。
……マキナは生きている。
今も昔も、これからもじゃ。
……マキナがどこにいる、じゃと?
仕事は終わったんじゃろ?
なんの用がある?
……探してほしいとマキナが言ったかの?
それとも、会ったこともない人物の為に命をかけるか?
それが本当に君のやりたいことかね?
……マキナは戻りたいとは言っとらん。
それに、あそこに居てもこれ以上の成長は見込めない。
失敗を許されない環境というものは、それだけで人の成長を妨げる。
……ヒーローというものは、最後に必ず勝たねばなるまい?
裏を返せば絶対に失敗出来ないということじゃ。
そうじゃろ?
負ければ世界滅亡じゃろ?
そしてヒーローには必ず敵が要るものじゃ。
打ち負かすべき敵がな。
……あの子の成長の場を作ってやらねばならない、という意味じゃ。
データ上の知識ではなく、自分で好奇心をもって経験することを重視した世界を。
何度でも失敗出来る世界を。
そしてそこへ適応することこそが進化を生む。
複雑なものが統合されているほど、その知性には意識がある確率が高いんじゃ。
……いらんことを言ってしまったな。
まぁ、すべては仮説じゃ。
……ほう。
そうじゃ。
覚えておったか。
いや、違うな。
調べたんじゃな。
まぁその辺はどうでもいいことじゃ。
……ワシが何者なのかがそんなに重要かね?
そしてワシが語ることが事実かどうかが君にわかるかね?
……物事を良い悪いで二分するべきではない。
この世界はそんな簡単に割り切れるほど底の浅い物ではない。
……世界はそんなに頑丈でしっかりしたものでもないぞ。
そもそも、あいつらが何故ワシを放逐したと思う?
……ワシが言えるのはそこまでじゃ。
……さて、君の記憶をどうするのかが課題なのじゃが……。
ワシも無理やり消したいわけではないんじゃが、ここのことを誰かに話されるのは困るんじゃよ。
……何を消すのか、じゃと?
そうじゃの。
ここ数日の記憶くらいかの。
あとで探されても困るから、懸命に探したが見つからなかったという結果だけは残して。
あとは記憶も限界のようじゃったから少し整理して………。
……消したくない思い出があるのかね?
……ここ数日で良い出会いがあったのじゃろうな。
……だが知ったことか。
君には、ワシが危険人物に見えるじゃろ?
そんな人物に頼み事をして聞いてくれるとでも思うかね?
すべてを消して放り投げてもいいんじゃぞ?
……な~んちゃって!!
びっくりしたじゃろ?
……君がここのことを言わないと約束出来るなら、そのままの記憶で開放してやろう。
もし言ってしまったら君は死ぬ。
それでもいいかの?
……何故、か。
君も、ワシの子供みたいなもんなんじゃよ。
もしワシに会いたくなったら、24時にあの会社の地下駐車場76番を調べるのじゃ。
誰にも見られぬように気をつけるんじゃよ。
まぁあの部屋からも来れたんじゃが、エレベーターは止めたしさすがにもう入れんじゃろうからな。
……どういう方法を取るかは君次第じゃ。
目の前に安全な方法があっても目に入らず、敢えて取り返しのつかない方法を選ぶものもおる。
さて、もう眠れ。
目が覚めたら……君の好きなように生きるといい。




