表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/69

藤隊員の証言

……ああ、あんたが内部調査の……。



……それで?何が分かったんだ?



……はっ、状況把握中、ね。

先輩が、3日前、この会社で、居なくなった。

これが事実。

あの先輩がこんなふうにいなくなるわけがない。

きっと事件に巻き込まれたんだ。



……自分の足で出ていったんなら、エントランスを通らないのはおかしいだろ。

裏口は面倒くさすぎるし、何処へ行くにも不便だ。

先輩は、普段そんな回りくどいことはしない。



……誘拐、脅迫。

いろいろあるだろ。



……わからないからあんたが調べてるんだろ。



……検討違いもほどほどにしろよ。

本当にちゃんと調べてるのか?

俺が何か知ってたら、とっくに助けに行ってるよ!

……関係が、本当にあれば良かったのに……。



……後悔?

ああ、してる。

先輩から目を……。

いや、何でもない。



……その日は、ずっと外で現場対応していた。

俺と、蘇芳と、桜。3人だ。

切り上げたのは19時くらい。

流石に、外が暗いと何にも出来ないからな。

それ専用の装備がない限りは。

戻って話を聞いたのは多分20時頃だ。

それから先輩の家に行って……。



……え?

いや入ってない。

入れないだろ。

鍵が掛かってるんだから。

外から見ただけだ。



……外から見ただけだと言ってるだろう。



……入ったことはある。

もちろん招かれてな。

……あんたは、何が言いたいんだ?



……なるほど。

いや、協力する。

それに、それは多分、この会社では俺にしか出来ない。



……招かれたのは同じゼミの連中だけだ。

招かれたというか、……押しかけたというか。

そもそも月白先輩は、部屋に人を招くのがあまり好きではない。

だから、この会社で、先輩の部屋を知っているのは俺だけだ。



……いない。

先輩にそんな暇はない。

毎日仕事と家の往復だといつも言っていた。

最近は家に帰ることも面倒なようで、よく仮眠室を利用していた。

そんな状態で恋人などいるはずもないだろう。



……俺は……。

ああ、そうだ。

俺は、先輩が好きだ。

ずっと前からな。

だが、まだ伝えるべきじゃないと思っていた。



……さっきも言っただろ。

先輩は忙しいんだ。

俺は好意をただ伝えたいわけじゃない。

無理やり恋人になりたいわけでもない。

確実に、こっちを見てもらうには、今じゃないと思っていただけだ。



……くそ、なんでこいつにこんなこと……。


……家族は知らない。

月白先輩はそのことを話したがらなかった。


……ああ、精々役に立ててくれ。

アンタが不甲斐ないようなら、すぐにでも変わってやるよ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ