行動開始!
恵瑠はその辺でぶっ倒れていた春香を起こし、翼とミアの元へ向かった。2人はすでに子供を救出していた。
「いやぁー、助かったべ。」
この子供は、どう見ても、この街の住人とは思えなかった。なぜなら、服装があれみたいだったからだ。ミアは改めて子供をまじまじと見て、
「桃太郎?」
とつぶやいた。
「ちっがうべ!おいら桃太郎じゃないべ!」
「いや、説得力ないぞ?その髪型といい、ハチマキといい・・・。」
「だからちっがうべ!おいらは座敷童だべ!」
「座敷童?人に幸運を与える妖、座敷童か?」
「ああ、そうだべ!」
「この街の人間たちはどこへ行ったのですか?」
「知らないべ、みんなおいらをおいて東の方へ逃げてったべ。」
「東の方ですか。陰陽の里へ避難したのでしょうか?」
「たぶんそうだべ。安陪和陽って名乗った奴が薬剤がどうのっつってみんなを連れて行ったべ。」
「薬剤?厄災か?」
「よくわかりますね、翼さん。」
「てことは、街の住人は安全ってことよね!よかった~。」
ミアはホッと胸をなでおろす。
「きっと、こうなった亜人はこいつだけとは思えないだろう。早く原凶を見つけないとな。」
「あいつ、何が目的なの?亜人とは何の関係もなさそうだと思うけど・・・・・。」
「おかしくなったのは亜人だけじゃないかもしれない。他に、どんな種族がいたっけ?」
「え~と、確か、エルフって奴も聞いたことあったわね。水魔法と精霊魔法が得意な弓使いの種族よ。」
「もしかしたら、そいつらも同じ目にあっているのかもしれない。」
「でも、どこにいるのでしょう?」
「四人で手分けして探しましょう!リトル街を中心にして、私は西方面を見るわ!春香!あんたは東方面!」
「はい!」
「じゃあ、私は西方面を見てこよう。」
「じゃ、私は北だね。」
「それじゃあ、解散よ!」
こうして、恵瑠は北へ、翼は南へ、春香は東へ、ミアは西へと散っていった。
「おいら、またおいていかれたべ。」