恵瑠の秘密
「翼よ、ただの雷ではないとはどういうことだ?」
「私の知っている雷魔法じゃなかったんだ。白くて、魔力にしては神聖だったような、あと、雷の弾を飛ばしてきたが、着弾したところに、青い炎が出ていた。あれを見たのは初めてだ。」
「白い?空から降る雷は白いけど、雷魔法の雷は黄色いわよ?それに、青い炎なんて、見たことないわ。」
「魔力が神聖、ですか?」
「まさか・・・、光の雷!?」
ミス・ソルシエールは驚きを隠せなかった。
「光の雷?雷は元々光ってるわよ?」
「そうではない!光神ルーグの雷、光の雷だ!」
「光神ルーグ・・・、聞いたことあります。大昔に存在した。、ただ一人白い雷を操れる雷の支配者。」
「その光神ルーグは、神々の王になったというのも、聞いたことあるわ。」
「でも、その光神ルーグと恵瑠、どんな関係があるんだ?」
「ふむ、おぬし、神の使いというのを知ってるか。」
「神の使いって、大昔の神の能力を引き継いだ者のことよね・・・、まさか!?」
「その、まさか・・・ですね。」
「ああ、つまり恵瑠はその光神ルーグの神の使いだと。」
「そうだ。そして、神の使いは能力の初めの持ち主、つまり神と共通点を必ず一つだけ持っている。」
「同じ能力?」
「それとは別だ。光神ルーグは、影と一つになったことがあるそうだ。」
「影と一つ、確かに、今の恵瑠と同じかもな。」
「だが、恵瑠はその影と完全に一つになれていないのだな。原因はおそらく、過去の心の迷いを引きずっているのだろう。」
「どういうことかわからないけど、とりあえず、それが今回の事件の原因なのね。」
「そういことだ。急いだほうがいいだろう。まだ、間に合う。」
「でも、どうやって!?」
「まだわからないのか?仕組みは多重人格とほぼ同じ。」
「恵瑠ちゃんの人格と影の恵瑠ちゃんの人格を分けるというのですか?」
「無理よ!陰陽師にはそんなことができるかもしれないけど、春香はそこまでできる陰陽師じゃない!できたとしても、それには時間がかかるわ!その間に逃げられちゃう!足止めしようにも私の半端な結界じゃ時間を稼ぎきれない!」
「ミア、やる前から弱音を吐くなんてみっともないぞ。それに、陰陽師などいなくとも、精神をきれいに割るなんて、朝飯前だろう。なぁ、翼。」
「え、翼?」
「翼さん、そんなことできるのですか?」
「ミス・ソルシエール、あんた、どうしてそんなに私のことを知っているんだ?お前とは会ったことないぞ?」
「世界一の大魔法使い、甘く見るのではないぞ?」
翼は警戒していたが、ミス・ソルシエールの表情に信頼を感じ取り、ニッと笑みを返す。