廊下にて、新橋部長の証言
ああ、君か。
済まない、探させてしまったかな。
いまデスクに戻るところだ。
……なに。
物凄く面倒くさい男が待ち構えてる?
……東雲だな。
あれで法務部の部長なんだ。
今日も何だかんだと理由を付けて居座るつもりに違いない。
仕事を全部押し付けられる鳩羽くんが不憫でならないよ。
……ふむ、面倒だな。
よし、反対方向に歩きながら報告を聞こう。
いいかね?
……そうか。
まあ最初から警察には期待してはいなかった。
だからこそ上層部は君に依頼したんだろう。
でもこれで会社としての義務は果たしたと言える。
あとは月白くんが戻ってくるかどうかだ。
……休職はこのままだと三ヶ月が限度だろう。
君との契約は一ヶ月だったね。
普通の休職だったら一年でも二年でも休ませてやりたいが、連絡もつかないとなると……。
……そうだな。
もし君が見つけた時に、月白くんが戻りたくないというのなら、それはそれで構わない。
ただ連絡してくれれば非常に助かる。
……ああ、君からの報告で構わない。
他に何かあるかね?
……藤くんがドイツに?
……なるほど。
……彼がそうしたいというのなら、そうさせてやったほうがいいだろう。
任務にも集中できず、訓練中もうわの空だったというからね。
少しでも前進しているという実感があれば、彼も少しは落ち着くだろう。
……仕方がないさ。
藤くんが抜けた穴は大きいが、残った者で何とかするしかない。
幸いグリーンが明日出張から戻ってくるから、少しは楽になるだろう。
……まあ彼は月白くんの件には全く関係ないだろうが、明日以降ならいつでも会えるよ。
もしかしたら、月白くんが居なくなったってことも知らないかもしれないね。
……ボールペン?
……これのことかい?
……この間法務部へ行った時に、鳩羽くんが渡してくれたんだ。
会議室で拾ったと言ってね。
探してたから助かったよ。
……そうだろう。
娘からのプレゼントなんだ。
名前入りでね。
これが何か関係があるかい?
……何だか君の私に対する視線が少し優しくなったような気がするね。




