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異世界で知ったホントの家族  作者: 桜江 李彩子
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リュツイさんの昔話

(わたくし)はずっと独りぼっちでした。

 (わたくし)の中に残っている一番古い感情は孤独による寂しさです。

 

 (わたくし)は仲間を求めて色々なところへ出向きました。

 しかし、どこにも属することが出来ませんでした。

 当り前ですよね。

 何処の馬の骨かわからない者を快く受け入れてくれるほど世は甘くありません。


 絶望しああ、このまま独りで消えていくんだと思ったときに(わたくし)の恩師に出会いました。


 恩師もまた(わたくし)と同じように孤独な方でした。

 仲間の方からあまりいいように扱われず、ほとんど交流を持たずにひっそりと暮らしていました。


 今でも覚えています。

 暖かな太陽みたいな笑顔で幼かった手を引いてくださったこと。

 大きな愛で(わたくし)を包んでくださりそれまでの苦しみや悲しみを癒してくださったこと。

 それから、(わたくし)の居場所を与えてくださったこと。


 (わたくし)は幸せでした。

 いつまでもいつまでもこの幸せが続くものだと思っていました。


 でも、ある時、恩師は重い病を患いました。

 確実に弱っていく恩師の姿を見るのはとても心苦しかったです。

 (わたくし)はそれまでしてもらった恩を返したいと恩師を置いて薬を探す旅に出ました。


 恩師は既に旅に出れるような状態ではありませんでした。

 身が裂けるような思いでした。


 (わたくし)は足を止めることなく雲を掴むような旅を続けました。山を超え谷を超え、海や空も超えました。

 いくつもの真っ赤な日が昇っては沈み、何度も青い月が満ちてはかけるのを繰り返しました。


 (わたくし)がやっていることは全て無駄ではないのか。

 何度そう思ったことでしょう。

 けれど、その度に恩師の笑顔を思い出し疲れた体に鞭打って探し続けました。


 そしてようやく苦労の末、(わたくし)は治す薬を手に入れました。


 これがあれば恩師は助かる!!


 そう思うと疲れが吹っ飛び全速力で(わたくし)は大喜びで恩師の元へ帰りました。


 恩師と暮らした懐かしい場所は以前と変わらぬ姿でそこにありました。

 扉を開ければ恩師が“おかえり”と言って(わたくし)を迎え入れてくださる。

 きっと、(わたくし)の頭を撫でて“ありがとう”と言ってくださる。


 元気になったら暖かい草原で寝転んで旅の思い出を聴いてもらって旅先で学んだ料理を作って“美味しいね”って言いながら食べる。


 また、あの幸せな日々が始まる。


 けれど、恩師はどこにもいませんでした。


 遅かったんです。

 何もかも。


 無力な自分を責めました。憎みました。呪いました。


 (わたくし)には恩師しかいません。

 それと同様に恩師には(わたくし)しかいません。


 (わたくし)は恩師を一人にして旅に出ました。


 (わたくし)は残された恩師の気持ちを考えていませんでした。

 孤独が何より寂しいものだと知っていたのに!!


 どうして(わたくし)はあの人のそばにいることを選ばなかったのか!!




 己を呪って呪って呪い続けました。


 けど、気付いたんです。


 そんなこと無意味なんだって。

 どんなに己を呪っても状況は変わらない。


 なら、せめて恩師が望みそうなことをしようと決心しました。


 恩師は何より人々の幸せを願っていました。

 戦争のない世界。平和な世界。誰も孤独にならないような世界。誰も涙を流さない世界をつくろうと誓いました。


 みんなが手を取り合って笑い合う世界。


 子供じみた夢だと笑う方もいらっしゃいます。


 だけど、(わたくし)は諦めませんよ。

 だって、その夢まであともう少しなんです。


 長きにわたった魔族対非魔族の戦争も終わり、韓紅花様の戴冠式も終わりました。


 昨日のことは本当に残念なことでしたが、確実な一歩を踏み出しました。


 きちんと体制が整えば必ず(わたくし)が、いえ、(わたくし)の恩師が望んだ世界を実現できます。

 だからこそ、韓紅花様にも幸せになってもらいたいのです。


 独りはやっぱり寂しいですからね。

 たった一人でも不幸にすることは出来ません。


 必ず扉を見つけてみせます」

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