誕生日
時は5月。6回目の入学式を終えて少したった。そんな今でもエルゥと果林の仲は変わらぬままだった。
今日もいつものように一緒に下校していった。
「そっか~エルゥも6年か~。」
「あと1年したら、中学生だよ。」
「来年は私は中学三年、エルゥは中学一年、てことは、来年は学校一緒だね!」
「一年だけだけどね。」
「まぁまぁ、中学行ったらなんか変わるって、きっと。」
「変わっても一番の友達は果林のままがいいな。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃ~ん!」
エルゥの中ではこれが当たり前だと思うようになってきた。今までも、これからも、何が変わっても果林は一緒にいてくれると思ってたし、果林が自分から離れることは一度も考えたことがないくらいに。
夏休みも、もちろん果林と遊ぶ日でいっぱいだった。
「ねぇ、エルゥ!」
「どしたの果林?」
「はい、これ!」
果林は包装紙に包まれた物をエルゥに差し出す。
「なにこれ?」
「誕生日プレゼント!」
「え・・・・・・・?」
長らく忘れていた。誕生日という記念日の存在。長い間、家族にも学校にも祝われなかったのだ。
「・・・何で知ってるの?」
「あはは、この前、エルゥと元々仲の良かったって子が、話しかけて来てさ。」
仲の良かった・・・・、記憶をたどってみても、忌々しい記憶しか見えず、誰一人思い浮かばなかった。いや、せめて、たまに誰も見ていないとこでこっそり話しかけて来た3人だな。
「教えてもらった!」
果林の笑顔を見るとどうでもよくなり、プレゼントを見つめた。黄色い包装紙で包まれ、赤いリボンでとめられたそれを少し握ってみるとクシャと音が鳴り、柔らかくへこんだ。中身は布物だろう。
「開けて見てもいい?」
「もちろんだよ!」
リボンをほどき、包装紙を開いて見ると、片端に白いラインが入った青いヘアバンドだった。裏を見れば、赤い刺繍糸で「エルゥ・アイリッシュ」と書いてあった。
「これは?」
「エルゥ、前髪伸びてるもん。」
そう、エルゥの髪は目がかかりそうなくらいに伸びていた。誰も切ってくれる人がいないため自分で切っていたがそれでもすぐ伸びてしまうのである。めんどくさいのであまり切ることはないが。
「ありがとう!」
エルゥはヘアバンドを前髪の下に入れるようにつけ、上に少しクイッと上げると前髪が眉の上ぐらいまでの長さになった。
「えへへ、似合ってるよ。」
「ありがとう、果林。」
エルゥは嬉しかった。自分の特別な日を同じように特別だと思ってくれる人がいることが。
「そういえば、果林の誕生日っていつ?」
「えぇ~っとねぇ、3月3日。」
「そうなんだぁ。」
「なに、プレゼント用意してくれるの?無理しなくていいのに。」
・・・・・・・・・・・・・・・もはや姉妹である。




