情報管理部部長、新橋の証言
やあ、入ってくれ。
聞いているよ。時間通りだな。
どうぞ掛けて。
いまお茶でも出そう。
それで……今回は大変なことになったね。
全くとんでもないことだよ。
月白くんが無事だといいのだが……。
……?
だって社内にはいないんだろ?
君が調べたっていうじゃないか。
……そんなまさか。
隠し部屋でもあるっていうのか?
会社に?
……まあいい。
それで、何を聞きたいんだい?
……その日、私は出張でね。
兄弟会社で仕事があってここを留守にしていたんだ。
日帰りの予定だったのが色々あって、昨日帰ってきたばかりだよ。
……君も知っているだろう?
新幹線で3時間はかかるところだ。
その日にここに来るのは不可能だ。
まさか私が何かしたと疑っているのか?
……必要なら経理に提出した書類を確認するといい。
私が乗った新幹線がどれかわかるだろう。
全く……。
……いや、君も仕事なのだと理解しているよ。
全く、とんでもないことだ。
……月白くんは優秀な部下だ。
責任感もあるし、感情的な行動をする子でもない。
だから私も、彼女が何かトラブルに巻き込まれたんじゃないかと思っている。
……彼女がトラブルメイカーと言ってるわけじゃない。
そんなこと思ったこともないよ。
……いままで大きな問題を起こしたこともないよ。
私が知る限りではね。
……ふっ。
いや、君がね。
わざと嫌な言い方をするものだから。
そんなことをしなくても、私は全面的に協力するのに。
……いやいや。
皆、協力するよ。皆ね。私だけじゃない。
君は、本当に嫌な言い方をするね。
……わかってるよ。
さて、他に何か聞きたいことはあるかい?
そろそろ会議の時間なのだが。
……おそらくそれは山吹くんが答えられる。
いつも一緒にいたからね。
今日も情報管理部にいるだろう。
……ああ、私の許可が必要なら許可しよう。
……しかし、大丈夫かい?
君のやり方では、問題を解決できないばかりか、事を大きくさせてしまうようなことにもなりかねないよ。
恨みを買うようなやり方はほどほどにね。
法務部の世話にならないようにしてくれよ。