信じなきゃ
リトル街から北の方角。恵瑠は魔物の森を駆け抜けている最中だった。魔物の森は主に魔物たちが暮らしているところなのが、この事件の影響で魔物たちは隠れているのか、出てくる気配が全くないのだ。
ふとすれば、トンボが飛んでくるような音が聞こえた。しかも、一匹、二匹、三匹、四匹・・・・、複数の音が聞こえる。
横から、何か細いものが飛んできた。恵瑠はさっと立ち止まる。恵瑠の目の前を一本の矢が飛んでいき、近くの木に刺さる、かと思ったら、その木に風穴を開けて通っていき、5本目の木で刺さって止まった。恵瑠はちびるかと思ったと思うような顔で矢が飛んできた方を見る。そこには八人のエルフ族がいた。一人は弓を放った後のようだった。
1人目のエルフがこう言った。
「くっ、我が放った矢をよけられたのは誉めてやろう。だが、次は外さないぞ。」
「誰?」
2人目のエルフがこう言った。
「我らはエルフ族の中での上級の弓の使い手だ。」
3人目のエルフがこう言った。
「ウール様の命で人間達を皆殺しにする!」
4人目のエルフがこう言った。
「お前も人間だな。」
5人目のエルフがこう言った。
「ならば始末するべきだ・・・・・、違うか?」
6人目のエルフがこう言った。
「ああ・・・・・当然だ・・・・。」
7人目のエルフがこう言った。
「よしお前たち、構えっ!」
エルフたちが弓矢を引き絞り、それを全て恵瑠に向けた。
そして、最初に喋ったエルフが「うてっ!」というと、エルフたちは一斉に恵瑠に矢を放った。
恵瑠は慌ててサイドステップでよけた。
「いやいや、うてっじゃなくて・・・・8人目にもしゃべらせてやってよ!」
「そこかっ!」
「うわっ」
エルフのツッコミと共に放たれた矢もよけた。
「ほう、我々の一斉射撃をよけきったか。なら、これはよけきれるか?」
エルフたちは弓矢を構え、さっきと同じように矢を放った。恵瑠は同じようによけようとしたが、矢は無数に分裂し、恵瑠に飛んできた。
「ええええええぇぇ!?ス、‘スリングレイン‘」
上から雨のように電気の粒が降ってきた。電気の粒は全ての矢にのしかかり、一瞬だけ火が付き、一瞬で灰にして地面に落とした。
「な、なんだ今のは!?」
「我々の弓が一瞬で・・・・・?」
「くっ、これがだめなら、これでどうだ!」
一人のエルフが弓を引き絞り、矢を放つ。
「ははははははははは!この矢は火に強い!さっきの攻撃は通用しない!」
恵瑠はサイドステップでよけた。しかし、通り過ぎるはずの矢は宙に浮いたままくるりとこちらに向いた。
「しかも追跡するんだ!強い熱に反応してな!」
「さすがだ!人間は体温が高いから、この矢は人間を狩るのに最適な矢なんだ!」
「逃げても逃げても追いかけてくる!お前はここで死ぬんだ!」
エルフは高笑いをして恵瑠を見た。
「あのね、私、ここで死ぬわけにはいかないの。」
恵瑠は眉根を寄せてエルフたちを見た。
「今は、やることがある。」
「なんだ、あいつ、こっちを見たぞ。」
「きっと、あきらめて死ぬつもりなんだ。あの矢からは逃れられない。」
恵瑠の表情は真剣な表情から勝ち誇った表情をした。
「なんだ、あいつ、あの顔、気味が悪い!」
「確か、強い熱に反応するんだっけ?」
「は?」
恵瑠は足元に落ちている石を一つ、拾った。
「こいつまさか、石投げるのか?」
「はははははははははははは!バカだな!」
「きっと、死ぬのが怖すぎて気が狂ったんだろう?」
「‘タスラム‘」
恵瑠は石をエルフたちに石を投げた瞬間石に蒼い火が付く。
「は?」
「はぁ!?」
「なんだ、どうなっているんだ、あいつ?」
すると矢は石に反応して石に向かって飛んできた。
「な、追跡の矢が、こっちに!」
石は一人のエルフに当たり、矢は石に当たり燃えて灰になった。
「は?この矢は火に弱いは・・・・」
「あづぅぅぅっぅぅぅぅぅぅ!たすっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「なっ、おい、水魔法を!」
「だめだ!消えない!」
エルフたちはパニックだった。そこへ、恵瑠がエルフたちにこう尋ねた。
「ねぇ、ここに私にそっくりな真っ黒な奴を見なかった?」
「はぁ、今そんな場合じゃ」
「見なかった?」
「・・・・・・・・・ここから西の方へ・・・・・おそらく、謎の魔法陣の方に行ったのかと。」
「ありがとう。」
恵瑠はエルフに着いた火を消すとすぐに西の方へ向かった。」
みんな、大丈夫かな?私のせいで・・・・、いいや、信じなきゃ。みんなを・・・そして、自分を!




