恵瑠奪還大作戦! ②
「お前ら、何しに来た?」
「恵瑠の開放。」
「同じくよ。」
「同じくです。」
「バカだなぁ、お前らそんなことできるわけないだろう?」
「だから、やってみないと分からないって言ったでしょ!?‘stone gravel‘!」
ミアは宙に浮いた石を出現させ、恵瑠めがけて飛ばした。恵瑠は木から降りてかわす。
「おいおい、殺したら意味ないんじゃない?」
「ええ、そうね。」
「そうねじゃなくてなぁ・・・、ま、どっちにしろ同じことだがな。」
ミアは「‘mud circle‘」と、唱えると、
「まさか、これで終わりだとでも?」
と言う。
「思う訳がないだろう?」
ミアは石を飛ばし続け、恵瑠はそれをよけ続ける。
それだけで何時間続いただろうか。一向に終わる気配はない、が、ミアの息が上がっていた。どうやら魔力を使いすぎてしまったようだ。
「まだそれを続けるのか?」
「どうでしょうね。」
ミアは再び石を作り出し、飛ばした。恵瑠は余裕でかわす。
「お前、ほんとバカだなぁ、お前の負けはもうそろそろ決まるぞ?」
「その言葉、そっくり苑麻返してあげる。」
とミアが言ったそのとき、恵瑠の動きが止まった。
恵瑠の足元を見てみると・・・。
「な、なんだこれ!?沼、いや・・・・・泥濘?」
「ええ、そうよ。勝負あったわね。」
「ふん、こんなもの、ただのいたずら程度の落とし穴にすぎない!」
恵瑠は足をすぐに引き抜いて見せた。すると、またまた足元に模様の付いた丸い円が光の線で書かれた。
「‘結界奥義 縛‘」
「くそっ、動けない。」
「その結界に捕まった以上、もうあなたは何もできません。」
「勝負あったわね。相手は一人じゃないの、忘れた?」
「ぐぐぐ・・・。」
「さ~て、とどめは・・・・・。」
「これですよ。」
と、春香は左にずれる。そうすれば、目の前には翼が立っていた。
翼は目元に手を持っていき、右目を隠す。
「・・・・・‘真心眼‘」
翼が目から手を離すと、一瞬翼の右目の瞳に紋章が宿ったように見えた。翼は剣を構え、恵瑠に斬りかかる。
翼は恵瑠の後ろで剣を振り下ろしていた。すると、恵瑠は真ん中に一筋の線が現れ、ぱっくりと真っ二つになった。
「ちょ、ちょっと!斬っちゃダメでしょ!?」
「・・・・・・・。」
ミアは慌てていたが、春香は静かにその光景を見て、ミアに告げた。
「・・・、いいえ、ミアさん。成功しました。」
「春香!?全然成功じゃないわ!死んじゃうでしょ!」
ミアは混乱して春香に怒鳴っていると恵瑠が光に包まれ、春香が見ている方と同じ方を見た。
片方の恵瑠は黒い光になり、影の恵瑠が現れ、もう片方の恵瑠は白い光になり、ミアたちが知っている恵瑠が倒れた状態で現れた。
影の恵瑠は舌打ちをしてどこかへ消えてしまった。
三人は気絶していた恵瑠を恵瑠の家に運ぶことにした。