廊下にて、東雲部長の証言
やあ!
今日はよく会うね。
すごく嫌そうな顔だけど、僕はそういうの全く気にしないよ!
……仕事?
特に無いな!
君についていったほうが楽しそうだ!
……会いたい人がいるのなら、会いに行くべきだと思わないか?
話したい人がいるのなら、話せるうちに話すべきだと。
お互いが生きているうちにね。
今日みたいな日が明日も続くと思ってる?
今日あるものが明日もあると思ってる?
実際、月白ちゃんはいなくなっちゃったじゃないか。
人も事も常に流れていて、君はそこに投げ込まれた路傍の石。
何処まで転がるか見てみたい。
だから僕はついていくのさ。
……相手の事情?
考えないよ。
そんなもの想像するだけ無駄じゃない?
僕は相手の気持ちや事情より、僕の気持ちが大事だからさ。
そもそも僕には僕の気持ちしかわからない。
それに思ってるだけじゃ何も伝わらないでしょ?
気持ちは胸焼けするほど溢れんばかりにぶつけないと。
新橋にはいつもそう言ってるんだけどなかなか伝わらないみたいだ。
いや、伝わってるけど無視するんだよね、あいつ。
頭が固いんだ。
小さい頃から一緒だけれど、そこは昔から変わらない。
……新橋が嫌がってるように君には見えるの?
そうかなぁ僕にはそうは見えない。
むしろ喜んでるよ。
だって本当に嫌なら鍵でも何でもかけたら良いじゃないか。
扉は閉めてはいるけれど、鍵はかけない。
好意は嬉しいけれど応えるつもりはない。
あいつは別にそれでいいし僕は僕でやりたいようにやるだけさ。
……君も頭が固いタイプ?
やりたいことでやっちゃいけないことも無いし、やりたくないのにやらなきゃいけないことなんてのも実際にはないよ。
あるというならそれは幻想だ。
そういう幻想こそが人を不幸にしてるんだ。
人は本当にやりたいことはやるんだし、やりたくないことはやらないものさ。
やっちゃいけないと思うならそれはやりたくないことだし、やらなきゃいけないと思うならそれはやりたいことなんだ。
例えばそれで傷付く人がいたとしても、それはやむを得ないことだよ。
それでもやりたかったことなんだから。
やると決めたらそんな覚悟はとっくに決めてるものだ。
誰もが幸せになる選択肢など存在しない。
多少の混乱があったとしても、それはこの世界が不条理なのだと確認するだけのことにすぎないんだ。
だから君が今していることは、君が今、心からやりたいことなのだと言えるね。
……あれ?
ここはどこだい?




